カテゴリー別アーカイブ: ハイドロリリース

ハイドロリリースはエコーガイド下で運動器の疼痛がある部分の筋膜を注射液を注入してはがし、痛みを軽くする方法です。従来から行われていたランドマーク法(体表解剖の目印を使って注射する方法)と違って、ターゲットしたい部分に薬液が注入されているのをリアルタイムで確認しながら注射できるため、疼痛除去の効果が高くなります。

ハイドロリリース ナウ

皆さんこんにちは。
ちょっと衝撃的でしたので、急遽ブログをアップすることにしました。
今週後半に至って、ハイドロリリースのお問い合わせが増えてまいりました。

テレビ放送が今週行われたように伺っております。番組での内容を把握はしておりませんが、適切な内容が皆様に伝われば幸いかと存じます。

当院の注射による疼痛治療の基本はハイドロリリースによる重積ファシアのリリースと理学療法士の手による治療のコラボレーションで最大効果を出すことです。

当院では、特に肩関節の運動障害(四十肩・五十肩)の治療に力を入れております。おかげさまで、開院当初より多くの患者さんに治療を受けて頂いております

本当に凍結肩と言っていいような、重症の可動域障害の方も多数おられまして、時間はかかるものの徐々に【卒業】して下さってきています。
医療者としては本当にうれしいことです。

今後とも、治療に邁進していく所存です。

宜しくお願いします。


動かしにくい、痛い肩の治療へ(いわゆる四十肩・五十肩)

 

皆さんこんにちは。ついにふたたび、新型コロナウイルス対策としての非常事態宣言が我々の大阪の街にも出てしまいましたね。非常事態の発令に関しては巷でも諸説渦巻いており、どれも一理あるように思います。最も恐ろしいのは過剰に恐怖をあおられて、本当に必要なことを後回しにしてしまうことだと思います。寒い中ですが、からだの維持のために、ウォーキングなどの最低限の運動することや、疾患をお持ちの方はご自分の疾患のケアをきちんと医療機関でなさることが大切だと考えます。コンディションをしっかり整えておかないと、感染症に負けてしまいますのでからだのメンテナンスだけには最小限で結構ですので気を付けていただきたいと願います。

さて、本題ですが、今回は何度もお話ししましたが、理学療法士のリハビリテーションも本格的に始まったこともあり、当院が特に力を入れています四十肩・五十肩の治療に関するお話をあらためてしようと思います。
以前から申し上げていることなのですが、四十肩・五十肩といってもからだのなかで起きている変化は様々です。


加齢や外傷、オーバーユースなどで生ずる上腕骨を肩関節に固定釣りあげるための筋肉である肩腱板の損傷、上腕二頭筋(力こぶの筋肉)の腱の断裂や炎症、肩関節自体の変形(変形性肩関節症)、肩関節周囲の筋肉や腱に持続する炎症が続くために生じる腱板石灰化など、あげるとたくさんの病態があります。それぞれに対処法が異なってきますので、細やかなケアが必要に思います。
肩関節周辺の炎症のため、運動痛があったり、運動制限が起こったりしているので、炎症による癒着をはがしたり、炎症を抑えて状況を改善したりという治療を行っています。
実際の患者さんの例を何例か挙げてお話ししようと思います。


【症例】
理由なく、肩の痛みと運動制限が生じた。腕は60度程度しか上に上がらず、帯を締めるような動作もできない。夜間に痛みが強い。という主訴で来院された方がいます。もっともよくお見受けする症状です。
疼痛が強めで、運動制限も強いので、このような場合は、肩関節内にステロイドもしくはヒアルロン酸を注入し理学療法士に肩関節の可動域改善運動治療をお願いしています。


おおくの方はこの処置で可動域が回復し痛みがコントロールされるのですが、中には周囲の筋肉や靱帯のこわばりが伴っている方もおられます。肩甲骨と胸郭の関節(肩の裏側)の可動性がなくなっているために、肩の運動が損なわれている場合も多く、肩甲骨と胸郭の筋肉の間を注射液でハイドロリリースしさらに理学療法士に手で肩甲骨の可動性を整えていってもらいます。


また、肩前方の痛みを伴う方も多く、この場合は肩前方から情報にかけての靱帯の周囲の癒着をハイドロリリースで剥離し、その後理学療法士に同じ部分の可動性の調整をしてもらっています。
もちろん、ハイドロリリースは用いる針が細いといっても注射ですので、注射はちょっと、という方もおられます。その場合は、温熱療法や低周波療法と、理学療法士の用手的治療を組み合わせて受けていただいています。
ただ、残念なことに理学療法のみでは、のぞむ可動性に到達しないことも少なくありません。これは、私が注射単独で治療していた時と同様な結果と考えます。

