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2015年 「新社会人はうつ病に注意」 – かわぐちクリニック 川口 俊介 先生

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新社会人のうつ病について、かわぐちクリニックの院長 川口 俊介 先生にお話しを伺いました。

5月病、6月病について教えて下さい。

5月病・6月病とは、新入生・新社会人の方が入学・入社し、新しい生活環境や職場環境になかなか慣れることが出来ず、GW明けにうつのような症状が出てくるものです。病名で言うといわゆる適応障害です。6月病に限って言うと、新入社員の方では新人研修などが終わって、配属が決まり実際に業務がスタートする中で、入社前に抱いていた理想と現実の差のストレスでうつのようになるのでしょう。また、季節的に梅雨の影響も関係してくるのではないでしょうか。

要因として異動などが多い季節で、職場環境が変わることでストレスを受けやすいのでしょう。新しい環境に適応できないことから、夜眠れなくなったり、不安感が出たり、気分が落ち込んだり、やる気が出てこないなど、心や体に不具合が起こりやすくなります。

4月から5月にかけて特に負担となるストレスについて教えて下さい。

やはり環境の変化が多いですね。職場や、引越しなどで実家から急に一人暮らしになる、初めての土地で暮らすことが考えられます。

もちろん人間関係も新しくなりますから、これもストレスとなるでしょう。

5月病、6月病や燃え尽き症候群などに陥らないためには、どんな心構えが必要でしょうか?

5月病・6月病でしたら、新しい環境に慣れていくと同時にストレスを溜めこみやすいので、日ごろからストレスを発散することを心がければ良いと思います。たとえば、しんどくなった時にいろんな人に話を聞いてもらったり、休日に趣味をして過ごしたり、新しい職場の人と早く人間関係を構築するために飲み会を行うなど、良いのではないでしょうか。また、昔の友人と会ったりして、みなさんそれぞれの方法で気分転換するのがオススメです。

また、燃え尽き症候群に関しては、就職後に陥る方が多いようです。最近では新卒の方でも社会人になれば、会社の即戦力としてすぐに活躍を求められがちで、そのような社会的情勢も関係しているように感じます。

うつ病になる人の傾向はどういった人ですか?

昔は、真面目で責任感が強く頑張り屋さんタイプの方がうつ病になりやすいと言われていましたが、最近ではどんな人でもなる可能性があると言われています。「自分がうつ病にかかるなんて、まさか思ってもいませんでした。」と言われる方が多いのが最近の傾向です。

年齢層も色々ですが、世代によって悩みもさまざまですね。20代の若い層だと、上司から色々言われ、精神的にまいってしまうことが多い様です。30~40代に多い上司と部下の板挟みの層では、働き盛りでもある分、仕事は多く、部下の面倒も見ながら、上司からも色々言われ、仕事の負荷自体が大きく、疲れてしまうことがあります。50代以上の層では、先が見えてきて、職場での立ち位置も微妙になり、気持ちの葛藤の部分でしんどくなってしまう方が多い様です。

性別で見ると、心療内科に受診される方は女性の方が多いですが、悩みもさまざまです。勤務されている女性だと、悩みは仕事・家庭・両親・子供など多岐に渡ります。主婦の方だと、悩みは子供のことや御主人との関係が多いです。男性の方はやはり仕事と時間の関係で来院される方が多くないように思います。

うつ病に陥ると、どのような症状があらわれるのでしょうか?

まずは、不眠ですね。仕事のことや人間関係が気になって寝付けなくなってしまったり、寝付いても途中で目が覚めてそれから眠れなくなったりします。

次に、意欲の低下です。何をするにもやる気が起きなく、億劫になってしまいます。仕事をしていても、なかなか捗らず集中力も持続しない、など考えられます。また仕事のパフォーマンスも低下し、上司に怒られるだけで不安になり仕事がはかどらなかったりします。あとは悩みがあると食欲の低下や休日に気分転換をしようと思っても、何も楽しめなくなり今まで楽しめていた趣味も出来なくなったりします。このような状況で日常生活を過ごしてもつらいだけですね。

このような状況は非常に悪循環で、仕事に行っても捗らず上司には怒られ、休みに気分転換しようと思っても出来なくなり、仕事に行くのも嫌になるでしょう。

病気と認められる症状と一時的な症状の線引きはどこでしょうか?

そのような線引きは日常生活に支障が出ているかどうかですね。一時的なものでしたら、気分転換や休日のリフレッシュで収まってきますが、病気だなと思われるものは、日常生活に支障が出てきて、なかなか気分転換もできなくなることではないでしょうか。

「かわぐちクリニック」では患者様に対して行う治療方法はどのようなものですか?

5月病・6月病やうつ病には環境的な要因が多いので、まずは環境の調整ですね。具体的には休養が必要な方には休養を勧め、それだけで症状が改善したり、気持ちも楽になったりされます。必要な方にはお薬の治療を行います。抗うつ薬や安定剤などです。このようなお薬に抵抗がある方へは漢方薬で治療します。気分転換できることを一緒に考えます。


――――――お薬に抵抗を持たれる方は多いですか?

やはり多いです。お薬に依存してしまい、「なかなか止められなくなるのではないか」、「きつい副作用があるんじゃないか」など思われて、抵抗されることはあります。そのような方には即効性は無いですが漢方薬をお勧めします。漢方薬というのは継続して飲むことで体質を改善していくものです。

最後に、薬以外でうつ病を個人で防ぐ、予防する、症状を和らげるにはどのような方法がありますか?

私個人としては有酸素運動を勧める様にしています。有酸素運動はうつ病には効果的とも言われています。あとは趣味のお話をして趣味の方へ気持ちを向けてもらうようにしています。症状を和らげる方法は患者さんからよく聞かれます。女性の方でしたらアロマテラピーやリンパマッサージでよく眠れたりリフレッシュ出来たりするそうです。旅行もよくお勧めします。仕事以外に生きがいや拠り所を持っている方はうつ病に強いと思います。「毎日の仕事は大変だけど、休日に趣味が出来れば大丈夫です!」というのが理想的ですね。


――――――本日はありがとうございました。

お話を伺った先生:川口 俊介(かわぐち しゅんすけ)先生(医学博士)(かわぐちクリニック・大阪市北区

【専門医・資格等】

  • 医学博士
  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会専門医
  • 日本医師会認定産業医

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