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「インフルエンザワクチン接種後の副反応について」 医療法人榮樂会 榮樂クリニック 医師 榮樂 周子 先生

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インフルエンザワクチン接種後の副反応について、医療法人榮樂会えいらくかい 榮樂えいらくクリニックの院長 榮樂えいらく 周子ちかこ 先生にお話を伺いました。

昨今コロナワクチン接種で副反応が問題になっておりますが、インフルエンザワクチンを接種する際にワクチン接種後の副反応をなるべく抑えるために、何か事前に行えることはありますでしょうか?

十分な休息や睡眠をとり、過度な飲酒は控えバランスの良い食事をとるなどして、体調の良い時に接種しましょう。特に基礎疾患のある方は、あらかじめ主治医に予防接種を打っても良い状態であるかどうかを確認してください。
以下の場合は注意が必要です。

①発熱している時や重篤な急性疾患にかかっている場合は接種時期をずらす必要があります。

②インフルエンザワクチンに含まれる成分により※アナフィラキシーを起こしたことがある方は接種できません。
尚、ワクチンにはごく微量ですが鶏卵由来成分が含まれているため、アレルギー症状が起こることが稀にあります。鶏卵や鶏肉などのアレルギーがある方は注意が必要です。

※アナフィラキシーとは食物や薬物が体に入ってから短時間で生じるアレルギー反応です。発疹、じんましん、赤み、かゆみ、呼吸困難などの症状が急に起こります。血圧低下や意識レベルが低下するような場合を‘アナフィラキシーショック’と呼びます。ごく稀にインフルエンザワクチンの接種時にアナフィラキシーが起こることがあり、ほとんどの場合は接種後30分以内に起こります。接種後は、しばらく施設内で様子をみてから帰宅するようにしてください。帰宅後に異常が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

③過去に注射や採血で気分が悪くなったことや※失神などを起こしたことがある方は、必ず予診の時に伝えてください。あらかじめ横になって接種を受けることや、接種後長めに様子をみるなどの対応についても相談しましょう。

※ワクチン接種後に起きる失神で最も多い原因が‘迷走神経反射’です。‘迷走神経反射’とは、様々な原因によって血管の拡張、血圧低下、脈拍低下を起こす生理的な反応です。脳の血流が減って意識消失する前に、頭痛、気分不良、嘔気・嘔吐、冷や汗、目の前が真っ暗になるなどの症状が現れます。
これはワクチンの成分が原因ではなく、緊張や強い痛み、刺激などにより引き起こされます。気になることはすべて予診の時に確認し、不安を取り除いた状態で接種することが大切です。
少し足を高くしてしばらく横になっていれば改善することがほとんどですが、転倒によるけがなどが無いよう注意が必要です。

副反応(接種部の腫れ、発熱、関節痛など)が起こった場合の対処法をお教えください。

腫れや赤みに対してはまず冷やしてください。過度な運動や飲酒、長時間の入浴は血行が良くなり腫れや赤みを増強させますので控えた方が良いでしょう。また、入浴時には接種部位を強くこすらないようにし、腫れがひどい場合は入浴自体を控えた方が良いでしょう。
発熱、頭痛、関節痛、倦怠感などがある場合はまずしっかり水分を摂取し、十分な休息をとってください。いつもより尿の色が濃い、量や回数が少ない場合はまだ水分が不足している可能性があり、さらなる水分補給が必要です。
症状が重い場合、数日経過しても軽快しない場合は医療機関に相談してください。

副反応で発熱した場合、コロナワクチンは市販の解熱鎮痛剤を服用して良いと厚生労働省からの記事が出ておりますが、インフルエンザワクチンの場合でも市販薬を服用しても良いのでしょうか?

インフルエンザワクチンと一般的な解熱鎮痛剤との併用に特に問題はありません。ただ、インフルエンザワクチンの副反応は、新型コロナワクチンの副反応と比べ頻度も程度も軽微であり、解熱鎮痛剤が必要となるケースは稀です。インフルエンザワクチンにおいても、厚生労働省が新型コロナワクチンの際に提示した内容と注意事項は同じです。現在治療中の疾患がある方、妊娠中・授乳中の方、薬などでアレルギー反応や喘息を起こしたことのある方は服用する前に医師にご相談下さい。
インフルエンザワクチンの副反応は通常2-3日で消失します。症状が重い場合や長く続く場合も、医師にご相談下さい。

ちなみに、インフルエンザワクチンの副反応に対してではなく、インフルエンザ感染時の解熱鎮痛剤使用についての補足です。
厚生労働省では、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)について、明確な因果関係は認められないものの、インフルエンザ脳炎・脳症患者に対する投与を禁忌とすることとし、日本小児科学会では、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェン(カロナール)が適切であり、非ステロイド系消炎剤(ロキソニン、ボルタレン等)の使用は慎重にすべきである旨の見解を公表しています。

コロナワクチンでは、事前に予防として解熱剤を服用される方もいるようですが、インフルエンザワクチンでは問題はないのでしょうか?

先程も申しましたが、インフルエンザワクチンの副反応に対して解熱鎮痛剤が必要となることは稀です。
解熱鎮痛剤にも胃腸障害、喘息発作、腎機能障害などの副作用があり、安全性が高いと言われているアセトアミノフェンであっても副作用が全く無い訳ではありません。
出てもいない症状に対して服用した薬の副作用で健康被害が生じる場合もあり得ますので、事前に服用されることはお勧めしません。

本日は、ありがとうございました。

お話を伺った先生:榮樂 周子 先生(医療法人榮樂会 榮樂クリニック・大阪府枚方市

【専門医・資格等】

  • 医学博士
  • 総合内科専門医・認定内科医
  • 消化器病専門医
  • 消化器内視鏡専門医

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