成人帯状疱疹ワクチンの対象年齢について(まとめ)

水痘・帯状疱疹ワクチンを接種できる人の年齢についてまとめてみました。

1)帯状疱疹不活化ワクチン(シングリックス)
a)50歳以上の方
b)18歳以上50歳未満で、帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる方

2)水痘生ワクチン
a)50歳以上の方(帯状疱疹の予防として)
b)50歳未満の方(水痘、水ぼうそうの予防として)
医療、教育、福祉系学生さんの水痘ワクチン接種は、2-b)になります。

このように、幅広い年齢の方に接種が出来るようになっていますが、最終的には、医師の判断が必要になります。

ワクチンは取り寄せになりますので、接種希望の方はまず、クリニックまでお電話ください。
2種のワクチンの違い、接種料金については、こちらをご覧ください。

 


50歳未満の人へのシングリックス接種

帯状疱疹ワクチンのうち、シングリックスが18歳以上の人に接種出来るようになりました。

接種出来る人は、
「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の人」
で、リスクの評価、接種出来るか出来ないかは、最終的には医師の判断で行います。

ワクチンの料金については、HPをご覧下さい。

接種希望の方は、まず電話で予約をお願いします。

 


アレルギー検査(4)~特異的IgE抗体、花粉編

花粉、屋外のアレルゲン
スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ、ガ

木の花粉
スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ

スギは、2月中旬から3月
ヒノキは、4月上~中旬がピーク
京都を取り巻く山々から長距離飛散し、京都盆地全体に影響します。
「クラス」が2、3とか低くても、飛散量が多いと、それだけ症状がきつく出るので油断できません。

ハンノキは3月
シラカンバは、本州中部以北に自生するので、京都には直接影響はありませんが、
ハンノキ、シラカンバのIgEが高いとOASを起こすことがあるので注意が必要です。

草の花粉
イネ科植物 カモガヤ、オオアワガエリ、(ハルガヤ、ホソムギ、ギョウギシバ、アシなど)
秋の雑草 ブタクサ、ヨモギ、(アキノキリンソウ、カナムグラ、シロザなど)

イネ科植物は、4月~梅雨入り、8月下旬~10月上旬
秋の雑草は、8月下旬~10月上旬

草の花粉は、木と違って遠くまで飛ばないので、河原や山すそ、草むらに近寄らなければ影響は少ないです。

OAS(口腔アレルギー症候群)
ハンノキ、シラカンバ、スギ、ヒノキ、草の花粉のIgEが高い人の中には、果物、野菜、ナッツなどで口がかゆくなるOAS(口腔アレルギー症候群)を起こすことがあるので注意が必要です。

OASについては、次回解説します。

 


アレルギー検査(3)~特異的IgE抗体、室内環境編

「アレルギー検査(1)~IgE抗体」の記事で表をのせた「View39」の前半部分、ハウスダスト1からブタクサ、ネコ、イヌ、ゴキブリ、ガは環境のアレルゲンです。

花粉、屋外のアレルゲン
スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ、ガ

室内アレルゲン
ハウスダスト1、ヤケヒョウヒダニ、ネコ、イヌ、ゴキブリ

ハウスダストはいわゆる季節の変わり目に増えやすく、春秋の花粉症の時期に重なりやすいので、症状がより悪化する原因になります。

ダニは、0.5mmぐらいの大きさで、目で見えます。画面オフのスマホの表面や黒い家具の表面で、動いている白い点のようなものがあれば、それがダニです!
高温多湿の環境で増えやすく、ダニに刺されるよりも、ダニの死骸やダニのフンが皮膚にくっついたり、吸入したりしてアレルギーを起こすことが問題になります。

掃除、換気を心がけましょう。

ゴキブリ、ガは、「死んだあと粉々になりホコリに混じる」ことでアレルギーの原因になります。ゴキブリが皮膚についた、とか、ガの鱗粉でかゆくなるわけではありません。ガがアレルギーの問題になるのは、夏から秋の期間になります。

