先月スカイ島旅行の事を書きましたが、帰国途中に飛行機の遅れから思いがけずカタールのドーハ観光をすることになり、面白い体験もしたので書きます。
8月16日、スカイ島旅行を終え、スコットランド本土のインバネス空港からカタール航空でロンドンを経由し、カタールのドーハ、ハマド国際空港に午前0時過ぎに到着しました。ここで関空行きのフライトに乗り換えでしたが、元々1時間半ほどしか余裕がなく、その上に到着時刻が遅れ、必死に走ってゲートを探してたどり着きましたが係員に「もう締め切った。次のフライトはtomorrowだ。」と言われてしまいました。
明日と聞いて茫然としましたが、落ち着いて考えてみると、中東などなかなか来られるものではないし、ドーハ観光するのも面白いではないかとポジティブに考え直しました。実はこのような遅れもあり得ると思い、土曜日に帰国予定の便にして一日おいて月曜から仕事再開の計画にしていたのです。
それからカタール航空のカウンターでホテルの宿泊、3食のバウチャー(クーポン券)をもらい、カタール国に入国し、迎えに来ていたバスでホテルに向かいました。ホテルに着いたのが午前3時ごろになってました。部屋の窓からは遠くに様々な形の高層ビルが色とりどりに輝いて立ち並んでいるのが見えました。もう遅かったのでとりあえずシャワーを浴びて寝て11時ごろに起きてさてこれからどうしようと考えました。ドーハに来ることなど全く想定していなかったので、あわててスマホで「ドーハの観光名所TOP10」というサイトなどを調べ、近場で行けそうな国立博物館とイスラム美術博物館に行くことにしました。
ホテルのフロントで聞くと国立博物館まで歩いて20分ぐらいということだったので歩いて行くことにしました。しかし外はとにかく焼けるように暑かったです。出国した時の日本より熱い気がしました。あまり人も歩いておらず、車ばかりが走ってました。汗だくで横断歩道を渡っていたらクラクションを鳴らされ、振り返ると運転手が車から顔を出して水のペットボトルを差し出してくれました。東洋人がふらふらしながら横断歩道を渡っていたのを見るに見かねたのでしょう。せっかくの好意なので丁重にお礼を言って受け取りました。 暑さに耐えて歩き続け、やっとのことで国立博物館に到着しました。博物館の中はドーハの石器時代から現代までの種々の文物が展示、解説されていて、なかなか充実したものでした。
そこを出てまた10分ほど歩いてイスラム美術館に行きました。閉館が午後5時で、1時間弱ほどしか居られませんでしたがここも見ごたえがありました。特に金属加工品の数々には高い完成度と独特の気品が感じられました。


美術館を出て歩いてホテルに戻りかけましたが、日が落ちてもまだ暑かったので美術館の前まで戻ってタクシーに乗ることにしました。そこであるドライバーに出会ってしまったのです。まずホテルの場所を伝えましたが、汗でシャツが濡れていたのでどこか安いシャツ買える店に途中で寄ってほしいとリクエストしました。彼はわかったと言って走り出しました。彼はバングラデシュの出身で、妻、娘が一人いると言い、「ドーハは安全だ。テロもない。犯罪もない。」「10年前にはこの街には何もなかった。」「FIFAが来てから(2022年のサッカーワールドカップはドーハで開された)こうなったのだ。」と語った。やがて衣服の大型量販店のような店に着きました。そこで彼は率先してシャツを選び始め「高くないからこれも買え」と言って2枚、3枚と陳列から取り出しました。自分としては1枚だけ買えば良く、このドライバーはもしかして店と結託しているのではないかとすら思いましたが、白と黒の2枚と、下着のシャツを買いました。 実はその時カタールの通貨を持っていなかったので、その後ATMのあるところに2か所に向かったのだがなぜか引き出せず、走行しているうちに1時間ほど経ってしまいました。仕方ないので手持ちのイギリスポンドで支払うことにしました。
彼はそこから「せっかくだからホテルまでの間、30分ほど寄り道してドーハのビル街を見てみないか」というので迷いましたが、まあせっかくだしあの輝く高層ビル街を近くで見たいという気もしたので了承しました。実際に近づいてみると確かに多くのオフィスビルが立ち並んでいたが東京のような感じがしないでもなかったです。 このビル街の光景はドーハの名所の一つで、ドライバーが「ここで写真を撮ろう。さっき買ったシャツを着てくれ。その方がハッピーだ」と言い出した。別にそこまでしなくても、と思いましたが言われるままに車を降りて着替え、何枚か写真を撮ってもらいました。


また「アラビックティーを飲もう。俺がおごる。」と言って、屋台の様な店の近くに車を停め、ドライブスルーのような形でカップに入った飲料を取り寄せました。お茶に生姜、砂糖、ミルク、ハーブなどが入ったものでこれはなかなか美味しかったです。 その後小ドーハ観光を終えホテルに向かいました。途中カタールという国について話をしました。この国には石油と天然ガスの莫大な資源があり、サーニー家という昔からの部族の一族が実質的に行政、立法、司法を支配しています。ドライバーは「この国には選挙もない。税金もない。」と言ました。「それでみんな満足しているのか?」と聞くと、「満足している」と答えました。あとで調べたところでは、2024年4月版のIMF世界経済見通しでは一人当たりのGDPは世界8位(日本は38位)ということです。ただ選挙が全くないわけではなく、2021年に初めて「諮問評議会」という45議席の議員を選ぶ選挙が実施されたということでした。
そうこうしているうちに「ホテルに着いた」と言われました。しかし全く別のホテルでした。ドライバーがホテルの名前を勘違いしたのです。だから「30分ぐらい寄り道して、、、」という話になったのでしょう。そこからまた30分ほどかけて本来のホテルに着きました。結局予定より2時間ぐらい遅くなってしまいました。それで支払いですが、ATMに行ったときは「100カタールを引き出してくれ」(1カタールは約40円)と言われていたので、50ポンド札を出しました。これはこの時のレートでは日本円で9,000円ほどになるのですが、彼は「あーもう一枚、、、」と言いました。「自分がホテルの場所を間違っておいておきながら3時間で18,000円か?」と思いましたが、ある程度ぼったくりは覚悟していましたし、話のネタにもなりそうな体験も色々できたので、チャールズ新国王が印刷された新しいイギリス50ポンド札を一枚渡してタクシーを降りました。
ホテルの部屋に戻って急いでシャワーを浴び、夕食を食べる間もなく荷物をまとめ、午後9時半にホテルのバスで空港に向かいました。
なかなか面白い体験でした。