斜角筋のコリによる肩こり・首こり

今回も筋肉から起こるコリにフォーカスしたコラムです。

 

今回は、斜角筋をテーマにお話しします。

 

斜角筋とは

 

斜角筋、又は斜角筋群ともいいます。

前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋の3つ斜角筋が存在し、総称して斜角筋と呼びます。

今回は統一して斜角筋と呼称させていただきます。

 

斜角筋は肩こり・首こりだけではなく、肩甲骨周囲、上肢にも症状を起こす筋肉です。

 

斜角筋は首頚部を安定させ、首を前や横に倒す作用に加えて、肋骨を引き上げて呼吸の補助をする機能があります。首の運動に関与しているため、斜角筋が硬化してしまうと首の動作に制限が出たり、首や肩が凝るのは想像していただきやすいのではないかと思います。

 

 

何故、首の筋肉なのになぜ肩に症状が出てしまうのか?

 

それは前斜角筋と中斜角筋の間が、腕神経叢(わんしんけいそう)の通り道になっているということです。

 

腕神経叢については「沢山の神経が集まったもの」とお考えください。この腕神経叢から指、腕、肩、背中等に関与する神経が続いていきます。

 

こちらの図の黄色く強調されているのが前斜角筋

(首を前から見た図)

前斜角筋

 

この青色で囲っているうじゃうじゃとした黄色い糸が腕神経叢です。

 

腕神経叢

 

筋肉の隙間から神経が出ていることがわかると思います。

このように、斜角筋の間から腕神経叢が通っているため、斜角筋が硬化したり、緊張状態になることで神経を圧迫します。

斜角筋による神経の圧迫が悪化すると、胸郭出口症候(斜角筋症候群)になってしまうこともありますので、早めに対策をしていくことが大切です。

 

斜角筋が硬くなる原因

斜角筋が硬くなり、緊張しやすくなる原因を3つ挙げます。

①     重いものを持つ仕事、オーバーハンドスポーツ‘(バレーボールや野球のピッチャーなど)、ハードトレーニング

筋肉の使い過ぎによって緊張や硬化が起こります。

腕や肩に連動して首の動作が起こるため、筋肉が疲労していくために起こります。

 

②     骨格的な問題

鎖骨が下がっていると前斜角筋と中斜角筋の隙間が狭くなりやすくなります。いわゆる”なで肩”ですが、筋力不足が根底にあることもあります。

 

③     長時間の不良姿勢

おそらく、最も多い原因でしょう。

スマートフォン、パソコンの使用時に首が前に出てしまっている。机を覗き込むように勉強、読書をしている。これらは斜角筋の緊張を高める大きな要因となります。

 

斜角筋による肩・首の症状

 

肩こり、首こり、肩甲骨の内側のだるさやコリ

ひどくなると痛みや指先や腕にしびれ、手先が冷えるような感覚に襲われます。

 

斜角筋は上記の症状のトリガーポイントになっている場合があります。

 

斜角筋を圧迫すると、普段コリやだるさを感じている部位に響くような感覚や、症状が飛ぶような感覚がします。

これは斜角筋がトリガーポイント=痛みに引き金になっているために起きます。

肩や首の凝っている部分をマッサージしたり、筋肉を伸ばしても治りにくいのは、症状が出ている部位と原因になっている場所が違うからです。

 

治療法

神経ブロック注射、トリガーポイントブロック注射、手技療法、運動療法などを併用しておこないます。

神経ブロック注射は神経の症状が強くみられる場合におこないます。

手技療法では、斜角筋に対してダイレクトにアプローチをかけて施術します。

 

自分でできる斜角筋の改善法

斜角筋はセルフストレッチやセルフマッサージが可能な筋肉です。

ただ、斜角筋が伸ばせているか、マッサージできているかがわかりにくいのが難点です。

斜角筋を触る角度や深さが悪いと腕神経叢に当たってしまい”ビリビリ”きてしまうため、不安な方は当院の施術スタッフがセルフケアが出来るように指導いたします。

 

まとめ

斜角筋は肩こり・首こりの原因となります。斜角筋がトリガーポイントとなり、肩、首だけではなく背中や腕に症状を出すこともあります。

 

デスクワーク、スマホ、パソコンの使い過ぎによって斜角筋が過緊張となります。

また、スポーツの特性や生まれつきの骨格によって斜角筋が疲労しやすくなり、緊張やコリの原因になります。

 

斜角筋による腕神経叢の圧迫が強くなると、胸郭出口症候群(斜角筋症候群)になるため、注意が必要です。

 

治療には神経ブロック注射、手技療法、運動療法が有効です。

 

斜角筋はが凝っているかはご自身で判別するのは困難ですから、お困りの際は一度ご相談ください。

 

コラム監修医師

こじまクリニック 院長

小島 研太郎

 

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