「減量の正解」

タイトルに惹かれて『減量の正解』(エリック・ヘミングソン著 2021年)という本を読んでみました。著者はスウェーデンの肥満研究者です。

高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は体重が減ればかなり解決できることはわかっていますが、実際には非常に難しい。「過体重の患者さんにどうしたら痩せてもらえるか」は我々内科医の永遠のテーマと言えます。

要旨を自分なりにまとめて書きます。

・食事制限(ダイエット)では痩せられない。大半がリバウンドする。なぜなら体は元々の体重
に戻ろうとするから。

・ダイエットで体重が戻る原因は、① 代謝が低下してカロリーを消費しなくなる ②満腹感がなくなり、もっと食べようとする ③脂肪細胞数は減らない。

・肥満の人が取り組むべき課題は「ストレス」である。ストレスから超加工食品(ジャンクフード)に手が伸びてしまって肥る。

・加工食品を減らし、できるだけ自然のものを食べる。

・運動をする。

・いたずらに体重を減らすことにこだわるより、精神的に安定する方が大切である。

食事制限は効果がなく、心の健康を維持するべきだと言い切っているところが斬新でした。実際には食事制限が効果的な人もあるので、著者の主張を100%正しいとは思いませんが、新し視点を与えてくる本でした。


水道

水道と言っても蛇口をひねると水が出てくる設備のことではありません。

写真撮影のため琵琶湖北部の木ノ本、高月という地域をレンタカーでめぐっていたところ西野水道という史跡に行きつきました。

江戸時代、この付近の余呉川が何度も氾濫して大きな被害が出ていました。そこで琵琶湖への放水路を確保するためこの地の西野恵荘という住職が発案して山を掘削して水道(トンネル)を作りました。完成は1845年です。長さは220mですが、非常に硬い岩盤をノミだけで掘ってゆくため工事は困難を極め、6年かかったそうです。今は新しい大きな放水路ができて使用されていませんが、水道自体は史跡として残っていて中に入って琵琶湖畔まで出ることができます。

地図

史跡はよく整備されていて、長靴、ヘルメット、懐中電灯が備えられていました。中に入ってみましたが、照明はなく懐中電灯の弱い光を頼りに進んで行きました。下は結構水浸しで、狭く、直線でないため出口の光も見えません。天井も低いため何度もヘルメットをぶつけました。途中で恐くなって何度か引き返そうと思いましたが何とか暗闇の220mを歩き切り、琵琶湖畔に出ました。

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↓ 水道の入り口

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↓ 水道の出口

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↓ 琵琶湖畔に出たら美しい砂州が広がっていました。

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↓ 現在は三代目の大きな放水路から流れています。

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初代の水道の隣に二代目の大きな水道があり、現在は普通に歩行できるようになっています。帰りは簡単に真っすぐな短いトンネルを歩いて戻れ、少し拍子抜けしましたが、先人たちの苦労の一端を感じることができて貴重な体験をしました。 

 

 

 


津をあなどるな

若年者心疾患・生活習慣病対策協議会という名の研究会が三重県津市で行われ、医師会の特に心臓検診メンバーと出席してきました。

若心協表紙

何かと「県庁所在地の割には、、、、」と言われる津市ですが、色々あります。

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津駅

 

うなぎ

鰻で有名です。

 

夜の津

もちろん飲むところもあります。

 

観光地

観光地も色々あります。時間がなくて行けませんでしたが。

 

松重

シャトーブリアン

駅前の「松重」さんで松坂牛を頂きました。

私はこのブログでは食レポは殆どしませんが、津の名誉のために写真をアップします。牛肉とは別の食べ物のような美味しさでした。

関西人には今回のような特別な用事がないとなかなか行く機会がない街ですが、もう一度行って観光し、鰻を食べてみたいです。


カレンダー

表紙

本年も大晦日になりました。

毎年恒例のカレンダーを作成しました。今年も昨年に引き続き和歌山県九度山町とそこから高野山に近い地域にほぼ毎月通って撮影しました。上の写真は表紙のものです。12月の写真がなかなか決まらず、12月20日に毎年お願いしている阪神青写真工業さんに依頼し、急いで作成してもらい29日に届きました。夏休みの宿題をギリギリになってあわてる小学生の様です。

