夏風邪の予防と対策について、ごとう内科・消化器内科の院長 後藤 靖和 先生にお話を伺いました。
医学的には「夏風邪」という言葉は存在せず、冬にかかる一般的な「風邪」に対して、夏にかかるものを慣習的に「夏風邪」と呼んでいます。風邪はウイルスがのどや鼻の粘膜などから侵入してかかります。風邪の原因となるウイルスは200種以上もあると言われていますが、冬はコロナウイルスやライノウイルス、インフルエンザウイルスが、夏は高温多湿の環境で活動的となるアデノウイルスやエンテロウイルスなどが原因となります。
夏風邪の症状は、上気道炎の症状(のどの痛み、咳、発熱、頭痛、鼻水)と、下痢・腹痛などの胃腸症状があります。
エアコン使用などで、室内と室外の気温差・湿度差が大きいと自律神経(身体を調節する神経)が乱れ、体温調節が出来なくなり免疫力が低下して風邪を引きやすくなります。
また、高温・多湿になる環境によりウイルスが活発になり、これによって治りかけた頃に二次感染を引き起こし、この繰り返しで、症状が長引いてしまいます。
「夏風邪はお腹にきやすい」といわれるのは、主にエンテロウイルスが腸内で急速に増殖するためです。腹痛や下痢がある場合、市販の風邪薬には胃腸障害や便秘を起こしやすいものがあり気をつける必要があります。とくに下痢は、ウイルスを排出するための症状でもあるので、風邪薬や下痢止め薬で便秘になると症状が長引くことになることもあります。早めに受診して、適切な薬を処方してもらうことが大切です。また、下痢を起こすと脱水症状にもなりやすいので水分を多めに摂りましょう。食事はおかゆや野菜スープなど、胃腸にやさしいものを摂るようにしましょう。
冬の風邪は咳やくしゃみによる飛沫感染が中心ですが、夏風邪の場合は経口感染が多くみられます。手洗いやうがいを心がけ、湿って汚れたタオルには夏風邪のウイルスが繁殖しやすいため、トイレや洗面所のタオルの使いまわしはしないようにしましょう。
外出先から帰ってきたらすぐ手洗いとうがいをしましょう。体力をつけ免疫力低下を防ぐために睡眠を十分にとるのが特に重要です。また、夏風邪ウイルスは湿気が高い環境で繁殖しやすいので湿気を取り除くことも大切です。エアコンは適温適湿(冷え過ぎに注意し、26~28℃)に設定しましょう。睡眠中には200~400ccも汗が出て布団が湿りますので、布団の下に除湿シートを敷くとよいでしょう。腸の動きを低下させないよう、お腹にはタオルケットをかけましょう。ダニが繁殖すると、咳の原因となり夏風邪が長引いてしまいますので掃除をこまめに行い、ダニ防止グッズなども活用しましょう。
――――――本日はありがとうございました。
お話を伺った先生:後藤 靖和 先生(ごとう内科・消化器内科・大阪市東淀川区)
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