関節リウマチとCRP

関節リウマチ患者さんが、定期的に行う血液検査の中で最も気になる項目はおそらくCRPでしょう。「CRPが正常(0.3以下)ですから心配ないですよ。」と私もよく説明するのですが、「こんなに腫れて痛む関節もたくさんあるのに、どうしてCRPが正常なのだろう?」と疑問に思う患者さんもいらっしゃいます。なぜでしょうか?

CRPは肝臓で産生される「急性期タンパク」の一つで、実は「体内で急性の炎症」があればリウマチ以外の病気でも上昇するのです。またCRPの産生にはIL-6(インターロイキン6)というサイトカインが重要な働きをしています。関節リウマチの関節炎(滑膜炎)には様々なタイプがあり、IL-6のみではなくTNFというリウマチの滑膜炎を進行させる悪いサイトカインもあります。CRPがすぐに上昇するタイプのリウマチ患者さんと、症状の割にはCRPが上昇しないリウマチ患者さんの間には、どうもIL-6とTNFという二つのサイトカインの強さに違いがあるようです。

しかし残念ながら血中のIL-6とTNFの濃度を血液検査で測定することは保険診療では現在不可能です。それぞれの抗体を2種類用いた特殊で精密な方法で測定するのですが、時間とコストがかかる大がかりな検査なのです。それではCRPが正常なのに関節が腫れて痛みもある患者さんの場合はどのように評価すればいいのでしょうか?

当院では日々の診療で「関節超音波エコー」が活躍しています。超音波エコーは内科の先生がお腹に当てて肝臓や胆のうを診たり、産婦人科の先生がお腹の赤ちゃんの成長を確認したりする時に使うものと基本的には同じです。放射線は一切出ませんので診察室で検査が可能です。また最近の超音波エコー器械の発達により、手足の関節にある滑膜の腫れ具合や、血流の多さ(炎症の強さ)が簡単に判定できるようになりました。以前であれば病院で予約を取り、検査費も高額なMRIで判定していた滑膜炎が、部位によっては関節エコーのみでも判断できるようになりました。

さて、話題は変わりますが、当院のロゴマークをご覧になって何をイメージされたでしょうか?実はこのロゴマーク、プロのデザイナーに依頼したものではなく、私自身が考案したものなのです。「りんくう」のR、「橋本」のH、「リウマチ」のRのアルファベット3文字を紙に書いて、頭の中でずーっとイメージを膨らませていたところ、思いついたのが、2人が元気に背筋を伸ばし握手をしている像でした。これは「患者さん」と「主治医の私」が協力し合って病気やけがを乗り越えていきましょうという、私からのメッセージを込めたものです。これからも皆様に信頼されるかかりつけ医としてがんばります。

来週の8月13日(月)から15日(水)までは、勝手ながらお盆休みをいただきます。ご迷惑をおかけしますがどうぞよろしくお願いいたします。






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