番外編:マダニ刺症
野山で刺されるマダニは全く別物です。大きさ3mm~1cmぐらいで虫として目で見えます。
人を刺し、吸血することがあります。
マダニを介して「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」などの重症なウイルス感染を起こすことがあるので注意が必要です。その場合は、大きな病院の皮膚科で治療を受ける必要があります。

次回は、花粉、屋外のアレルゲンについて説明します。


アレルギー検査(2)~特異的IgE抗体、検査結果の見方

アレルギーの検査、特異的IgE抗体の結果は、「数値」と「クラス」で表されます。
「0.42」とか数字の羅列だとわかりにくいので、「クラス1」のようにランクで理解した方がよいと思います。

「クラス」は7段階に分かれていて、最小の0は陰性、最大は6です。

「クラス」の数字が大きい方がアレルギーを起こしやすい体質、と診断されます。

ハウスダストが「クラス5」でした、とお伝えすると、「部屋がきたない」ように誤解される人が時々おられます。IgE抗体の高い低いは、その人がどれくらいアレルギーを起こしやすいかを表しています。「掃除をしていない」わけではありませんのでショックを受けないでください。

ですが、「クラス」が高いとそれだけ敏感、アレルギー反応を起こしやすいわけですから、丁寧に部屋の掃除をする方がよいでしょう。

次回から、個別の検査内容について解説していきます。

 


アレルギー検査(1)~IgE抗体

原因アレルゲンの特定に、アレルギー検査を

アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息、じんましんなどのアレルギーの病気では、病気を引き起こすアレルゲンが検査でわかることがあります。

検査でわかること
環境(ホコリ、花粉、カビなど)、食物、ペットに対するアレルギー

わからないこと
ストレス、汗刺激、紫外線刺激、温度変化、黄砂、PM2.5など
じんましんには、原因が特定できない「特発性じんましん」が結構あります。

アレルゲンの検査
特異的IgE CAP シングルアレルゲン
約200項目から必要なアレルゲンを選んで測定します。
健康保険では、検査項目の上限は13までです。

吸入性アレルゲン(花粉)
スギ、ヒノキ、ハルガヤ、カモガヤ、ブタクサ、アキノキリンソウ、等
吸入性アレルゲン(花粉以外)
ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト(1)、各種カビ、動物、等
食物性アレルゲン
卵白、ミルク、小麦、大豆、肉、魚介、穀物豆類ナッツ、果物野菜、等
その他

Viewアレルギー39
少量の採血で39項目のアレルゲンに対する特異的IgE測定ができる検査です。
項目の組み替えは出来ません。
検査費用は、39項目で、特異的IgE CAP シングルアレルゲン13項目分と同じです。

view39

ファルコバイオシステムズ 総合検査案内より抜粋

次回から、検査の各項目について解説していきます。

 

 


5月8日以降、風邪症状のある方の診察について

5月8日より、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行することになりました。
当院も「外来対応医療機関」に登録しました。

外来を受診するときに注意していただきたいことが、京都府のホームページに書かれています。
発熱、風邪症状のある方は、まず、そちらをご覧下さい。

「発熱症状などのある方は、まずは身近な医療機関にお電話ください。」

通常期における受診可能な診療・検査医療機関の一覧→左京区

左京区の一覧リストは膨大な量なので、当院で診察が可能な曜日・時間帯など抜き出して記載しておきます。すべての診療時間で対応可能ではありませんのでご注意ください。

外来対応医療機関12月修正
【受診時の注意事項】
✔ 受診希望の方は、直接来院せず、必ず事前に電話連絡の上、予約をお取りになって来院してください。
✔ 新型コロナウイルスの抗原検査は医師が必要と判断した場合に実施します。
✔ 経口抗ウイルス薬の投与にはレントゲン検査など「重症度診断」が必要ですので、当院では対応していません。
✔ 状況によっては診療予約を受けられないことがあります。必ず事前にお電話ください。直接来院されても、時間指定して改めて来院していただく場合があります。
✔ 来院時、マスクの着用をお願いします。

 