 

長年、私が従事していましたがん治療においては、手術単独、抗がん剤単独、緩和ケア単独のいずれも単独の治療では十分な治療効果を出すことが困難で、相乗効果を狙って複数の治療を同時に行うことが一般的でした。これを集学的治療といいます。
肩関節のトラブルも、同じことで複数の治療を並行することでより高い相乗効果を狙っています。『運動器疾患における集学的治療』と呼んでもよいと思います。

より、困難な症例の方、いわゆる凍結肩のような腕が全く上がらない患者さんの場合はまさにこの『運動器集学的治療』がふさわしい病態だと認識しています。自らの診療経験としてお話しするとすれば、運動制限の強い肩関節障害の場合はなかなかハイドロリリースを駆使しても望む治療点に到達するまでに至らなかったり、ものすごく時間がかかってしまったりしていました。昨年の夏より、理学療法士と共同治療を開始して運動制限の改善が認められ、日常生活の支障がなくなった方が増えてまいりました。

たとえば、来院時に肩が40°ぐらいしか回せなくて、注射治療でも110°程度までの改善だったのが、合わせて治療し始めてから160°以上回る(こうなれば高いところのものが無理なく取れます)ようになったという具合です。
以前は治療限界に阻まれて、肩関節の癒着剥離などの手術をお勧めすることも多かったのですが、理学療法を合わせて治療を行うようになってから何とか日常使用に足りるだけの肩の可動域を獲得してもらえるようになっています。
院内でも、私と理学療法士2名とで治療の方向性に関して頻繁に討論しております。このようなことも治療に奏功しているのではないかと思います。
ふるやまクリニックとしては今後も、肩の治療に力を入れてまいります。お困りの際にはぜひ相談においでください。


理学療法士による治療の重要性 ~ハイドロリリースと手のコラボレーション~

みなさんこんにちは。
異常な暑さが去って、ようやく一息つく涼しさになってきましたね。朝は少し肌寒さを感じる時期になりました。

さて、当院に理学療法士さんがやってきて早くも2か月近くがたとうとしています。
療法士さんの人柄と、治療の確からしさのおかげで、患者さんからも重宝がっていただき、本当によかったなと思っています。

当院の疼痛治療の大きなテーマとして、エコーガイド下のハイドロリリースを掲げております。そして、開業以来、何とかハイドロリリースに理学療法を組み合わせて診療していけないか、体制を整えようと腐心してまいりました。
なぜ、それほど理学療法に執心するのか。


わたしが理学療法士による治療にこだわる理由は、従来の投薬や物理療法、さらにはハイドロリリースをもってしても、医師として私ができる患者さんへの治療介入に限界を感じているからなのです。

医師の治療だけだと、治療は注射と投薬が中心で、あとは機械による物理療法(いわゆる電気治療)になってしまいます。その場合、多くの腰痛や、四十肩五十肩、股関節痛に対しては今一歩決め手に欠く感じがして、治療が届いていないように思います。

あとは患者さんに生活習慣とストレッチや体操を指導することになりますが、痛みのある患部やその周辺を十分に動かさないと、慢性の痛みに関しては改善につながりません。

理学療法士は、その部分に重点的に介入ができます。動きの悪くなった関節や、筋肉、靱帯を徐々に動かして可動性を獲得させる(モビライゼーション)ような治療を施していきます。医師だけで提供できる医療
問題点を診断し、薬剤を内服(飲み薬)、外用(シップなど)、注射(局所注入)し、大きな範囲では機械による物理療法で血流を改善したりほぐしたりして、小さな範囲では理学療法士が手によって調整する。
このような治療スタイルが、町のクリニックで提供できる最大限の治療と考えています。

当院ではエコーを最大に活用した診断とハイドロリリース手技に基づき四十肩、五十肩(肩関節周囲炎)治療を行っていますが、こちらも理学療法士による治療と合わせることによってこれまでの治療の限界点を超えることが可能になりました。
ハイドロリリースに関しましては、HP内やブログでもお示ししておりますが、簡単に申し上げますと、慢性疼痛のある部分では筋肉同士や神経と周囲組織が癒着していることが多く、液体をその部位に注入することで癒着を剥離し疼痛が軽快すると考えられています。したがって、問題の部分の癒着をはがして、可動性を確保することが大変重要になります。何度も繰り返すことになりますが、癒着を注射ではがすのと人の手ではがすことを両方行うことで強い相乗効果を生み出すことが可能になるわけです。

