夏の胃腸トラブルについて、王内科胃腸科の院長 王 康義 先生にお話を伺いました。
胃腸の不調は夏だからと医学的に問題視されることは特にないのですが、あえて気をつけなくてはならないのが食中毒とカンピロバクタ―腸炎です。カンピロバクター腸炎の患者さんは、全国で年間数百万人、当院でも1,000人ほどが来院されますが、特に夏場が多くなります。
メインの症状としては下痢・腹痛です。生の鶏肉(刺身、たたき、カルパッチョなど)を食べた時に起こります。十分に火を通していればいいのですが、たたきなどは少し赤くてもあたります。
特徴としては、潜伏期間が長く、食べて2~11日後に下痢・腹痛・発熱・関節痛などの症状が現れます。ですから、下痢になる直前の食べ物が犯人ではなく、数日前の食べ物を疑う必要があります。他の食中毒と比べると吐き気はあまりありません。
厚生労働省の発表では、どんな鶏でも半分から3分の2がカンピロバクターという細菌を持っていると言われています。さらに日本では鶏肉を生で食べる習慣がありますので、あたる人が多くなるのです。
ありません。今の日本では治療が可能です。しかし、あまり知られていない病気であるため、当院に来られる患者さんのほとんどが、他院で診てもらったにもかかわらず下痢が1~2週間とまらない状態になっています。
マクロライド系抗生物質が有効で、早く症状が治まります。同じ抗生物質でもキノロン系は有効ではありません。また下痢で仕事などに支障がある場合は、下痢止めを服用した方が早く改善します。下痢止めを服用されない方もおられますが、そうなると感染性腸炎の後に過敏性腸症候群へ移行しやすくなります。
さらに数ヶ月から1年ぐらい下痢の症状が続き、慢性的にお腹が弱くなってしまいます。ですから、ちゃんと治療をする必要があります。
夏の胃腸の不調には
後は、飲み物を摂る時には熱い物をお勧めしています。冷たい飲み物はすっと入っていくのでその分大量に飲んでしまいますが、熱い飲み物だとゆっくりと飲むので少ない量で済むためです。
やはり、普段とは違う症状だと感じた時でしょうか。例えば、胃であれば何年来もある痛みならば即受診する必要がないかもしれませんが、全く違う痛みやもたれを感じたのであれば受診された方がよいと思います。
――――――本日はどうもありがとうございました。
お話を伺った先生:王 康義 先生(王内科胃腸科・大阪市西区)
【略歴】
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