1学期の間にアトピーを良くしておこう

この春、京都に引っ越してきた学生の皆さん、入学進学おめでとうございます。

春は別れと出会いの季節といいますね。

まつもとクリニックでも、3月に卒業、就職で京都を離れることになった患者さんを何人か見送りました。新天地でもアトピーが落ち着いていればいいなと思いつつ。

4月になり、進学で京都に引っ越してきた人も、さっそく数人診察しています。

ここ1、2ヵ月間で印象に残っているのは、「卒業して就職先も決まったので、引っ越しするまでにアトピーを良くしたい」と来院された患者さんです。

聞くと、2週間後(!)に引っ越しするとのこと。

結構きつい痒み、発疹が全身にあり、最初の診察の時に、湿疹部位にステロイド軟こうをFTUでしっかり外用するよう、説明しました。

*FTUとは、湿疹アトピーがよくなる軟こうのぬりかたのことです。詳しくはこちら

1週間後に再診、症状改善を確認しました。改善部位には再発防止軟こうを外用していきますが、この患者さんにはモイゼルト軟こうを処方しました。

さらに1週間後、最後の診察でしたが、再発していないことを確認し、モイゼルトを継続処方し、転居後に落ち着いたら新しい自宅の近所のクリニックに通院するようお伝えしました。

心の中では、「2,3ヵ月早く来てくれれば、もっと改善できただろうなぁ」と思いました。

そこで、

新入生でアトピーで困っている方には、4月の入学行事、授業登録、クラブ・サークル選びが一段落した今の時期に、早めの受診をお勧めします!

アトピー性皮膚炎の治療は、最初が肝心。初回から3回目までは、1週間ごとの通院がベスト。
夏休みになれば、クラブ・サークル活動や、運転免許取得、帰省などで、京都にいないことも多くなることが予想されますので。

まつもとクリニックでは、アトピー性皮膚炎の診察、指導に時間を確保するため、予約診療をしています。診療内容、予約の取り方など、詳しくは、当院のホームページをチェックしてください。

予約電話は、診療時間内にお願いします。

 


花粉症、アレルギー性鼻炎(4.3)~治療、ロイコトリエン拮抗薬

ロイコトリエン拮抗薬

オノン(プランルカスト)、シングレア、キプレス(モンテルカスト)

喘息の治療薬ですが、アレルギー性鼻炎にも効果があります。
眠気はほとんどありません。
花粉症による「のどのイガイガ」にも効果があります。
第2世代抗ヒスタミン薬と作用機序(効き目)が重複しないので、どちらかで症状改善が不十分な時にはよく併用しています。

その他

ケミカルメディエーター遊離抑制薬
リザベン、ペミラストンなど
リザベンはケロイド、肥厚性瘢痕の治療で使われることがあります。

Th2サイトカイン阻害薬
アイピーディ

抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬
バイナス(ラマトロバン)
この春生産中止で、ジェネリックの在庫のみになりました。

第1世代抗ヒスタミン薬
レスタミン、ベナ、ポララミンなど
眠気の副作用がキツいです。
第2世代の薬が各種開発されている現在、あえて第1世代を処方する意味はないと思います。
市販の鼻炎薬として今でも使われています。

セレスタミン配合錠
(第1世代抗ヒスタミン薬+経口ステロイド薬配合剤)
1錠にベタメタゾン(ステロイド)0.25mg含有
ステロイドを含むため、鼻づまりキツいときに頓用で投与することがあります。
花粉症シーズン通して常用したりすると、内服ステロイドの副作用が出現するリスクが高まるので、おすすめできません。
ちなみに、ステロイドの錠剤であるリンデロン錠1錠にはベタメタゾンが0.5mgふくまれます。
セレスタミンに含まれる第1世代抗ヒスタミン薬には眠気の副作用があるので、セレスタミンを頓用する代わりにリンデロン錠1/2錠でもよいと思います。

「その他」の薬の説明の方が長くなりましたが、第2世代抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬が効果不十分な時に追加、あるいは変更するのが、「その他」の立ち位置です。