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医学博士

つい先日、医学博士号をいただきました。

今6歳の息子が生まれた直後に研究をはじめたので、子育てのための途中休憩はありましたが、それは長い道のりでした。

クリニックの定休日にあてている毎週火曜日に、今も大学病院に行っていますが、そこでずっと川崎病の研究を続けています。そのテーマで博士号をいただきました。

 

ところで、川崎病って何? と、ときどき言われます。

公害ですか?ときかれることもあります。

この病気は川崎市でかかる病気ではなくて、川崎富作先生が発見された病気です。約50年前に報告されていますが、いまだに原因もはっきりつきとめられていません。でも年間1万人の患者さんが出ていることや心臓に後遺症を残すことがあって、こどもの病気としては要注意のものです。

なぜ研究テーマを川崎病にしたのか。

これはたまにあきれられますが、研修医の時にはじめて参加した川崎病学会で、白髪のステキな川崎富作先生にお会いして握手していただいたことがきっかけです。川崎先生のファンになった、という単純なはなしです。

でも、川崎病はまだまだわかっていないことが多くて非常に奥が深く、研究していてなんとなくハマってしまいました。その結果、博士号までいただいちゃいました。

 

人生、わからないものですね。

ちょっとしたきっかけでなにかがかわったり、はじまったり、するんですね。

 

ところで先週、国際川崎病学会が京都で開催されました。

相変わらずステキな川崎先生(御歳88におなりです)にお会いして、また握手をしていただきました。

「この握手が始まりであった」事をお伝えしたかったのですが、なんとなく胸がいっぱいになって何も言葉にならず、握手のお礼をいうことしかできませんでした。

お伝えできるまでは絶対にご健在でいらっしゃってくださいね・・・と祈るような気持ちで京都から帰ってきました。

 

 


診療と研究と

最近とても疲れていて、ブログを更新できていませんでした。今日は頑張って書いてみます。

 

当院は火曜日が休診です。休診でも実は遊んでいるわけではありません。京都にある大学病院に行っています。

そこで何をしているかというと、川崎病専門外来と臨床研究をやっています。

京都まで車で高速を使って片道約1時間半くらいの道のりです。体力的には結構しんどいのですが、火曜日の朝は気分的にはウキウキしてます。

私は普段の診療も好きですが、実は研究も大好きです。自分でもこんなに研究にはまるとは思っていませんでしたが、やりはじめると面白いものです。

その昔、若かりし頃はむしろ「研究なんて・・・」と思っているほうでした。なんだか地味だし、暗い!というイメージを抱いていました。

でも研究好きの先生が、

「診療って、目の前にいる患者さんひとりひとりを相手にして治療しているだけだろ。だけど研究って、結果が出れば何万人というこどもを助けることができるんだ。すごいだろ?!」

と、力説されていたのを覚えています。その通りです。すごいことです。今はそう思います。

そこまでの結果が出せるかどうかはわからないですが、研究をしているとそんな妄想にとらわれることがあります。

研究の形はいろいろありますが、私の研究は患者さんに直結した内容なので、いろんな仮説や予想をたてて、それが証明されるべく、いろんなデータを集めていきます。予想していた結果につながりそうなデータが集まってくると、

「これってすごいことがわかってきてるんじゃない??」

とか、

「この予想が正しいとしたら、治療が変わってくるんじゃない??」

とか、胸が躍ることがあります。(もうそんなに若くないので普段胸が躍ることはなくなりましたし、とても貴重な体験です。)

そんなたまに感じるわくわくが研究の醍醐味でしょうか。

マラソンランナーがマラソンをやめられないのと似てるかもしれません。

真面目に研究をやっている人にすればふざけてると思われるかもしれませんが、こんな研究者がいてもアリでしょう。

 

どんなことでも自分の楽しみに変えていければ、人生はもっともっとたのしめるはず、ですもんね。

 

 

でももちろん、普段の診療もとても大切にしています。

 

これも私が若かりし頃の話ですが、診療の大好きな先生が、

「もともと元気なこどもを元気に戻してあげるって、当たり前のことだけどすごく重要なことだよね。」

とおっしゃってました。

本当にその通り!です。だから普段の診療はやめられません。

 

