日別アーカイブ: 2016年9月5日

人間ドック-②

 

続き↓↓↓

 

振り向くと中年女性が「こわいよ、こわいよ」と言って震えている。

 

は???

 

するとどこからかまた別の親切なおばあさんみたいなのがやってきて「大丈夫やから」とか慰めている。


どうも、「こわいよ」の女性は、おなかの調子がよくなく、検査のため本日来られらたようだが、日本国籍の方ではないらしく日本語もたどたどしく、今日の検査自体が怖い、かつ結果がもっと怖いらしく、小学生以上に怖がっているようである。

 

また親切なおばあさんの慰め言葉が「誰でもやることだからねえ」

(いや、出産はともかく、胃カメラとかは誰でもやんないでしょう)

 

「お迎えが来るときは誰にでもある、お迎えが来る日までは生きる運命だから大丈夫よ。」(いや、この女性はそのお迎えが近いかも・・と怯えているんじゃ・・)

 

などとちょっと頓珍漢な感じもしたが、とりあえず慰めておられた。

私は自分がクリニックで働いているし、もう働いているというより一日半分くらいの時間をここで過ごしていて。


 私を分けろと言われてもよく解らない感じで、ここを「怖い場所」と感じることなどない。ま、皮膚科だし。

しかし、今ここは、一般の人には「怖いことをされる」か「怖いことを言われるか」「怖いことではないと言われるか」の場所なんだなあ、と改めて思った。

言いすぎてみると「怖さビジネス」なわけだ。ちょっとあまりこういう波長に合わせたくないな~

 

ま、自分も家庭の医学読んで怯えたり、タケシのテレビみて怖くなるわけだから、そういった部分が同調して今日に至るのだなあなどと思っていると、やっとお呼びがかかった。


診察は、私は「先生の希望はありますか?」と聞かれ、「別にありません」と答え、待合で先生方のプロフィールとか見ていて、「え?消化器の病院やのに、呼吸器?脳外科専門?そういう先生がおられるなら、ベタに『院長希望!』とか言っておくべきだったか」

 

とかちょっとクヨクヨしていたのだが、今更言い出せず、結局は副院長に呼ばれたようだ。

 

保険証により私の素性はすでにばれており、「皮膚科の先生ですよね」などと念押しされる。こういう時は正直、医者とは知られたくもない。ま医者の不養生だからだけど。

 

こちらの希望通りエコーとCTをしてもらうことになり、エコーは女性の検査技師さんで、丁寧に見てもらった。最近はエコーのジェルも温めてくれるんですね、これはありがたい。

 

あとCTで、最後に男性の検査技師さんが盗撮!「女性の裸が見たかった」とか読んだけど、別にいつでも見れるじゃん、何をどうしたかったのか?などと思っているうちにすべて終了。


最後、また副院長によばれて、宣告。

 

私が「先生この影はなんですか?」「脂肪」「この塊は?」「うんこですかね」

 

・・・私の半日はこうして終わりました。


いろいろ勉強になりました。

そしてすごくエネルギーが減弱しました。

「怖い」こと「怖いことから逃げようとすること」はエネルギーを奪うなと思いました。


明日からの自らのクリニック経営に役立つことがいっぱいあったなと思いましたわ。

 

あと、帰りにめったによらないドラッグストアで 内臓の脂肪を落とす!とかいうサプリを買いました。帰宅してよく見たら漢方の防風通聖散そのものだったので、なんだ・・と思ったりもしましたが。

 

ま、とにかく大事はなかったので、また今日から続けて走ります。

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人間ドック-①

8/25は人間ドックを受けてきました。

ぎっくり腰の痛みが長引いていて、夜中になるとちょっとネガティブになり

「これは卵巣がんの関連痛じゃないか」とか「いや、すい臓でもこういうことが」

などとクヨクヨしてきたので、しばらく受けていないので、受診してみました。

 

よそのクリニックとか病院に行ってみるのは、結構勉強になるので楽しんでいるところもある。クリニック経営の勉強になるし、しかし今回はちょっと深刻な気持ちもあった。

 

朝受付時間の10分前に到着するが、10分前でも受け付けてくれた。

(よしよし・・括弧内は私の心の声)

 

しかし「あそこの自動血圧測定器壊れてるんで、あそこで看護師さんに計ってもらってください」

 

・・そういわれるが待てど暮らせど誰もよんでくれない、次第に増える患者さん、ほとんどの患者さんが私同様、予想外の事態にマゴマゴする。

 


(ここ消化器内科やから、血圧測定なんか別に必須ちゃうやん。それに私ここ初めてやから、もうちょっとああして、こうして・・と的確に指示してもらわんとわからんわ。あと事務サイドとナースサイドの連携悪すぎ)


ここは胃カメラ、大腸カメラ、エコー、CTなど日帰りでしてくれるところなので、

今日胃カメラ予約の方もたくさんおられるようだが、1人おじさん緊張のあまりすごく怒っちゃっている。

「なんで血圧計壊れとるんじゃ」とか言って(よくあるんです・・男性はだいたい病院嫌い、怖い・・その反動で逆に大きな態度、怒りとしてでることが・・)

 

おばさんは緊張のあまり座ってられなくて、看護師さんや看護助手さんが通るたびに

「あの、私ここで待っていていいんですよね」的な、あんたさっきも聞いたやんみたいなことを聞きまくって不安を解消しようとしている。

 

