日別アーカイブ: 2019年5月27日

恩師の定年

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森田内科・胃腸内科のミッション
地域医療に貢献して、人を幸せにする。)
人:患者さん、チームの仲間、大切な家族と自分自身

高槻市城南町にある、胃カメラ・大腸カメラから一般内科まで幅広い診療を行うクリニック、森田内科・胃腸内科のブログです。
このブログでは当院に関心あるすべての方に、当院とここで働くスタッフの“今”を知って頂くために、日々思うことを医療にこだわらず“そこはかとなく”綴ったものです。

タイトル:恩師の定年
4月になり、新年号も発表され、いつも以上に新しい門出を感じる季節になりました。新年号の「令和」とは、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ。」という意味が込められているそうで、とても良い年号ではないかと思っています。ところで先日、3月6日に恩師の定年退職を祝う会があり、午後の検査予定をキャンセルして東京に行ってきました。当初、検査の予定が立て込んでいたので諦めていましたが、事務さん達の御尽力と患者さんの御理解のお陰で、奇跡的に参加することができました。本当に感謝しています。
簡単に恩師の高添正和先生との関係を御紹介します。2002年当時、当時大阪医科大学大学院在学中にクローン病患者さんの便中ACEを研究していた私は、検体(便)の採取とクローン病の臨床研修を目的に、日本屈指の症例数を誇る社会保険中央総合病院(現:山の手メディカルセンター)に国内留学に行きました。そこで炎症性腸疾患グループのリーダーをされていたのが、高添先生でした。東大卒の医師が中心で、知識や技術でチームや患者さんを引っ張るタイプのリーダーが大半を占める中、大阪医科大学の先輩である高添先生は異彩を放っていました。“人柄”で磁石の様に人を惹きつけ、周りにいる患者さんやチームのメンバーを自然にまとめている様な感じでした。カルテも特徴的で、病気のことよりも患者さんの趣味や家族の事等がたくさん書かれており、不思議そうに私が先生のカルテを見ていると「患者さんを診る時は、病気以外の情報の方が大切。10年経てば君にも分かる。」と教えてくれました。私は当時、それなりに“先生のお言葉”の意味を理解しているつもりでいました。
今回高添先生の定年祝賀会に参加させて頂いて、今一度自分の“医師人生”を振り返ってみることができました。その中で自分が医師として、“病気を治すのは当たり前、人を治してこそ一人前”という本当の意味を理解しはじめ、実行しだしたのはほんの数年前からであることに気づかされました。私の医師人生も後半戦、患者さん、スタッフの方々を含め、医師として関わった全ての方々の人生が少しでも好転する様に努めていきたいと思いました。そして、必ずそう遠くない未来にやってくる“医師を辞する日”を悔いのないものにしようと、帰りの新幹線の車中で決意を新たにしました。