褒めない⁉

森田内科・胃腸内科のミッション
地域医療に貢献して、人を幸せにする。)
人:患者さん、チームの仲間、大切な家族と自分自身

高槻市城南町にある、胃カメラ・大腸カメラから一般内科まで幅広い診療を行うクリニック、森田内科・胃腸内科のブログです。
このブログでは当院に関心あるすべての方に、当院とここで働くスタッフの“今”を知って頂くために、日々思うことを医療にこだわらず“そこはかとなく”綴ったものです。

→:褒めない!?
 7月、お盆が終わってしましました。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われている様に、間もなく秋が到来します。これから寒さに向かうと、新型コロナウイルスの一層の感染拡大が懸念されます。医仁会としては、精一杯準備をして冬に臨みたいと考えています。
 ところでみなさん、人を褒めたことはありますか?「○○さんはできる人!」とか、子供に「○○ちゃん、お手伝いしてくれて偉いね!」」など、知人や子供を褒めた経験は誰もがあると思います。部下や子供の教育について、「ほめて伸ばす」や「正しい褒め方、叱り方」などは書籍の定番のタイトルになっています。では、部下や子供を褒めることは良いことなのでしょうか?
 スタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドゥエック教授は、ポジティブフィードバックは、能力ではなく努力に対して行うべきだと強調しています。これは、「能力を褒められた子供は失敗を恐れてチャレンジを避けるようになり、努力を褒められた子供は難問に挑戦することを楽しむようになった。」という研究結果に基づいています。人は「能力」を評価されると、その評価を下げないために、失敗を恐れてチャレンジに対して消極的になります。逆に失敗しても、また学び、成長すればいいという考えを強化するには、努力や頑張りを評価するべきなのです。また、能力を褒められると、「能力は固定化されている」と考えてしまい、反対に努力を評価されると「能力は伸ばせる」という考えが強化されるのだそうです。また、人を些細なことで頻繁に褒めていると「褒められる状況」が習慣化され、褒められない状況に不安を覚えてしまい、進学や就職などで「褒めてもらえない環境」に属したとき、適応できなくなってしまうという意見や、「他人がどう思うか」を基準に行動するようになり、「自分の意思で」行動する力が身につかなくなってしまうということも指摘されています。
 心理学の巨匠、A・アドラーは、褒めるという行為を、相手との上下関係を前提に、立場が上の人が下の人を評価する行為であり、理想とされる、自己受容、他者信頼、他者貢献に基づいて行動をとる人ではなく、承認欲求に基づいて行動する人を作ってしまう行為であるとして否定しました。では、成果を挙げた部下や子供に対して、私達はどう接すれば良いのでしょう?その問いにアドラーは「勇気づけ」を提唱しました。この勇気とは「困難を克服する力」のことで、相手の気持ちに寄り添い、共感する態度で接することです。例としては、「東大合格おめでとう、頭いいんだね!」ではなく、「努力が、東大合格という形になったことを嬉しく思う。」と伝える事です。
 自己受容、他者信頼、他者貢献は「幸せの3条件」とも言われています。褒めるのではなく、正しいポジティブフィードバックで、仲間や家族をもっと幸せにしましょう!

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