月別アーカイブ: 2017年12月

インフルエンザの薬は処方しません!

西宮北部も東山台小を主に局所的にインフルエンザの流行が始まりました。

以前より問題になっていたことですが、10代を中心に抗インフルエンザ薬を使用すると幻覚などの症状が増強し、家からの飛び出し、ベランダからの飛び降りなど異常行動の危険があることから、厚生労働省は抗インフルエンザ薬を使用する際は少なくとも2日間は保護者の監視下に置くように周知するよう通達を出しました。

多くの方が勘違いしていますが、抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスを退治する薬ではありません。インフルエンザウイルスが増殖しても感染した細胞から出られないように封じ込める薬です。ウイルスを退治するのは自分自身の免疫システムです。薬を使っても半日から1日解熱するのが早くなると言う効果しかありません。

数年前から抗インフルエンザ薬を使うと、全く同じインフルエンザウイルスに同じ年に同じ人が何回も罹ることがデータで示されていました。ウイルスの増殖が抑えられ量が少なくなる分、わずかに解熱が早くなりますが、その代わり充分な免疫応答が起きず、次の感染を防ぐのに必要なだけの充分量の抗体が出来ないことが原因です。

人間は多くのウイルスに罹って免疫を作っていくことで、同じものに罹らなくなっていきます。子供の頃に罹らなければ大人になって罹ります。

半日から1日楽になるために薬を使い一生同じウイルスに罹り続ける羽目になるくらいなら一度しっかり罹って免疫が出来た方がずっと良いと思います。

当院では心臓疾患や免疫低下状態にある基礎疾患のない健康なこどもさん、親御さんには一切の抗インフルエンザ薬を処方しません。もし、ご希望の方は他院を受診くださるようにお願いします。


インフルエンザ2017

久々のブログ更新(>_<)

いよいよ西宮北部もインフルエンザが出始めました。

12月第2週は主に東山台小、塩瀨中で10名のインフルエンザ感染が見られました。

西宮市は自前の感染症分析施設がなく兵庫県立健康科学研究センター感染症部に解析を委託しており、またインフルエンザのウイルス調査をする定点が1箇所しかなく、西宮市内でどの種類のインフルエンザが流行しているのか情報は不足しています。

全国の流行状況を見ると

https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/inf3/2016_36w/sinin1_171207.gif

主にいわゆる新型が流行しているようですが、症状から見て先週の西宮北部では香港型が流行しているように思います。

昨シーズン国立感染症研究所から発表されたように現在の作成方法では香港型に有効なインフルエンザワクチンは作れません。

https://www.niid.go.jp/niid/images/flu/antigenic/20170626/H3N2/1.jpg

ワクチンを接種しても香港型には感染する可能性が高いことになります。逆に新型についてはワクチン接種により有効な免疫が出来る可能性(あくまでも可能性)が高いと推測されています。

今年は製造が遅れ、先週までインフルエンザワクチンが不足していましたが、今後製造が完了したワクチンが大量に供給されてきます。関西は他の地域に比べ流行期に入っていない地域が多く、今後流行する新型への対策として今からワクチンを接種しても充分間に合います。

ワクチンが入荷次第予約サイトでアナウンスしますのでお手数ですが時々チェックしてみてください。