骨粗しょう症の予防 治療~簡単で明日からできる予防を中心

 

みなさんこんにちは。健康関連の内容でのアップは久しぶりになります。

今日は骨粗しょう症の予防と治療に関して、外来でもお話している簡単な方法を中心に書いていこうと思います。

まず、予防に関して始めましょう。

細かいお話はともかくとして、最も簡単にエッセンスだけお伝えするとすれば、運動をすることとたんぱく質をしっかりとることが、予防の基本になります。

もちろん、治療を受けておられる方も生活習慣での治療としてこのことはお伝えします。
具体的には毎日日頃の日常生活プラス10分の運動を心がけることをお勧めします。骨は外部から刺激が入ることで造成が活性化します。筋肉は骨についていますので筋肉を動かすことすなわち、運動をすることがよい骨への刺激になるのです。

また、食事面では、カルシウムの摂取を声高に歌う内容のお話が多いように思いますが、あまりに多量のカルシウムは腎臓に負担をかけ、最終的には骨に対する体内環境を悪くしてしまうので、極端なカルシウム摂取は控えてもらうようにしています。日々の食事の中でバランスの良い食事を心がけてもらえば十分に必要カルシウム量は摂取できるため、普通の食生活が望ましいと思います。むしろたんぱく質、特に動物性たんぱく質の摂取は心がけるようにしてください。骨といってもカルシウムだけでできているわけではばく、基本はタンパク質から構成されています。年齢が高くなってきますと、たんぱく質の摂取量が自然と落ちてくることはよく知られていることで肉でも魚でもどちらでもよいので動物由来のタンパクを取ることが筋肉や骨を強化します。最近よく問題になるサルコペニア(年齢による筋肉量の低下)やフレイルの予防と通ずるところがあります。
ちょっとした運動と動物性たんぱくを食べることは今すぐでもできることですので、気に留めて実行していただきたいものです。

 

骨粗しょう症の大半は閉経後の女性です。そのため骨粗しょう症のメカニズムには女性ホルモンの低下が関係していることが圧倒的に多いです。

骨は古くなった部分をこわして新しく作ることで代謝されていきます。
病的になった骨は壊しすぎているか、ちゃんと作っていないかのどちらかに分類されることが多いですので、治療薬を決めるときに血液検査で調べることができます(骨粗しょう症マーカーの検査)。

それに合わせて、腸管からのカルシウムの体内取り込みに関与しているビタミンD3の活性度を調べ、必要があれば投与します。

骨粗しょう症がほかの病気が原因となって発生することもあります。特に男性の比較的若年の骨粗しょう症はその多くがその他の疾患のために引き起こされている、いわゆる続発性骨粗しょう症といわれるものになります。

骨の代謝をつかさどる副甲状腺という臓器の機能障害や、糖尿病、甲状腺中毒症、下垂体機能障害のような内分泌機能の疾患や、胃切除後のカルシウム吸収不全に起因するもの、ステロイド投与による薬剤性のもの、糖尿病、腎機能障害、関節リウマチなどが原因になります。
いずれの場合も原因疾患の治療が第一になります。

当院でも治療開始前、あるいは治療薬の変更時に続発性の可能性をチェックするように心がけています。

そのほか、骨粗しょう症もどきといってもいいような疾患もあります。骨軟化症や、悪性腫瘍の骨転移、骨髄腫などは鑑別する必要があります。

以上のことを踏まえてうえで、治療法と治療薬の選択を行っています。

骨の破壊を止める薬は昔からある薬で、薬剤の剤型も多様です。内服薬から静脈内投与まで多種多様ですので、この状況に相当する方はライフスタイルによってさまざまに薬剤が選択できます。

活性型ビタミンD3の低下が主たる原因の方はその補充と、女性ホルモン類似薬の充填が中心となります。

骨形成の脆弱な方は、骨形成を促進する薬剤が中心となります。こちらは注射製剤しか現状ありませんので、定期的な接種が必要となります。

いずれかの薬剤の使用が決定したら、定期的に骨密度を測定しながら効果判定を行っていきます。それとともに薬剤の障害がないかを血液検査でフォローする必要があります。どの薬剤も半年から1年以上の効果判定期間を必要としますので慌てずにじっくりと取り組んでいただきたいです。

 

以上が、予防と治療のあらましとなります。薬剤によっては長期続けすぎることでマイナスの作用(骨破壊を止めるビスフォスフォネート製剤は長期使用(5年以上)で骨折のリスクが増加します!)をきたすこともありますので、漫然と続けるのではなく、状況をその都度把握して適正な治療を長く行うことが肝要かと考えます。






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