そんなこんなで、診療と研究はやっぱりどちらも捨てられず、どちらにもしぼれず、体力の限界を感じながらも両方続けていきたいと思っています。

 

でもそろそろ体力の限界かなぁ、なんて思っていましたが、最近ちょっとずつこどもたちの病気も落ち着いてきているようです。

こどもたちの体調が落ち着いている時期は少し診療枠を減らして、また秋~冬のいろんなものが流行ってドえらいことになる時期にむけて、体力を温存しておこうと思います。

 

診療枠減少にご理解いただければ幸いです。


予約診療の意味

当院は基本的に予約診療です。

携帯やパソコンでインターネットにアクセスして、予約を取っていただいています。すこしでも診療時間の目安になるかと思って導入しましたが、これが結構トラブルのもとになっています。

予約の順番に、診療が近づくとお知らせメールがとぶはずなのですが、よく「メールが来ません」と苦情が入ります。予約システムの業者と何度も改良とメンテナンスを繰り返し、テストではとくに問題ないのですが、それでもなぜか実際にはメールが飛ばないことが多々あるようです。

ど素人の私にはよくわかりませんが、考えられる原因はいろいろあるようで、そのうちの一つは「患者さんを予約順に診なかった」ということなんだそうです。

たまにずいぶん後の予約の方が「こどもがしんどそうで予約の時間まで待てなかった」という理由で前倒しで来院されることがあります。

「??」のこともありますが、「こりゃ待てないわ」のこともあって、一概に順番抜かしのお母さんを責めるわけにはいきませんし、受付のスタッフは医療の素人ですから、医療的に公平な判断は難しく、やはりお母さんの訴えに従って受けつけてしまいます。そうすると予約の順序が乱れてメールがうまく飛ばなくなるんだそうです。

あと、予約なしの飛び込み診察の方がいらっしゃいます。飛び込み患者さんは受けつけないクリニックもあるそうですが、当院は私の考えで出来る限り全員受け入れています。

なぜなら、「こどもの病気は突然」だからです。

「落ち着いて予約なんかしている場合じゃなかった」場合や、「予約が埋まっていて取れなかったんだけれどもどうしてもみてほしい」場合など、飛び込んでしまう理由はいろいろあるはずです。

でも飛び込みを引き受けることでどうしても診療の時間はおくれおくれになるので、予約の患者さんには不満が募るようです。

たまに受付で、

「予約の意味はどこにあるんですか?」と憤慨されてるお母さんがおられます。そんなお母さんも診察室に入ってこられれば私にはそんな文句などおっしゃいませんが、受付での声は診察室に丸ぎこえです。私の前でサンドバック状態の受けつけスタッフに内心詫びながら、でもそのお母さんの気持ちもわかりますし、気を取り直してこどもの病状を私に説明しているお母さんの顔を微妙なおもいで眺めます。

うちの予約システムがただの順番予約でしかないことを説明すべきか、お母さんの気持ちもわかっていることを言ってあげるべきか、飛び込み患者さんの事情を話すべきか、・・・etc

でも結局は何も言いません。病気や治療や薬の説明で時間を取ってしまうからです。早く次の患者さんをみてあげないと、しんどい子供たちがわんさと待っています。なーんとなくかくしきれない不機嫌さを漂わせているお母さんの姿としんどそうなこどもの姿と、あんまりいい雰囲気でない診察室の空気をなるべく変えられるように私もいろいろ努力はしているつもりです。(が、・・・まあ、それはみなさんの評価におまかせします)

本来、当院の予約は実は診療の「順番」予約でしかありません。でも10分ごとの予約の時間が設定されていることで時間指定のような勘違いが起こってしまっているわけです。時間表示が出ないようにしたいところなのですが、システムの業者さんいわく、当院の導入システムではそういう設定は出来ないんだそうです。残念。。。

もっとウン百万の高価なシステムを導入すれば出来るんでしょうけれど、うちにはそんな財力もありません。現状では憤慨されてるお母さんにはとにかくこんなご説明しかできませんが、どうでしょうか。

ちょっとでもご理解いただけるとうれしいです。

 

