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第3回:「おうちでできるインフルエンザ対策」

インフルエンザを防ぐには、ワクチン接種だけでなく、日常生活での予防も欠かせません。この回では、 手洗いやマスクの正しい使い方、家庭で気をつけるべきポイント を具体的にお伝えします。また、お子さんが発熱した時の対応や、インフルエンザ脳症を防ぐための注意点もご紹介します。

インフルエンザ予防の基本

  1. 手洗い・うがい
    外出から帰ったら必ず手洗い・うがいをしましょう。アルコール消毒も有効です。
  2. マスクの着用
    人が多い場所ではマスクを着用することで飛沫感染を防げます。
  3. 十分な睡眠と栄養補給
    免疫力を高めるために、バランスの良い食事としっかりした睡眠を心がけましょう。

インフルエンザ時の解熱剤の使い方:うにし小児科からのアドバイス

普段の発熱時の対応

私は「お子さんが発熱していても機嫌が良いなら、無理に解熱剤を使わなくても大丈夫」と 普段のの診療ではお伝えしています。発熱は体がウイルスや細菌と戦っているサインでもありますので、無理に下げる必要はありません。水分をしっかりとり、ゆっくり休ませてあげることが基本です。


インフルエンザ時は別!

しかし、インフルエンザの時は例外です。インフルエンザは他の風邪と異なり、高熱が長時間続くことが多く、脳への負担が大きくなる可能性があります。特に、インフルエンザ脳症を予防するためには、体温管理がとても重要です。

インフルエンザで発熱した時のポイント:

  1. 高熱が続く場合は解熱剤を使用する
    体温が39℃を超えたり、ぐったりしている場合は、解熱剤を使用して体温をコントロールしましょう。無理に下げ過ぎる必要はありませんが、脳への負担を軽減するための手段として解熱剤は有効です。
  2. 水分をしっかり補給
    高熱の時は脱水が進みやすいため、こまめな水分補給が欠かせません。経口補水液や麦茶などを適度に与えてください。
  3. 薄着を心がける
    発熱時に厚着をさせたり毛布で包むと、体内の熱がこもってしまいます。体温を逃がすために薄着を意識しましょう。
  4. 異常な症状に注意
    高熱が続いている中で、ぐったりしている、意識がもうろうとしている、または痙攣がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

なぜインフルエンザ時の解熱剤使用が重要なのか?

インフルエンザ脳症の原因の一つは、脳の温度(脳温)が40℃以上に上昇することにあります。普段の発熱では、脳温が体温よりも大きく上昇することは少ないですが、インフルエンザの場合は脳温が体温以上に上がりやすいとされています。このため、高熱を放置せずに解熱剤を適切に使うことが重要です。

ただし、解熱剤については使用する種類にも注意が必要です。 小児で使用できるのはアセトアミノフェンのみです。インフルエンザ時には、特定の解熱剤ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)の使用を避けた方が良いとされていますので、医師の指示に従ってください。


うにし小児科からのメッセージ

お子さんが発熱すると、親御さんはとても心配になるものです。特にインフルエンザは急速に症状が進むこともあるため、早めに医療機関での診察を受けることが安心につながります。

普段は「機嫌が良ければ解熱剤は不要」とお伝えしていますが、インフルエンザの時は例外です。適切な体温管理で、インフルエンザによる重症化を防ぎましょう。お困りの際は、いつでもうにし小児科にご相談ください!


第2回:「インフルエンザワクチン、1月でも遅くない理由とは?」 まだ間に合う!ワクチン接種でインフルエンザに備える方法

「1月になってからワクチンを打つ意味があるの?」と疑問に思う方も多いと思います。この回では、 1月でも接種が推奨される理由 やワクチンの効果、今年のワクチンに含まれているウイルス株(A/H1N1やB型株など)についてお話しします。また、受験生を持つご家庭にとって、ワクチン接種がいかに大切かも解説します。

現在大流行中のインフルエンザウイルスの型「A(H1N1)pdm09」とは?

当院で最近検出されるインフルエンザウイルスは、「A(H1N1)pdm09」という型が多いことが分かっています。この表記は少し難しく見えるかもしれませんが、今回は一般の方にも分かりやすく、これが何を意味しているのか解説します。


インフルエンザウイルスの「A」とは?

インフルエンザウイルスには主に3つのタイプ(型)があります:

  • A型
    最もよく知られたタイプで、人だけでなく動物にも感染します。流行しやすく、大規模な流行(パンデミック)を引き起こすことがあります。
  • B型
    主に人間に感染し、比較的小規模な流行を起こします。
  • C型
    流行することは少なく、症状も軽いことが多いです。

「A(H1N1)pdm09」は、インフルエンザA型に属します。


「H1N1」とは?

インフルエンザウイルスの表面には、2種類の突起状のタンパク質があります:

  • H(ヘマグルチニン)
    ウイルスが細胞に侵入する際に使う。
  • N(ノイラミニダーゼ)
    増殖したウイルスが細胞から外に出る際に使う。

Hには18種類、Nには11種類の型があり、これらの組み合わせによってウイルスが分類されます。「H1N1」は、1番目のヘマグルチニンと1番目のノイラミニダーゼを持つウイルスという意味です。


「pdm09」とは?

