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2019年 「捻挫と肉離れについて」 – 寺下整形外科・内科 寺下理事長

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—–来年は、いよいよ東京オリンピック。マラソンだけでなく自らスポーツを楽しむ人がさらに増えるでしょう。
アンチエージングやフィットネスなど健康意識の高まりもあいまって、スポーツをする機会がこれからも増えると思います。ケガとは無縁に楽しくスポーツが続けられるのが一番良いのですが・・・。
今回は、多くのスポーツで発生する捻挫(ねんざ)と肉離れについて、三木町寺下整形外科の寺下理事長にお話をお伺いします。

まず、捻挫の症状はどういったもので、どのようなときに発生しますか?

関節は、ある一定の方向、角度などに動くこととそれ以外の方向に動かないように制御されて有効に機能します。この制御を行っているのが靭帯(じんたい)です。
例えば、膝の関節は前後の方向には曲がりますが、横の方向には動かないように制御されています。
捻挫は、元々関節に予定されている動きとは異なる動きを要求されたときに、それに耐えきれなくなった靭帯が、損傷したり、断裂したりして発症します。その靭帯損傷の度合いにより、軽いものから重い状態まであります。特に酷い状態だと靭帯が切れ関節が外れてしまって、脱臼(関節の骨が正常な位置からズレる)を引き起こします。

捻挫になってしまったら、どのような処置を行えば良いのですか?

応急処置として、よく知られているRICE処置をするのが良いと思います。
RはRest(安静)、IはIcing(冷却)、CはCompression(圧迫)、そしてEのElevation(挙上)です。
ケガをした部位を原則として安静に保つ、そして冷やす。また、患部を圧迫したり、心臓より高くして、ケガをした部分の内出血や腫れを押さえます。応急処置をしたら、なるべく早く医師や医療機関での診断、治療を受けることは申し上げるまでもありません。

日常生活やスポーツへの復帰へ向けてのリハビリについて教えてください。

損傷した靭帯の修復期間が終わっても、本来の関節の動きに戻るわけではないので、リハビリテーションが必要です。
本来の関節の動き、つまり受傷前の機能の状態に戻ることを目標に、理学療法士やスポーツトレーナーなどのサポートを得ながら、リハビリを行ってください。
リハビリにはこれが一番良いという方法はないので、状態に合わせてサポートしてくれる人と十分なコミュニケーションを取りながら元の機能に戻るよう行うのが良いでしょう。

捻挫の予防について教えてください。

予防については、これをやれば防げるというようなものはありませんが、常日頃から体を動かし関節を使うように心掛けると捻挫発症のリスクは減らせると思います。じっとしてあまり動かないのが一番よくないと思います。また、スポーツを行う前には 必ず準備運動をしてください。
スポーツは、通常の生活よりも体に負荷がかかるのでリスクの高い活動であることを理解してください。
従って、そういう注意力を持ちながら行うことがケガを予防することになります。
ふざけたり、遊びだからと言って油断していると事故にあいます。同じ患者さんが何度もケガをして来院されることがありますが、そう言ったことにも原因があると思います。
リラックスするためのスポーツでも、「気」を付けて行ってケガの無いスポーツを続けて欲しいと思います。

次に肉離れについてお聞かせください。まず、症状からお願いします。

筋肉は細い筋肉繊維が束になってできています。この筋肉に急激に負荷がかかると、耐えきれなくなり繊維の一部が切れます。運動障害にならない軽いものから、動けなくなるような重度のものまであります。
障害の出たものがいわゆる「肉離れ」と呼ばれています。
稀に何らかの筋肉の疾患により、大きな負荷がかからなくても発症することがあります。
肉離れもRICEで応急処置をします。

肉離れの予防についてお聞かせください。

ストレッチを中心にした準備運動を十分に行うこと。そして、運動後のクールダウンも欠かせません。
特に暑い時期は、発熱した筋肉を運動後に冷やすことが大切です。プロ野球のピッチャーなどが、投げた後に肩のあたりを冷やしている光景が見られますが、あのように筋肉を冷やします。

最後にもう一度、健康管理やリラックスとしてスポーツを楽しむときの注意点などをお願いします。

アスリートの能力は日ごろの体の手入れから影響しますが、一般の方であっても楽しむためのスポーツでケガをしてしまうと台無しです。
スポーツを行う際には、普段の活動よりもリスクがあることを理解した上で、準備運動、クールダウンなど体の手入れもスポーツを楽しむための一環として怠ることなく行なって長く楽しく続けてもらえるといいですね。

——————–寺下先生、本日はわかり易いお話をお聞かせいただきありがとうございました。

お話を伺った先生:寺下 浩彰 先生(三木町寺下整形外科・和歌山県和歌山市

【略歴】

  • 昭和47年3月 和歌山県立医科大学卒業
  • 同年     和歌山県立医科大学整形外科教室 入局
  • 昭和49年   紀南総合病院整形外科 勤務
  • 昭和51年   和歌山県立医科大学整形外科 助手
  • 昭和53年11月  寺下整形外科 開院 院長
  • 昭和58年2月~ (医)進正会 寺下病院 院長
  • 平成7年5月~  (医)進正会 寺下病院 理事長
  • 平成11年1月  (医)優進会 三木町寺下整形外科 開院 理事長に就任

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