肩関節の患者さんの治療の流れとしては、まずは診察室で肩の機能や状態を徒手検査とレントゲン、エコーで調べた後に、ハイドロリリースと患者さん自身のストレッチのみで治療を開始します。これだけで解消してしまわれる方が大変多いのですが、中には肩関節の癒着が強い方も少なからずおられて、改善の程度を見ながら理学療法士の治療が並行して始まります。
治療の目標としては、まずは日常生活をある程度問題なく送れる程度に改善することを目指しますが、運動をされていたり、ダンスなどで大きな可動域が必要となる方がおられたり、またお仕事で十分な肩関節の運動が必要とされる方もおられ、その用の場合には、肩の手術をする前にできる限り私たちのクリニックで治療の限界に臨むことにしております。

大部分の腰痛症、臀部痛では、筋肉の拘縮と、骨格のアライメント(並び)の不整(よく、骨盤のゆがみなどと表現されているのでしょうか、一般には)が原因となっていますが、ここでもハイドロリリースと理学療法士のコラボレーションは必須となってきます。トラブルの中心となっている関節や、筋肉・腱の付着部をハイドロリリースし、周辺のモビライゼーションを手によって行うことで、理学療法だけでも、ハイドロリリース単独でも到達できない治療域へ達することが可能になります。
腰痛のある患者さんの、腰痛の理由は本当に多種多様で、骨格が関係しているもの、筋肉に理由があるもの、骨格が筋肉や神経に影響を与えているもの、背骨の周囲の筋肉や靱帯、その他の結合組織が外傷や加齢によって弱くなったために神経やその周囲組織を傷害して起きるもの、構造的な変化は全く関係ないがんの転移や感染症もその理由になります。
まずは、レントゲンで骨格を確認しながら、身体診察とともに疼痛部位をエコーで確認しながら、疾患の状況を想定していきます。疼痛をきたす部位がターゲットでき、ハイドロリリースが適切な処置であると判断した場合はまず、注射でリリースを行うとともに、消炎鎮痛剤を投与し、理学療法士によって当該部位周囲のアライメントの調整やストレッチ、用手的な剥離などを行います。
骨格が関与している場合はコルセットのような装具を併用することもありますし、神経が関与していそうな場合は積極的にMRIを行って診断と治療につなげています。

腰痛とおなじくらいか、場合によってはまだ多いと思われるのが臀部痛です。
誰でも知っている腰椎疾患である腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症による腰痛や臀部痛の診断を受けておられる方が大変多いようおみうけします。また、有名な疾患である坐骨神経痛として認識されている方もたくさんおられます。いずれにしても、とてもしつこい痛みに悩まされている方がおおく、疼痛部位へのトリガーポイント注射を希望される患者さんもたくさんおられます。
臀部に疼痛をきたす異常としては、椎間板性の疼痛、椎間関節性の疼痛、脊柱起立筋のコンパートメント症候群、仙腸関節炎などがあり、これらの疾患は下肢の症状を伴う場合もよくあります。そのため、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症における神経障害と区別しづらい場合も多いため、その診断にひきずられて個々の異常が顧みられなくなってしまっている場合が多いように思います。


さらには、骨盤の上部に痛みをきたす上殿皮神経障害、梨状筋周囲に疼痛をきたす、上殿神経障害や梨状筋症候群など、臀部そのものに異常がある疾患もたくさんあります。いずれもトリガーポイント注射や、ハイドロリリースでの剥離と理学療法がセットで効果を示す疾患がたくさん存在しています。

腰痛、臀部痛や肩関節の異常だけでなく、変形性膝関節症や股関節痛、いわゆる肩こりにもハイドロリリースと理学療法のコンビネーションは威力を発揮します。

現在、理学療法士による治療は週のうち2日だけですが、漸次治療可能な日にち、時間を拡大してまいります。そして、ハイドロリリース+理学療法を診療時間内ならいつでも受けていただけるように、保険診療制度の面からも体制づくりを進めていく所存でございますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。