一部の写真を掲載します。このブログを見られた方でご希望の方には無料でお送りしますのでメールでお知らせください。

↓ 1月 椎出地区を山の上から見たところです。右下の方に高野下駅があります。かつては南海高野線の終点で、高野山への参詣の人々はここから徒歩かバスなどに乗り換えました。宿場町として栄えていました。

1月

 

↓ 2月 干し柿作り。九度山は柿の産地で有名です。

2月

 

↓ 4月 学文路駅から九度山駅の間の桜並木ライトアップです。

4月

来年は年末ギリギリにならないように、早くから写真をまとめようと思っています(今は)

 


丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)

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10月の最終日曜日、九度山にある神社の祭礼の撮影に行ってきました。

少し読みづらい名前ですが、官省符とは「特定の荘園に対して免税を認める公文書」で、8世紀ごろからあったようです。そういった荘園がこの地域にありました。神社は816年、弘法大師(空海)によって創建された由緒あるお社です。

祭礼では豊作、家内安全を祈願して写真のような美しい舞が奉納されました。始まるまでは地元の方々ばかりだったので何だか場違いなところに来てしまったのかと思いましたが、おいおい一眼レフカメラを持った人たちも何人か来られ、少し安心して撮影できました。

 


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先日、久々にカメラクラブの撮影会があり、滋賀県の坂本へ行ってきました。

今回の主被写体は「石組み」でした。坂本の隣町穴太(あのう)には古くから穴太衆という石工の技術者集団が暮らしていて、延暦寺や安土城など多くの建造物の石垣を作ってきました。

自然石を持ってきて全く加工せずに組み合わせ、堅牢で美しい石垣を構築します。これを野面積み(のづらづみ)と言います。坂本の街並みには写真のような石垣が残っています。

よく見てみると、大小様々な石がうまい具合にきちっと収まっています。不揃いな自然石を使うので「図面」も「マニュアル」もありません。技術を伝承するのは究極の「見て覚えろ」ですね。加工もせず、鉄筋も使わないのに数百年も耐える堅牢で美しい石垣を作るのは素晴らしい技術です。

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不思議な絵

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我が家には父が持っていた絵が何点かあります。診療所をリフォームしたのを機に飾ろうとして倉庫から引っぱりだしてきました。その中ではこれが最も気に入った絵です。複雑な建物の形状、背景の朱色と前景の藍色が素敵です。

これは父が懇意にしていた下垣内末春さんという画家の作品です。この方は画家としてすごく有名という訳ではありませんが、我が家にも時々遊びに来られ、私も子供の頃何度かお会いした記憶があります。温厚で気さくな方であった印象があります。

この絵は北アフリカあたりの砂漠の中の城塞と勝手にイメージしていたのですが、額から出して絵の裏に書かれているタイトルを見て驚きました。「戦没者の館」(淡路島の一隅)Sept.1977  と書かれているのです。ネットで調べてみると、確かに南あわじ市の大見山という山の上に戦没学徒記念館という建物があり、それがモチーフになっていることがわかりました。設計したのはあの巨匠・丹下健三氏で、最盛期の作品として高く評価されているようです。1967年に、太平洋戦争で亡くなった約20万人の戦没学徒を慰霊するために建設されました。ただ丹下氏は発注団体との考えの相違からこの設計を自分の業績としては公表せず、竣工式にも出席しなかったそうです。