「pdm09」は、「パンデミック2009年」の略です。
このウイルスは2009年に初めて発見され、大規模な流行(パンデミック)を引き起こしました。そのため、従来のH1N1型と区別するために「pdm09」という名前が付けられています。


A(H1N1)pdm09の特徴

  • 2009年の新型インフルエンザとして知られる株です。
  • 主に季節性インフルエンザの一つとして現在も世界中で広がっています。
  • 通常のインフルエンザと同じような症状(発熱、咳、倦怠感など)を引き起こしますが、体力が低下している方や基礎疾患がある方は重症化するリスクがあります。

2024/2025年シーズンのインフルエンザワクチンに含まれるウイルス株

インフルエンザワクチンは、毎年の流行予測に基づいて製造されています。今年のワクチンには、以下の4種類のインフルエンザウイルス株が含まれています。

  1. A型株(H1N1): A/ビクトリア/4897/2022(IVR-238)
    → 2009年の新型インフルエンザ(A(H1N1)pdm09)の流れをくむ株で、毎年広がりを見せています。
  2. A型株(H3N2): A/Darwin/9/2021(IVR-227)
    → 季節性インフルエンザの中で高齢者や基礎疾患を持つ方に影響を与えやすい株です。
  3. B型株(山形系統): B/Phuket/3073/2013
    → 若年層での感染が多いB型の代表株です。
  4. B型株(ビクトリア系統): B/Austria/1359417/2021
    → B型のもう一つの主要な株で、子どもたちにも感染しやすいタイプです。

さらに、経鼻型ワクチン「フルミスト®点鼻液」には、A型株として A/ノルウェー/31694/2022(H1N1)株 が含まれています。

2024~2025年シーズンのインフルエンザワクチンには、A(H1N1)pdm09ウイルス株として「A/ビクトリア/4897/2022(IVR-238)」が含まれていますので効果が期待できます。


なぜ今からでもワクチン接種が重要なのか?

  1. ワクチン接種の効果は約2週間で発揮される
    接種してから抗体ができるまでに約2週間かかりますが、インフルエンザの流行はこれから本格化します。今から接種しても十分間に合います!
  2. 重症化を防ぐ効果がある
    特にお子さんや高齢者、基礎疾患のある方は重症化リスクが高いため、ワクチンでそのリスクを大幅に減らすことができます。
  3. 集団免疫を高める
    家庭や学校、保育園での感染拡大を防ぐためにも、一人ひとりの予防が重要です。

接種を迷っている方へのアドバイス

「今年はまだ受けていないけれど大丈夫かな?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。インフルエンザワクチンは予防だけでなく、万が一感染してしまった場合でも症状を軽くする効果があります。これだけでも受ける価値があります!

また、注射が苦手なお子さんには、針を使わない経鼻ワクチン「フルミスト®点鼻液」もおすすめです。詳細は当院にお問い合わせください。


うにし小児科からのメッセージ

インフルエンザは毎年多くの人に影響を与える感染症ですが、ワクチン接種や基本的な予防策で多くを防ぐことができます。

今からでも間に合いますので、ぜひワクチン接種をご検討ください!
ご予約やご質問は、うにし小児科までお気軽にご連絡ください。一緒にこの冬を健康に乗り切りましょう!



Vol.10 インフルエンザからご家族を守るためにー第1回:「2024/2025年のインフルエンザ、どうなってるの?」

こんにちは。うにし小児科です。
寒さが本格化し、インフルエンザの流行が全国で広がっています。今回は、 今流行しているインフルエンザの最新情報や予防法 を3回に分けて詳しくお届けします!ぜひご家族の健康管理にお役立てください。
第1回:最新情報を徹底解説!今年流行中のインフルエンザウイルスの特徴

全国的にインフルエンザが流行しており、 当院での「BioFire® SpotFire®システム」を用いたPCR検査でも特にA(H1N1)pdm09株多く検出されています。今回は、最新の流行状況やウイルスの特徴についてわかりやすくお伝えします。

東京都では、12月23日から29日の1週間で、1医療機関あたりの患者数が56.52人と増加し、流行がさらに拡大しています。 また、長崎県でも3週連続で警報レベルに達しており、感染力の強いA/H1pdm09型ウイルスが検出されています。

1)A(H1N1)pdm09株とは?

このウイルス株は2009年に新型インフルエンザとして話題になりました。「H1N1」という名前は、ウイルスの表面にあるタンパク質(ヘマグルチニンとノイラミニダーゼ)の型を表しています。

A(H1N1)pdm09は若年層にも広がりやすく、高熱や重い倦怠感を伴うことが特徴です。また、適切な対応をしないと脳症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

2)今、どのように対策をすべきか?

ワクチン接種:インフルエンザワクチンは、接種後約2週間で効果が現れ、約5か月間持続するとされています。 特に受験生や高齢者、基礎疾患をお持ちの方は、インフルエンザに感染すると重症化するリスクが高まります。ワクチン接種は、発症予防だけでなく、重症化や合併症のリスクを軽減する効果もあります。 当院では、1月中もインフルエンザワクチンの接種体制を整えております。受験シーズンを控え、ご心配な方はぜひご相談ください。 ワクチン接種で、大切な時期を健康に過ごしましょう。

感染対策の徹底:手洗い、マスクの着用、十分な休養と栄養補給で免疫力を高めましょう。