リハビリテーションの充実に向けて

みなさんこんにちは。
もうすぐ梅雨明けですね。今年は久しぶりに雨の多い梅雨であったと感じました。カタツムリも久しぶりに見た様な感じがします。梅雨明け前には近年お決まりの様に、豪雨災害が起こります。被災された方々の苦痛を思うととても人ごととは思えないですが、今年はコロナのこともあり本当に落ち着かない日々ですね。

さて、わたしたちのクリニックの大きな特徴であるのが、超音波検査機器(エコー)を駆使した診断治療です。特に、疼痛部位へのターゲッティングにはエコーが大きな威力を発揮してくれています。


癒着部を薬液注入で剥がしたり、疼痛部位をエコー下で確認しながら重積部を治療したり本当に頼りになる相棒ではあるのですが、やはりそこには、まだ満足しきれない部分も多々存在しているのは事実です。


そこで、重要なのが人の手の施術による、さらなる追加治療です。
問題となる疾患部分を注射だけではコントロールできないことも多いですので、理学療法士と共同で治療を進めることが、わたしたち手術を行わない医療者としては最大限の効果を提供できる治療方法となります。
特に、現在力を入れております、肩関節疾患に対する筋膜リリースを組み合わせた治療に関しては大きな効果が期待できる様に考えます。

本当に偶然が重なったこともありますが、今回、以前から親交のある理学療法士さんとのご縁で、週1回だけではありますが、共同で治療に当たれる体制を作ることができました。


8月21日 金曜日より 毎週金曜日終日、理学療法士さんが常駐してくれます。実は、本稼働の前に、プレとして本日ともう一日 、
診療に入っていただくことにしています。
今日はその記念すべき第一日目でした。
早速、数名の方に治療とアドバイスをしていただき、わたしだけでは提供できない世界を示してもらえて、本当に良かったと思いました。

以前、リハビリテーション病院で管理者をしていた時から強く感じていたことですが、やはり、人の手の治療は違います。患部に添えられている手の雰囲気でもう、治療への道が開いている感じを受けるのは、今回も全く同じでした。
まだまだ、体制としては不充分で、わたくしたちのクリニックも組織として未熟なため、理想の医療の提供には程遠いものがありますが、思いの他早く、ステップを上がっていける手がかりがついた様に感じました。
当面、理学療法士さんの治療は予約で運用したいと考えています。医師の診察を行った上で、アプローチを考慮させていただきたいと思っております。ご理解のほどよろしくお願いいたします。


エコーで診る四十肩

私どものクリニックには、からだのあちこちが痛くて仕方のない方がよく訪れてくださいます。外傷や年齢に伴う骨や筋肉の変化にともない、様々な症状をお伺いします。


体の痛みの中で最もポピュラーなものの一つに肩の痛みがあります。
おそらく人生の中で一度は、すべての人が体験するのでないかと思うのが、いわゆる四十肩、五十肩というものではないでしょうか。

私自身、40台半ばに差し掛かるころにある日突然肩が痛くなって肩より上に腕があげられなくなったことがありました。その当時は毎日大きな手術をしておりましたので、腕が上がらないことは大変困ったことでした。当時は専門のDrに相談しても、基本的に運動療法であると指導されましたので、痛みに耐えながら教えていただいた運動を繰り返しておりました。

しばらくすると嘘のように痛みが消えたので大変驚いたのを覚えています。ただ、そのあとに肩の運動制限が残っていることはあまり意識しませんでした。今でも肩の運動制限(可動域制限)は残り、十分に腕を回すことはできませんし、帯むすびなども苦手です。そういうものだと思っていましたが、ハイドロリリースの治療を通じて四十肩・五十肩のケアに触れてみると全く違う世界はあることに驚きました。

一般に四十肩・五十肩で語られてしまう肩の痛みを伴う運動制限ですが中身は結構多彩です。

従来のX線のみの診断だと石灰沈着性腱板炎と変形性肩関節症しか診断できませんが、超音波検査を用いると、骨ではない軟部組織の異常である腱板断裂、上腕二頭筋長頭腱炎、肩峰下滑液包炎、腱板疎部炎などの障害を認知することが可能になります。
これだけある肩の障害にに対して、四十肩五十肩でのくくりならば画一的な治療しかできません。

当院では、以上のことから、診断にはX線と超音波を併用し、超音波ガイドによる注射療法と、薬物療法、物理療法を同時に行っています。

以前のハイドロリリースの項でも申し上げましたが、超音波診断装置(エコー)を用いることは、注射薬を入れたい場所に入れることができるという意味で従来のランドマーク法をはるかにしのぐ方法です。

