カテゴリー別アーカイブ: アトピー

花粉症初期療法ノススメ

今年は異常なくらい寒波がやってきますが、
来週になれば、そろそろスギ花粉が飛び出します。
季節の移り変わりは早いものですね。

毎朝届くスマホの天気予報の通知では
スギ花粉はゼロではなく、「少ない」と表示されます。

今年のスギ花粉飛散量は、去年並みと予想されていますが
患者さんの中には一月末頃から鼻炎症状が出ている敏感な方もおられます。

花粉症シーズンを少しでも楽に乗り越えるために
「花粉症初期療法」
を当院ではおすすめしています。

「花粉症初期療法」とは
1)花粉飛散開始時
2)花粉症症状が少し出はじめた時
どちらか早いほうから内服治療を開始する治療で
花粉症の悪化を防止する効果があります。

かく言う私も花粉症持ちで症状出はじめているので、今日から内服治療を始めました。
週末からの寒波が過ぎ去る2月中旬ごろからの治療開始を患者さんにはお勧めしています。

ぜひ早めの治療で快適な春をお過ごしください。


アレルギー大学で講義をします

10月9日、アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと主催のアレルギー大学で
アトピー性皮膚炎の外用治療についての講義をすることになりました。

ステロイド、プロトピック、保湿剤などの上手な使い方について解説をします。
今年で3回目になりますが、今回は、講義の最後に「アトピービジネスの見破り方」を話します。

現在、講義のスライドはほぼ完成していて、発表原稿をまとめているところです。

2017年度アレルギー大学(京都)、くわしくはこちら


食物アレルギーのIgG検査は、百害あって一利なし。

6月16日、読売テレビの「ザ・世界仰天ニュース」で
激しい咳、倦怠感、血便、脱毛に悩まされているプロゴルファーの話が取り上げられ、
「遅発性アレルギー、IgG抗体検査」
の話がありました。

食物アレルギーのよくあるパターンは、食べてすぐ症状が出る
「即時型アレルギー」
で、
検査では「IgE抗体検査」の数値が上昇します。

時々、食後数時間から48時間以内にかゆくなる
「遅延型アレルギー」
というタイプもあります。

医学生の頃に勉強した知識では
遅延型アレルギーはIgGではなくリンパ球の反応だった記憶があり
調べてみました。

その結果、遅延型アレルギーでは、
IgEでも少し遅れて症状が出ることがあること
IgEが上昇せず、リンパ球が反応する「Ⅳ型アレルギー」で症状が出ることもあり
Ⅳ型アレルギーの場合は、
「皮膚パッチテスト」
研究的な検査として「アレルゲン特異的リンパ球刺激試験」
があるものの、
「IgE抗体検査」のように結果がはっきりわかるものではない
ことがわかりました。

また、
例の「IgG抗体」ですが、
アメリカ、ヨーロッパのアレルギー学会
日本アレルギー学会
日本小児アレルギー学会
では、
食物アレルギーの診断にIgG抗体検査の有用性はないとされています。

つまり
IgG抗体を調べても、
食物アレルギーの診断には意味がない。
ということですね。

ネットで
「遅延型アレルギー」「IgG」
を検索すると
たくさんのサイトがヒットします。

なかには、クリニックで
わざわざアメリカまで血液を送ってIgG抗体を診断!
診断料は保険適応外で3~4万円!
と謳っているサイトもありますが、、

皆さん、IgG検査には引っかからないようにご注意くださいね。

参考サイト
日本アレルギー学会
日本小児アレルギー学会


アトピーの新しい治療薬、開発中

皮膚をバリアーし保護するタンパク質「フィラグリン」の働きを強める化合物を京都大学のチームが発見、この物質を使ってマウスのアトピー性皮膚炎の症状を改善させることに成功し、9月16日付の米科学誌電子版に発表した。10年後をめどに実用化を目指す。

