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交通事故 特に後遺症診断について

コロナウイルスによる非常事態宣言の最中はさいわい交通事故も少なかったと伺います。

しかし、毎日車を運転して通勤している自分自身としては、交通事故加害者となる危険性もさることながら、交通事故被害者となる恐怖もぬぐいがたいものがあります。


当院では交通事故の患者さんもおいでになっていますが、皆さん多分に不安を抱えながら通院なさっているようにお見受けします。
不安の最たるものは、後遺障害にあるといっても過言ないのではないでしょうか。


後遺障害に関して、診療をおこなう立場から最近の医学会の考え方も含めお話ししようと思います。

一般的に交通事故傷害の場合、外傷発生時期より3か月以上経過すると症状の改善は難しくなるという報告があります。

その間に障害された組織が改善すれば問題ないのですが、筋肉や靱帯などのいわゆる軟部組織のダメージはある程度残存するのではないでしょうか。(もっとも私たちがよく経験するのは足首の捻挫です。ある程度完治しますが、パフォーマンスが低下したり、痛みが残ったりすることも多いように思います。)

後遺障害はないに越したことはないですが、残存した症状に対してはだれしも正当な評価を望むものです。

交通事故に関する後遺障害については、自賠責後遺障害診断書などの記載が必要になってきますが、ここで、後遺障害に関して、私たち医療者が患者さんにしっかりと向き合い、できるだけ正確に書類申請を行うためには、それなりの準備が必要であることはご存じでしょうか。

医学的見地からみた障害の程度を推測するために、

1)障害部位に応じた神経学的な所見

2)症状の経過

3)病院・クリニックでの診療回数

慰謝料の計算としては問題ないそうですが、後遺症に対するかかわりに関しては整骨院での診療は治療実績としてカウントされないとの話も。通院日数が少ないと、症状に乏しいと判断されるそうです。)

 

以上を踏まえたうえで、私はこう考えています。

交通事故患者さんは
1) 必ず画像検査を残すこと
2) 症状の変化があるのでしばらくは聞き取りを絶やさないこと
3) 神経学的異常があれば、ためらわずCT・MRIを行うこと
4) 診療回数が極端に少ない場合や、都合であきは(あんま、灸、針など代替治療、整骨院も含む)医療に移行ないしは併用を行う場合は、後遺症診断上不利を被る可能性を持つことをしっかりお伝えすること

以上が、最悪の場合でも後遺障害への補償につながると考え、抜かりなくお伝えしていきたいと思っています。

労働災害もそうですが、交通事故もないに越したことはありませんが、人生の中でだれもが1度は出会うものではないでしょうか。身体にできるだけ痛みを残さず、残念ながら残った場合でも納得のできる形で対処してもらいたいのはすべての人の望みだと思います。

上にお伝えしたような内容をご理解の上、つらい治療にたいして、すこしでも希望をもって臨んでいただければと考えております。