年によって多少変わりますが、関西エリアでは、スギ花粉は2月下旬から3月末に飛来し、つづいてヒノキ花粉が4月から5月上旬に飛来します。
スギ、ヒノキは抗原に共通性が高く、スギ花粉で花粉症をおこす人の約80%の人は、ヒノキ科の花粉でも花粉症の症状をおこすと報告されています。
春~夏にはカモガヤ、オオアワガエリなどのイネ科、秋にはブタクサ、ヨモギなどが花粉症の原因となります。
スギは植林後30年ほどで成木になり、花粉を飛散しはじめます。現在、戦後に大量植林されたスギが活発に花粉を飛散する時期を迎えています。それに加え、スギの需要が低下し、さらには林業の衰退により、伐採や間伐が停滞しています。
林野庁では、花粉を生産するスギ林の面積は、平成2年(1990年)の177万haから平成24年度(2012年)では397万haと約2.2倍に増加したことを報告しています。
このことから、スギの花粉生産量についても増加傾向にあると推測されます。花粉症は戦前にはほとんど見らなかったものが、最近では国民の約30%が花粉症とされています。
アレルギー体質は遺伝の影響を受けると考えられており、近親者にアレルギー体質の人がいる場合は花粉症になりやすくなります。
人間の体はアレルギーの原因物質を体内に取り込むと、それを無害化するための抗体を作り、この抗体の量が一定の水準を超えると花粉症の症状が現れます。花粉に多くさらされた人ほど花粉症になりやすくなります。
そのほか、食生活の欧米化によるたんぱく質摂取の増加、インスタント食品やスナック類、食品添加物を小さい頃から摂り続けていることや、睡眠不足、不規則な生活、ストレス等による自律神経の乱れが、免疫機能に変調をきたすとされアレルギー体質になりやすくなると考えられています。
耳鼻咽喉科では鼻の粘膜の診察をします。花粉症発症時では蒼白に腫脹しているアレルギー性鼻炎の特徴的な鼻粘膜が観察されます。花粉飛散時の症状の有無と血液中にある花粉に対する抗体の存在で確定診断にいたります。
先で述べましたが、自身のアレルギー抗原からなるべく退避すること。具体的には、花粉翔の時期には外出時はマスク、めがねで保護し、帰宅前に上着を掃って花粉を家に持ち込まないようにし、外やベランダに布団を干さないなどです。食生活においては自然食物を接触すること、食品添加物を避けること、睡眠をよくとり規則正しい生活をし、極力ストレスをためないようにすることで、免疫を高めることが重要です。
基本はアレルギーを起こさないようにするため、抗アレルギー剤の内服です。重症な方は抗ロイコトル剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤を併用します。またステロイド点鼻も特に鼻閉に有功とされています。
外科的治療としてはアレルギー反応の起こる下鼻甲介をCO2レーザーで蒸散させることにより粘膜が萎縮することで鼻閉が改善され、アレルギー反応が鈍くなり症状が軽減されます。
また最近唯一のスギ花粉ダニの根治療法と期待されている、舌下免疫療法があります。少量のアレルゲンを舌下に滴下し、濃度を増やしていくことにより約8割の方に有効とされています。デメリットとしては毎日舌下しなければならないことと、治療開始後、効果が表れるまで2年間ほどの継続が必要です。また副作用として口腔粘膜の腫脹やアナフィラキシーにも注意が必要です。
――――――本日はありがとうございました。
お話を伺った先生:湯川耳鼻咽喉科 湯川 尚哉 先生
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