日別アーカイブ: 2013年9月3日

帯状疱疹後神経痛 鍼灸

                                                  帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹とは
神経の流れに沿った帯状の赤い斑点や水ぶくれ(水疱)に加え、痛みが生じる疾患で、日本人では5~6人に1人がかかるといわれています。
原因は子供頃にかかった水ぼうそう(水痘・)のウイルスです。水ぼうそうは1週間で治癒しますが、このウイルスは消滅せず、脊椎知覚の神経節と呼ばれる所に潜み、人が疲れた時やストレスなどで身体の抵抗力が低下した時(免疫低下)に再活性化し、神経を通って皮膚に水疱ができます。
帯状疱疹後神経痛とは
帯状疱疹の皮疹が完全に治癒した後も、痛みと感覚異常が残存し続けているものを言います。帯状疱疹発症から6か月以上経過したものとされています。
西洋医学治療法と予後
神経障害疼痛治療薬、抗うつ薬、抗てんかん薬を中心とした薬物療法が主体となり、神経ブロックは補助的な治療法となります。
若い人は、ウイルスによって破壊された神経の回復は良好ですが、50歳以上の方、基礎疾患(糖尿病、がん、ステロイド・免疫抑制剤服用中)を持ちの方は回復が困難で、また重度の場合が多いです。
帯状疱疹後神経痛の鍼灸治療
帯状疱疹後神経痛は鍼灸治療の最も得意な疾患の一つです。中医学理論を基盤にする治療ですので、痛みを和らげる以外、体質改善や免疫力を高める事が出来ます。実際、神経ブロック治療より良い結果を得られるケースが多いです。鍼と灸で交感神経の作用を抑制、副交感神経の作用を促進し、痛み以外の不眠、精神不安定など随伴症状も同時に改善できます。
中医学では帯状疱疹を「蛇丹」「纏腰火丹」(てんようかたん)と呼び、原因としては風、湿、熱、邪と関係あり、また皮膚に停滞し疱疹や痛みを引き起こします。
1     気滞血おタイプ: 疱疹がなくなっても激しい痛み、両脇の脹痛、不眠、胸脇苦満など随伴症状があります。
2     寒湿滞絡タイプ: 寒い日、湿が高い日に症状が酷くなり、四肢の冷えを感じます。
3     気血両虚タイプ: 痛みがひどくないが、なかなか治らない、疲れると痛みが増悪し、休むと軽減します。普段疲れやすい、食欲不振あります。
                   帯状疱疹後神経痛の鍼灸治療症例
1 男性 64歳
平成24年8月右大腿部に帯状疱疹ができ、一週間入院治療し、1か月後完治したが神経痛は残った。内服薬、神経ブロックなど試めしましたが効果が全くない。昼夜に問わず痛みが強く歩くこともできない。不眠、食欲不振、全身掻痒感など伴い生活に大きい支障が出て、暫く休職でした。4月来院、一週間2回ペースで治療、3か月後痛みが半分減り睡眠も良くなり、仕事も復帰した。発症当時皮膚症状が酷く、持病もある為、特に難治と言われたがここまでの回復に驚いた。神経ブロックをやめ、鍼灸治療のみ継続するように言われた。現在1週間1回治療中。
2 女性 73歳
平成21年3月右の乳房の外上方から脇の下、さらに背中に帯状疱疹を患いその後帯状疱疹後神経痛に苦しんでいる。日中に痛みと痺れは我慢きるが、夜間に症状が酷く、何回も目が覚め、熟睡は出来ない。食欲なく、体重は7キロ近く痩せた。知人の紹介で5月に来院、週2回頻度で治療を行い、1か月後痺れは改善、夜間の覚醒回数も減り、2か月後痛みは3割減り、現在も週2回治療中。