予防接種を受けるに当たり、二つの選択肢があります。
地道に一つづつ単独接種でいくか、一気に同時接種でいくか。
では、それぞれのメリットを見ていくこととしましょう。
☆同時接種で進めていくメリット
(1)接種した日から全てのワクチンの反応が体の中でスタートする。
(2)予防接種のために病院を受診する回数が激減する。
(風邪などをもらう確率が大幅に減少する)
(3)子ども達の精神的な負担はトータルで考えると少なくなる。
(毎週予防接種のために病院に通うよりは、数分のうちに一気に済まして
しまう方が実は子どもにも優しい)
(4)子ども達は色々な病気で体調を崩し、接種ができなくなることがあり、できる
時にどんどんと進めることで深刻な病気の心配を減らすことができる。
(5)受診の回数自体が減るので、接種をし忘れる心配が減る。
☆単独接種で進めていくメリット
実は全くありません。
上記の同時接種のメリットの逆がそのままデメリットとなって降りかかります。
大規模な研究で、人種を問わずたくさんの予防接種を同時に行うことで効果が弱くなったり、熱や腫れなどの副反応がtotalとして増えたりすることはないことが実証されています。
欧米各国でも当然予防接種は同時接種でサクサクと行われています。
また、これらの国では予防接種を受けることは各自が享受できる「権利」であるだけでなく、親や医療者の「義務」であるという考え方も強く、見習うべき点と思います。
米国では、規定の予防接種を完了していない子どもは小学校に入学することもできません(例外的に宗教上の理由などでの接種拒否は認められているようです)。
麻疹や水痘は本当にまれな病気である、というのはうらやましい限りです。
単独接種は同時接種に比べて本人にメリットがないばかりか、限られた接種枠をいたずらに浪費して、他の子ども達の接種の機会を奪ってしまうという観点からも、特に重要な予防接種が目白押しな1歳未満での単独接種は当クリニックではお受けしておりません。
医学的なデータとは別に、「何となく怖いから。」という親御さんの気持ちは尊重しますが、その場合は他院での接種をお願いしています。