(うちのクリニックで、「会計まだですか?」ばかり聞かれた医療事務が

「何度もあなたが聞くから余計遅くなるんです!」なんてぶちぎれて、私にめちゃ怒られたことあったけど、ここは看護師さんにこやかに対応)


他よくありがちなおばさんも登場。常連ぶる。

誰彼なしに話しかける。「あんたよばれたん?」「あんたあの人より先に来たのに遅いねえ」「〇〇先生阪大出てはるんよ」など、別に全然聞きたくないことを言いまくる。

が先ほどの不安おばさんの気晴らしには少しなっていたようだ。


まあ、私は初診だからずいぶん待って、そのぶん人間ウォッチングもずいぶんできて、持って行った単行本を読む暇もなかったが、さすがに「遅いな」と思っていると、背後から何かぶつぶつ聞こえる。

 

続く・・・gahag-0046685838


粉瘤について

 毎日、毎日、むちゃくちゃ粉瘤をとりまくっています。

 

気づいたら昨日は20個くらいとっていました。20人の患者さんというわけではなく、おひとりで何個かある方が結構おられますので、こんな数になるのですが、

 

さすがに「どうして私はこんなに粉瘤をとっているのだろう?」という気持ちにはなりますね。


粉瘤というのは、にきびとかおできというような中に膿がたまるタイプのできものの中で、

 

ニキビやおできがいったん化膿して腫れるのが治まれば、何事もないように跡形もなくなるのに比べ、皮膚の中に袋ができてしまい、その中に膿がたまっていますので、

 

腫れが引いているときも、袋は残っておりますので、まったくゼロになるということがありません。

 

そして膿のたまり具合により腫れて大きくなったり小さくなったりを繰り返しつつも徐々には大きくなります。


何度も膿んで「腫れて痛い」「見た目が悪い」など、このことから問題が生じている方は、この粉瘤を袋ごと取り去るしか完治する方法がないわけです。


この取り方はいろいろあります。皮膚を切るのですから局所麻酔という痛みどめの注射はどの方法でも事前にせねばなりませんが、袋ごと絶対に再発、取り残しがないように・・

 

ということを優先するならば、その袋のサイズより1.5倍ほどの長さの切開線で大きく切ることになります。傷跡をできるだけ小さくするということを優先するならば、袋のほぼ真ん中に皮膚表面と通じる小さな穴があいているので、その周囲のみ皮膚をくりぬき、袋が破れないように上手にそっと袋ごと抜き出してくるということになります。

 

私としたらせっかく、技術を提供させていただいているのだから、

できるだけ後者をとりたい・・というか、小さな穴からコロンと袋ごとでてきたときの

「やった」という快感は私自身ありますんで、これを選びたいわけなんですが、

 

それを選ぶあまり袋が残ってしまって再発したのでは本末転倒ですから、袋ごと穴から抜くことができる「くりぬき法」というのが可能なケースの患者さんにのみさせていただいています。

 

何度も何度も破裂して皮膚と癒着が強いタイプ、袋がかなり深いところまであるタイプ、

今膿んで膿がでているような時期・・というのはこの「くりぬき法」は適しません。


「くりぬき法」をするにはパンチという穴あけ機を使うこともありますし、メスを使ってもきれいにクルリと円を描くこともできますし、まあマニアックに言うと手首の返しが上手にできると一筆書きの様にきれいに「くりぬきようの穴」をあけることができます。

 

あとは、これもマニアックに使う器具を選ぶことでしょうかね、上手になるコツは。

 

毎日、毎日、ご要望にお応えして、粉瘤やできものの小手術をしてまいりまして、

ふと気づくとどこかのサイトに「いっぱい粉瘤をとっている医者」として掲載されているようでして、それが名誉なんかどうかはわかりませんが、毎日まだとっております。


とっていて思うのですが、本当にこれは外科の先生のようにただ、ただ毎日同じことの繰り返しであり、この症例を何症例クリアしたから、今度は肝臓がんの難しい手術にトライできる・・とか、その手のステップアップは望めませんので、ちょっとしたやり方を工夫するとかしかクリエイティブさは見いだせませんので、いろいろ自分なりにやっています。

 


ずっと昔ですが、心理精神分析の修行のため、自分自身が精神分析を受ける必要があったため、精神分析家さんのところに通い、カウチに寝そべって、つらつら連想を語るという非常に古典的な精神分析療法を受けていたことがあります。

 

その時私が形成外科医とふと思い出した分析家さんが、

「そういえばあなたは血をみると興奮しませんか?」と聞かれ「いや、別に」と答えたら、

分析家さんのほうが「そうですか~昔、血を見ると興奮するからオペ場で看護師していると言った看護師さんがクライアントでいたんで・・」

 

とどっちが分析を受けてるのかわからない応答がありましたが、

どっちか言うと私は「血をみるとクールになる。落ち着いてくるな」とその時感じていました。

昨日ふとこのやりとりを思い出しましたが、やはり私は血を見て興奮するとは思わないのですが、間違いなく血を見ると「よりリアル」になる、いやもっと話を大きくしちゃうと「血をみたときだけ、現実にいる」「血が出ている世界は非常に明確だ」というようなアスペルガー的世界があるように思いました。

 

ま、帰宅し「考えすぎんとこう。よく仕事したってことだけにしとこう」と思い、

 

またビール飲んで寝ちゃいました。

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