この建物は「戦没学徒記念 若人の広場」の一つの施設として公開されていましたが、資金不足や阪神淡路大震災の影響で閉館になり、放置されて廃墟のような状態になっていました。しかし再開を望む声が多く、2015年に若人の広場公園として再整備され、見学できるようになっています。

前景写真

(南あわじ市 若人の広場公園パンフレットから)

下垣内末春さんが鎮魂の思いでこの絵を描いたのか、建物のフォルムに魅せられてインスピレーションが沸いたのか、またそもそも何故この絵を父が持っていたのか今となっては確かめようもありません。私の記憶では家の中に飾られていたことはありませんので約半世紀日の目を浴びなかったことになります。様々な紆余曲折を経て再び日の目を浴びる名建築と、描かれた絵が長い眠りから覚めて自分の目の前に現れた不思議な運命の交わりを感じずにはいられません。


脱水症、熱中症のヒント

猛烈な暑さが各地で続いています。昨日はWebで熱中症、脱水症についての講演を視聴しました。講師は谷口英喜医師(済生会横浜市東部病院)で、脱水症についていくつかの著書を出されています。日本では珍しい、経口補水液の専門家です。あまり知られてないことをいくつか学びました。

・体の水分は約4割が筋肉、2割は皮膚にある。高齢になると下肢の筋肉量が減り、水分を保持しにくくなる。

・脱水症では体の痛みが出ることがある。痛みが出たら脱水症をも考える

・脱水症の身体所見3つ

① わきの下に発汗していない。(発汗が最後まで残るのがわきの下とひたい)

②ツルゴール:皮膚をつまんで、つままれた形から 3秒以上戻らない。

③ 爪毛細血管再充満時間:3秒以上親指の爪の先を押してみて、赤みが戻るのに3秒以上がかかる。

・熱中症の予防はとにかく ①蒸し暑さから逃げること、②脱水症を防ぐこと

・体温コントロールの75%は皮膚からの放熱、25%が発汗で行われる。熱中症になれば水分を補って血液量を増やし、皮膚からの放熱と発汗を促す。

・熱中症には経口補水液を一気に500~1000ml飲んでもらう。

・経口補水液は、水、ナトリウム120㎎/100ml、ブドウ糖2%が含まれている。スポーツドリンクより塩辛く、甘くないが水分の吸収が良く、腸への移動も速い。

・どれだけ飲のんでもらうか:食事が摂れるようになるまで。尿が出るまで。脱水症の所見が改善するまで。

 


リフォーム(5)

4か月かかった改修工事が終わり、5月10日から新装診療所で診療しています。「明るく、きれいになりましたね」と患者さんから好評です。

自慢の玄関

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待合室の椅子も変えました。玄関には殺菌灯付きスリッパロッカーを設置しました。

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処置室も広くなりました。

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会議・面談室を作り、栄養指導なども行いやすくなりました。

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第二待合室。患者さんが混んだ時に使います。

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第二診察室。発熱患者さんは別の入り口から入って頂き、ここで診察します。

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肝心の主診察室。クロスを変えて明るくしました。

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器はきれいになりました。これから中身も充実させたいと思います。

 

 


4か月かかったリフォームが終わりました。

今回のリフォームのポイントである段差の解消は、このとおり玄関スロープで解決してもらいました。庇も伸びたので雨が降っても濡れにくいです。

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配管工事のため南側の生垣は引退して頂き、新しいのを植えました。

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発熱患者さん用の第二診察室への入り口には昇降機を設置しました。

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トイレも大幅に回収して洗面台と別にしました。

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倉庫も収納力たっぷり。柱がぽつんと残っているのはリフォームならではの光景です。

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倉庫室の廊下側の窓だけ以前のものを残してもらいました。患者さんの目にはあまり触れないところですが、昭和感に浸れます。

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まだ引っ越し作業がありますが、診療所部分の内装、外構は出来上がりました。

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5月9日(火)まで休診し、10日(水)の再開に向けてこれから引っ越し作業に専心します。