第2回:「インフルエンザワクチン、1月でも遅くない理由とは?」 まだ間に合う!ワクチン接種でインフルエンザに備える方法

「1月になってからワクチンを打つ意味があるの?」と疑問に思う方も多いと思います。この回では、 1月でも接種が推奨される理由 やワクチンの効果、今年のワクチンに含まれているウイルス株(A/H1N1やB型株など)についてお話しします。また、受験生を持つご家庭にとって、ワクチン接種がいかに大切かも解説します。

現在大流行中のインフルエンザウイルスの型「A(H1N1)pdm09」とは?

当院で最近検出されるインフルエンザウイルスは、「A(H1N1)pdm09」という型が多いことが分かっています。この表記は少し難しく見えるかもしれませんが、今回は一般の方にも分かりやすく、これが何を意味しているのか解説します。


インフルエンザウイルスの「A」とは?

インフルエンザウイルスには主に3つのタイプ(型)があります:

  • A型
    最もよく知られたタイプで、人だけでなく動物にも感染します。流行しやすく、大規模な流行(パンデミック)を引き起こすことがあります。
  • B型
    主に人間に感染し、比較的小規模な流行を起こします。
  • C型
    流行することは少なく、症状も軽いことが多いです。

「A(H1N1)pdm09」は、インフルエンザA型に属します。


「H1N1」とは?

インフルエンザウイルスの表面には、2種類の突起状のタンパク質があります:

  • H(ヘマグルチニン)
    ウイルスが細胞に侵入する際に使う。
  • N(ノイラミニダーゼ)
    増殖したウイルスが細胞から外に出る際に使う。

Hには18種類、Nには11種類の型があり、これらの組み合わせによってウイルスが分類されます。「H1N1」は、1番目のヘマグルチニンと1番目のノイラミニダーゼを持つウイルスという意味です。


「pdm09」とは?

「pdm09」は、「パンデミック2009年」の略です。
このウイルスは2009年に初めて発見され、大規模な流行(パンデミック)を引き起こしました。そのため、従来のH1N1型と区別するために「pdm09」という名前が付けられています。


A(H1N1)pdm09の特徴

  • 2009年の新型インフルエンザとして知られる株です。
  • 主に季節性インフルエンザの一つとして現在も世界中で広がっています。
  • 通常のインフルエンザと同じような症状(発熱、咳、倦怠感など)を引き起こしますが、体力が低下している方や基礎疾患がある方は重症化するリスクがあります。

2024/2025年シーズンのインフルエンザワクチンに含まれるウイルス株

インフルエンザワクチンは、毎年の流行予測に基づいて製造されています。今年のワクチンには、以下の4種類のインフルエンザウイルス株が含まれています。

  1. A型株(H1N1): A/ビクトリア/4897/2022(IVR-238)
    → 2009年の新型インフルエンザ(A(H1N1)pdm09)の流れをくむ株で、毎年広がりを見せています。
  2. A型株(H3N2): A/Darwin/9/2021(IVR-227)
    → 季節性インフルエンザの中で高齢者や基礎疾患を持つ方に影響を与えやすい株です。
  3. B型株(山形系統): B/Phuket/3073/2013
    → 若年層での感染が多いB型の代表株です。
  4. B型株(ビクトリア系統): B/Austria/1359417/2021
    → B型のもう一つの主要な株で、子どもたちにも感染しやすいタイプです。

さらに、経鼻型ワクチン「フルミスト®点鼻液」には、A型株として A/ノルウェー/31694/2022(H1N1)株 が含まれています。

2024~2025年シーズンのインフルエンザワクチンには、A(H1N1)pdm09ウイルス株として「A/ビクトリア/4897/2022(IVR-238)」が含まれていますので効果が期待できます。


なぜ今からでもワクチン接種が重要なのか?

  1. ワクチン接種の効果は約2週間で発揮される
    接種してから抗体ができるまでに約2週間かかりますが、インフルエンザの流行はこれから本格化します。今から接種しても十分間に合います!
  2. 重症化を防ぐ効果がある
    特にお子さんや高齢者、基礎疾患のある方は重症化リスクが高いため、ワクチンでそのリスクを大幅に減らすことができます。
  3. 集団免疫を高める
    家庭や学校、保育園での感染拡大を防ぐためにも、一人ひとりの予防が重要です。

接種を迷っている方へのアドバイス

「今年はまだ受けていないけれど大丈夫かな?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。インフルエンザワクチンは予防だけでなく、万が一感染してしまった場合でも症状を軽くする効果があります。これだけでも受ける価値があります!

また、注射が苦手なお子さんには、針を使わない経鼻ワクチン「フルミスト®点鼻液」もおすすめです。詳細は当院にお問い合わせください。


うにし小児科からのメッセージ

インフルエンザは毎年多くの人に影響を与える感染症ですが、ワクチン接種や基本的な予防策で多くを防ぐことができます。

今からでも間に合いますので、ぜひワクチン接種をご検討ください!
ご予約やご質問は、うにし小児科までお気軽にご連絡ください。一緒にこの冬を健康に乗り切りましょう!