今年は相当な手足口病の当たり年になっていますので、以前の記事を再掲しておきます。
「かぜ」という言葉を、ウイルス性の自然によくなる早く治す薬のない病気という意味に拡大するならば、手足口病は「夏かぜ」の一つと言えます。
冬のかぜのように咳や鼻水はほとんどなく、文字通り手、足、口に発疹が出る病気です。
発疹の出やすい場所は手のひらの表裏、足の表裏、肘、膝です。
なぜか肛門周囲にもぶつぶつとした発疹がよく出るので、最初はおむつかぶれかな、と思うお母さんもいます。
「手足口おしり病」なんて冗談で言う先生もいます。
体の発疹は、痛かゆい感じがある程度で10日ほどで自然によくなりますから、困ることは多くなりませんが、湯船やプールに入ったりはせず、とびひにならないように優しく洗って清潔に保ちましょう。
手足口病のしんどさは熱の高さにもよりますが、一番は口の症状の強さで決まります。
ひどい例では口の中が口内炎だらけになって、痛みのせいで食事が取れなくなります。
つばを飲むのも痛いので、乳児ではよだれをだらだら垂らしながら受診することもよくあります。
子どもによって手足は軽いけれど口の症状が重篤な子、手足はひどいけれど口の症状がほとんどない子と様々です。
痛くて経口摂取が低下する場合は、解熱剤で使うカロナールやアンヒバ・アルピニー座薬などを熱がなくても痛み止めとして使うことで快適に時間を過ごすことができます。
2,3日で痛みはピークを越えて、徐々に食事も戻るでしょう。
かぜのカテゴリーの一つですから、複数回かかって免疫が育っていきます。
手足口病のウイルスと兄弟のようなウイルスが、ヘルパンギーナの原因となります。
ヘルパンギーナは、「口病」というイメージで、手足の発疹がなく「熱+強い口の症状」という夏かぜです。
対応の仕方は同じと考えてください。
最初、ヘルパンギーナと言われてから、手足にもぶつぶつが出てきたら、呼び方だけ手足口病に変えておくとよいでしょう。
いずれも熱がなくなり、元気で痛み止めが不要になれば登園・登校は可能です。
他のかぜ同様、感染力はだらだら1週間~10日前後持続しますが、数日休んでも流行の拡大を防ぐ効果がないので、うつさない訳ではないけれどしょうがないから行っていいということになります(熱があったり、元気がない間はまき散らすウイルス量がその中でも多い期間ですから休みましょう)。
原則的には登園許可証は特に医学的な意義はなく、発疹がひどい例で水痘ではありませんという証明くらいの価値しかありませんので、最近は要求しない保育園・幼稚園も多いようです。
しかし、普通の園生活、学校生活はするにしても、マナーの問題やとびひの併発を避けるためにも発疹が目立つ間はプールや公衆浴場などは避けるようにしましょう。
※様々な感染症での登園・登校許可証の価値についてはまた項を改めてお話しします。