コロナの自粛明けの運動再開における注意点について、くぼ整形外科クリニック 院長の久保 隆彦 先生にお話をお伺いしました。
長期間のコロナ禍の中、行動制限も緩和され、コロナ感染以前と同様に運動を再開される方も増えてきました。しかし、このような運動再開により「疲労骨折」する子供たちが急増しているといニュースがありました。
一般的に知られているのが「外傷性骨折」と言いまして、打撲等で外部からの要因で骨に負担がかかって折れることです。それに対し「疲労骨折」はそこまでの大きな力ではなく、集中して且つ持続的に負荷がかかることによって起こる骨折です。ご本人は意識していなくても、いつの間にか負荷がかかっていて折れている場合もあります。
先日、宇宙飛行士が地球に帰還した後、骨量・骨質(骨の強度)がなかなか戻らないというニュースを目にしました。宇宙は無重力のため、骨に対して体重による影響がないので骨が弱ってくるのです。人間の骨というのは自身の体重も含め、何らかの刺激によって強くなっていきます。走る・曲げる・倒れることで骨の細胞はミクロの世界で破壊されていきます。この破壊によって新たな細胞が集まってくる、その繰り返しが骨を強くしていくのです。
コロナ禍での自粛により、このような骨に対する刺激が急に、しかも長期に渡り少なくなったことが原因の一つではないでしょうか。特に子供の場合は、通常であれば体育の授業はもちろん、登下校時の歩行や休憩時間の遊び等、体を動かす機会がたくさんありますので、それがなくなってしまったことが大きな原因だと考えられます。
休校により、給食を摂ることがなくなったことも考えられます。給食は、管理栄養士という専門家が立てたバランスの良い食事です。骨を強化するビタミンDやカルシウムが十分含まれたメニューもあります。しかし、ご家庭で給食のような食事を毎日提供するのはなかなか難しいでしょう。
それから、骨を強化するために必要な紫外線の吸収が、自粛により外に出なくなったため少なくなったということも言われています。
成長期である子供は、先ほど申しました骨の破壊と新生が頻繁に行われますので、自粛による影響が最も大きいのかもしれません。
例えば仕事や日常の運動において、使う部位や動作の集中度、負荷をかける時間によっては一般の大人でも骨折する可能性は十分あります。
運動を再開する時は、骨や筋肉への影響をなるべく抑えることが大切です。例えば、運動量は急に以前のレベルに戻さないように徐々に増やすようにし、長時間の運動は避けましょう。また、「疲労骨折」する部位の大半は足ですので、靴を選ぶ際は、少しゆとりがあり柔らかくクッション性のあるものを選びましょう。そして、コンクリートのような固い場所ではなるべく運動をしないようにしてください。
――――――本日は、ありがとうございました。
お話を伺った先生:久保 隆彦 先生(くぼ整形外科クリニック・大阪市都島区)
【略歴】
https://kubo-seikei.com/
https://www.ddmap.jp/0669247070
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