また、ランドマーク法では到達しにくい、微妙な構造物へのターゲッティングも可能で、関節内注入だけでなく、腱鞘や靭帯などに必要なだけ注入できるメリットは非常に大きいものです。

上記の多彩な疾患に対しても、それぞれに必要な治療部位を選択して注射を行います。

非常に多くの人が人生の過程で経験する四十肩・五十肩を的確な治療でできるだけ早く軽快させ、より長く肩の痛みの少ない人生を送っていただきたいと思います。
肩の治療は、診療時間内であればいつでも施行いたしますので、ご相談ください。


あなたの ‘痛い’ をケアするために ~ハイドロリリースを知っていますか?超音波検査装置による痛い場所のターゲッティング~

膝が痛い、腰が痛い、肩が痛い、首が痛い、肘が痛い。からだの痛みは老若男女問わずに、いついかなる時にでもやってきます。内臓関連の痛みではない、筋肉、骨、神経などの痛みで命を落とすことは考えにくいですが、痛みほど生活の質を低下させ、日々の暮らしから色彩を奪うものはありません。皆さんはご自身のからだの痛みとどう向き合っておられますか?
痛みに対する対処法は医学的にも何通りか考えられます。誰もが一番思いつきやすいのが、痛み止めを飲むことではないでしょうか。あるいは、痛いところに消炎鎮痛剤入りの塗り薬をすり込んだり、冷やしたり、湿布薬を張り付けたりというのがまずは常套手段でしょう。また、肩こりのように慢性的に痛む場合はさすったり、もみほぐしたりする動作を自分であるいはほかの人にしてもらうこともよく経験することと思います。いよいよどうにもならないときに病院受診ということになるのでしょうが、たとえば腰痛の場合その多くの原因は確定できずに、痛み止めなどで経過観察していることがほとんどです。痛いのにすぐに楽にならない。時間が解決する。あるいは、年齢による変化のため、よくならないので何とか付き合う方法を考える。などどいう、結論に到達し医療をあきらめてしまう方も多い様に見受けます。
わたしは、クリニックの勤務ですので入院施設もなく入院の可能性があるような治療はできませんが、外来通院の中でできるだけ、今回のテーマのような患者さん、つまり痛い方の痛みを緩和するため積極的に治療を行っていくにはどうすればよいかを常に模索しています。
一つは、漢方薬を利用する方法です。たとえば有名な痛み止めでロキソニン、ボルタレンというものがありますが、非常にはやく、よく効く半面、消化管へ与えるダメージは相当なものがあり連用が難しい方によく出会います。そのようなときに、状況に応じた漢方薬をサポートに使うことがあります。
二つ目は、これも以前からよく行われていた方法ですが、痛いところに注射を行う方法です。従来、キシロカインなど局所麻酔薬を中心にした薬剤の注入が行われていましたが、さすがに触っただけではどこに注入されているかわからず、一番奥から手前までまんべんなく注入することで効果を得ていました。ところが、麻酔薬を使わなくても、あるいは極端に麻酔薬の量を減らしても、適切な場所に注入すれば多量に麻酔薬を使った場合と遜色ない効果があることが示されました。適切な部位とは、多くは筋肉や神経、血管を取り巻く膜です。膜と膜の重なり合って引っ付くために、そのポイントで痛みが発生することがわかってきました。癒着した部分を狙って手ではがす(これが筋膜リリースです)か、注射液ではがす(ハイドロリリースといいます)かいずれかの方法が大変有効です。手によるリリースは表面に限られるため深部や、浅くてもはがれにくい部分には注射による手法が必要になります。いずれにしても超音波診断装置(以下エコー)で問題部位を確認してターゲッティングするので、確実性が増すことになります。
同じ考えで、これまでブラインド操作で行われることが多かったブロック手技や関節注入などもエコーを用いて行うことで確実に注入部位に薬液を到達させることが可能となり確実に治療することが可能になりました。
当院では肩関節、膝関節、腰の痛みに対し、関節注入や関節周囲のリリースをエコーを見て行っております。また、その他の部位の痛みに対しても、リリースが有効な部分にはエコーを用いて施術します。従来からおこなわれていました、トリガーポイント注射(痛いところに打つ注射)や関節注射を、エコーを使うことでより確実なものとして治療提供しています。痛みを少しでも抑えて、痛くない間にしっかりとからだを動かして、痛みの少ない快適な暮らしを送っていただきたいと考えております。