カテゴリー別アーカイブ: 女性泌尿器科

過活動膀胱に対する新たな戦略!ボトックス注入療法について

先日、当ブログ内でも軽く触れましたが、4月より過活動膀胱に対する新たな手術療法「ボトックス注入療法」を開始することになりました。
ボトックス注入療法とは、神経の過敏反応を抑えるお薬を直接に膀胱の筋肉へ注射することにより、膀胱の過敏反応(=過活動膀胱)を強く抑えることができる、画期的な治療方法です。
ボトックス療法に使用される薬剤は、新しい薬ではなく、神経性疾患や美容目的でこれまで使用されてきた既存の薬であり、長年の経験からもその安全性は担保されていると言えます。
膀胱の過敏反応(=過活動膀胱)に対して、これまでは内服薬しかなかったわけですが、この新しい治療方法により、膀胱の筋肉に直接的に薬剤を作用させることができ、より強い効果を期待できます。問題点は、6か月前後にて効果が切れることです。永久に治ってしまうわけではないのですね。冬の寒い時期に症状が悪化される方が多いので、秋口に治療して春まで快適、といったことも考えられます。
対象となる患者さんはこれまで薬物療法(ベシケア、ベタニスなど)に使用してきたけれども十分な効果が得られなかった方です。お困りの方は是非、ご一考ください。


自分で治す頻尿外来から、論文発表されました!

我々のクリニックから、新たな論文が2つ発表されましたのでご報告いたします。

Cognitive behavioral therapy for overactive bladder in women: study protocol for a randomized controlled trial
Satoshi Funada, Norio Watanabe, Takayuki Goto, Hiromitsu Negoro, Shusuke Akamatsu, Kentaro Ueno, Ryuji Uozumi, Kentaro Ichioka, Takehiko Segawa, Tatsuo Akechi, Toshiaki A Furukawa and Osamu Ogawa
BMC Urol 2020 Aug 20;20(1):129. doi: 10.1186/s12894-020-00697-0. [Online ahead of print]

Clinical Feasibility and Acceptability of Adding Cognitive Behavioral Therapy to Pharmacotherapy for Drug-Resistant Overactive Bladder in Women: A Single-Arm Pilot Study
Satoshi Funada, Norio Watanabe, Takayuki Goto, Hiromitsu Negoro, Shusuke Akamatsu, Ryuji Uozumi, Sanae Kishimoto, Kentaro Ichioka, Takehiko Segawa, Toshi A Furukawa and Osamu Ogawa
Lower Urinary Tract Symptoms. 2020 Jul 3. doi: 10.1111/luts.12333. [Online ahead of print.]

当院で行っている、自分で治す頻尿外来(過活動膀胱に対する認知行動療法)に関する研究です。
我々は過活動膀胱に対する新たな治療戦略として、認知行動療法を行っています。これに関して臨床研究も行っており、論文はその成果の一部になります。

「頻尿気味だけど、電車の中であったり、玄関先であったり、特定の状況でのみ尿意を強く感じることがある」
「仕事中であったり、遊びに熱中していると、尿意が気にならない」
「ひょっとして、頻尿って、気の持ちようなんじゃないの??」

という声を患者さんから頂きます。鋭い!その通りなんですね。
そういった場合や、薬物療法に満足できない方に対して、当院では認知行動療法による治療を行っております。論文ではその有効性について発表しています。

認知行動療法にご興味の方は、水曜日の午前、船田先生の外来を受診してください。