「逆流性食道炎は継続的に治療を」

皆さん、こんにちは。
医療法人 康心会 理事長の谷口智康です。こちらのブログでは、色々な疾患などについて、日々の診療でお伝えしていることを少し噛み砕いて皆さんにお伝えしていきたいと思っています。よろしくお願い致します。

今回は、逆流性食道炎の継続治療がいかに大切かについてお話します。
そもそも逆流性食道炎とは、食道と胃の間のパッキンが年齢とともに徐々に緩んでしまうことで、胃酸などの消化液が食道側に逆流して起こる病気のことです。年齢の変化が根本的な原因であるため、完治させることが不可能な疾患です。
逆流性食道炎の方は、「胸やけ」「喉の詰まり感」「ゲップ」「胃もたれ感」などの症状で当院を受診されることが多く、その大半の方は胃カメラでの精査、診断そして治療へと進んでいきます。

治療は、胃酸を抑える非常に良く効くお薬がありますので、私たちはそのお薬を処方することで症状の改善に努めています。
非常に良く効くお薬ですので、当院で治療した方の大半は良くなった実感が得られています。しかし先程お話したように、逆流性食道炎は加齢の変化で出てくる疾患ですので、絶対に完治出来ません。お薬で治ったような状況を演出しているに過ぎないんです。
しかし残念ながら、喉元過ぎれば何とやらで、きちんと治療を継続することが出来ず、半年や1年が過ぎてからまた症状が悪化したと言って受診される方が大勢います。
そしてそのような方の大半は、胃カメラ検査で確認すると前回より逆流性食道炎が確実に悪化してしまっているのです。当然治療を再開しますが、中には以前ほどお薬が効かず症状の悪化に苦しむ方もおられます。
外来診療をしていて思うのですが、逆流性食道炎の治療はやはりお薬の継続がとても大切です。年齢とともに徐々に悪くなる事実は変わりませんので、いかに悪くせず、人生の終盤までケア出来るかが大切だと思います。逆流性食道炎の悪化は、症状の改善が得られないばかりではなく、最終的には食道癌の発症リスクとなります。きちんとケアしなかったツケが80代など人生の終盤に食道癌という最悪のシナリオで返ってくるようなものです。
逆流性食道炎を指摘されたり、自覚症状を感じたりすれば、きちんとお薬での治療を継続し、食道癌の回避に努めてください。必ず人生の終盤にその効果があらわれてきます。
例えて言うなら、老後の資産形成をするため、インデックスファンドなどに愚直に積立投資をするのと同じようなものです。積立期間が長ければ長いほど、複利の効果が効いてより有効な資産形成が期待出来ます。逆流性食道炎もまさにその通りです。
皆さんも将来の自分の姿を見据えて、きちんとしたケアを続けてあげてください。そうすれば、きっと良い人生が待っていると思います。これからも康心会と一緒に頑張って治療を続けていきましょう。






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