あと、夜診に来られる患者さんで、たまにお母さんがおっしゃいます。

「はやくみてもらえませんか、でないとうちの子は寝不足になってしまいます・・・」

これはどうしようもありません。夜診にこられる患者さんはみなさん同じ状況なので、これは勘弁してください。。。

宜しくお願いします。


悩めるお母さんたち

外来をしていると、お母さんたちの悩みをときどき聞きます。大抵が子育てに関することです。

「こどもがいうことをきかない、きかせ方がわからない」

「いらいらしてついこどもにあたってしまう」

これがお悩み2大テーマのようです。

 

むずかしいですね。私もまさに子育て真っ最中なので、同じ悩みを抱えています。

たとえば、忙しい朝にはひと悶着おきることが多いです。なぜなら、こどもは時間があろうがなかろうがとっても落ち着いていて、クソいそがしい朝でもゆっくりのんびり食べるんです。

 

私「はやくたべなさいよ~」

息子「はーい」(でもパンをじっとながめています)

私「時間がないのよ~、いそぎなさい。」

息子「う~ん、ねえ、このパン、バターじゃなくてマヨネーズのせて焼いてほしかった。」(パンをつまんでひらひらさせてます)

私「そお? でも昨日はバターがいいって言ってたよね、だからそうしたんだけど? もう遅いよ、早く食べて。」

息子「でもねぇ、今日はマヨネーズなの。それとね牛乳ね、あのコップに入れてよ、サンタさんのついてるやつ。」(今度は長い魚肉ソーセージをにぎってぷらぷらさせてます)

私「明日はあのコップに入れるわね、ソーセージ、遊んでないで食べなさいよ。」

息子「ねえねえ、ママ見て。このソーセージ、こうやって食べると汽車みたいになるよ。」(ソーセージを横からかじって歯形をつけてよろこんでいます)

私「あ~、ほんと。でもね、とにかくいそぎなさい、時間ないよ、聞いてる?」

息子「ダダンダダン、シュッシュッ、ダダンダダン、ヒュ~」(ソーセージを汽車にみたてて遊びだしました)

私「こらぁ!何度言ったらわかるの!いい加減にしなさいよ!!早く食べなさいっていってるでしょ!!そんなことばっかりしていそがないんだったらひとりで保育園行きなさいよ!!ママはしりませんよ!!!」(・・・ひとりで行けるわけありません)

1週間の半分はこんな感じです。

 

こどもと過ごしていると、こどもは自分から生まれてきた人間であるにもかかわらず、自分とはまったく別の個体であるのだということをときどき強く思い知らされます。こどもがこの世に生まれ出てへその緒が切れた瞬間から、親子であっても完全に理解しあうことは決してないんじゃないかと、こどもの寝顔を眺めながら思うときがあります。もしそうなら、「こどものため」といいながら「じぶんのため」の子育てを結局してしまっているんじゃないかと自分の子育てに疑問を抱いてしまうのです。そしてこのイライラはものすごく利己的な感情で、それをこどもにぶつけて私はすっきりしてしまってるんじゃないだろうかと。。。

子育ては悩みだすと止まりません。これ以上になやましい作業が世の中にあるとは思えません。仕事のほうがよっぽど気楽です。

でも子育て以上にやりがいのある作業もありません。こどもはどんなときも母に対して愛情を向けています。そして自分に対する母の愛情もとことん信じています。こんなゆるぎない愛情でむすばれた関係がほかにあるでしょうか。(旦那さんのことを考えてみてください。結婚前はあふれんばかりの愛情を見せていても結婚後は。。。ええ加減なもんです。)

どんなに子育てが大変でも、母子の特別な関係を大切にしてほしいと思います。それだけの価値があることだと思います。

とにかく気を張らず、こどもとともに楽しむ心を忘れず、ひとりで悩まない。それがポイントでしょうか。

そう言いながらも「言うはやすし、行うはかたし」で、わたしも悩めるお母さんのひとりです。

 

そこで、イライラしてしまうお母さんにおすすめなのが、セントジョンズワートティーです。

気持ちを落ち着け、こころに明るさを取り戻す「サンシャインサプリメント」と呼ばれるこのハーブティーを毎食後に飲んでみてください。

ただしこのハーブは強心薬(ジゴキシン)、免疫抑制薬(シクロスポリン)、気管支拡張薬(テオフィリン)、血液抗凝固薬(ワーファリン)、経口避妊薬などとの併用には注意が必要です。