アトピー性皮膚炎の皮膚では、フィラグリンが減少していて、皮膚の保護機能が低下することでアレルゲンの影響を受けやすくなり、炎症が起こりやすくなっています。

今回の京大の研究で、フィラグリンを増やして皮膚の防御力を高める物質が見つかり、アトピーの再発防止、発症予防に期待が持てるようになると思います。

但し、一旦起こってしまった炎症をよくするためには、ステロイド外用剤、プロトピック軟膏も合わせて使っていく必要があるでしょう。

今回の「新しいアトピー治療薬」が、ステロイドやプロトピックのように、アトピービジネスがらみの風評被害に遭わないよう、切に願っています。


プロトピック軟膏とタクロリムス軟膏の違い

プロトピック軟膏。

まつもとクリニックでも
アトピー治療の両輪としてステロイド外用剤とあわせて使っている薬ですが、
ジェネリックとしてタクロリムス軟膏も発売されています。

皮膚科の雑誌に
「タクロリムス軟膏だと刺激感を強く感じる患者さんがいる」
という投稿が載っていました。

私も、
他院でタクロリムスを処方され
ひりひりしてうまく使えなかった患者さんを診察したことがあります。
その患者さんには、1週間ステロイド軟膏を外用し
改善後にプロトピックに変更することで
うまく切り替えることができました。

プロトピックでは、
軟膏の成分に炭酸プロピレンが使われていて
薬効成分を溶かすのに役立っているが、
他のタクロリムス軟膏には
炭酸プロピレンが使われていない。

この違いで
薬の成分である「タクロリムス」は同じでも
刺激感という副作用が出やすくなる現象が
起こっているのではないかと考えられています。

タクロリムス軟膏を処方するのなら
十分炎症がコントロールできているのを
確認してからにするべきです。

「ジェネリックはどれも先発品と同じ効能効果」
と言い切る医師、薬剤師がいるなら、
その人は勉強不足と言われても仕方がありません。


ジェネリック薬・物質特許と製法特許

薬の中には、「製法特許」といって
作り方に独自の方法を使っているものもあります。

例えばホクナリンテープ。

喘息や気管支炎で使う気管支を広げて呼吸を楽にする
気管支拡張剤ですが
皮膚からの吸収を安定化させる独自の製造法で作られていて
他のジェネリック、「ツロブテロールテープ」
とは有効性が異なります。

薬の効果を左右する違いがあるのなら、
ジェネリックでない方を選んで処方することも
必要と私は考えています。


ジェネリック薬 ・ 同じでないものが、あるんです。

ジェネリック薬。

先発医薬品と同等の効果で安価な薬と宣伝されていますが、
中には「同等でない」ものもあるのをご存じでしょうか。

ヒルドイドローションとビーソフテンローション。

前者は乳液、後者は化粧水様の保湿剤です。
薬効成分の「ヘパリン類似物質」は同じでも、
保湿効果は全く違います。

開院当初、ヒルドイドローションを処方したつもりが、
処方箋薬局でビーソフテンに変更されてしまい
びっくりしたことがありました。

以後、処方箋には「変更不可」のコメントを付けるようにしています。

次回は、「物質特許と製法特許」のお話です。


開院三周年

本日、9月1日で
まつもとクリニックは開院三周年を迎え
四年目に入りました。パチパチ

まつもとクリニック・アトピー性皮膚炎診療・三つの特徴

1)予約制による「原則30分枠」の初診外来

2)看護師による実践的軟膏外用指導

3)初診から1週間目の再診

次回から、それぞれの項目について
説明していきます。


熱帯夜。夜中は、エアコンを使おう。

蒸し暑い夜が続いていますね。

汗は、アトピーの大敵です。
最近、汗かいて悪化する患者さんも目立ってきています。

テレビなどで、節電が呼びかけられています。
熱中症で救急車で運ばれる人も増えています。
中部大学武田教授のデータによると
平日の日中に一番電力を消費しているのは、
家庭や中小企業の工場ではなく、
巨大なオフィスビルの冷房だそうです。

関電のテレビCMでも、
夜中の電力需要はぐっと下がっていますし、
オフィスが休みの土日には計画停電しないことも
その裏付けになっていると思います。

不思議なのは、去年の夏、まだ関電管内で原発が動いていた頃、
勤務日を平日休み、土日出勤にシフトした大企業がたくさんありましたが、
超大企業某M社の友人に聞いたところ、「今年はシフト勤務はない」との返事。

変ですね。
今年の方が電力不足はより厳しいのでは???

閑話休題。

夜中は、電力不足はありません。
適切な温度、時間でエアコン、扇風機を使いましょう!!


ダチョウ抗体ジェルはアトピーに有効??

この前、親子で通院されているAさんから、
「テレビでダチョウのクリームでアトピーがよくなるって言ってたけど本当ですか」
と聞かれ、いろいろ調べて見ました。

まず、ネットで検索して放送元のテレビ局に電話。

「もしもし、ダチョウクリームのこと放送されていましたが、
動物実験のデータとか、治験のデータとか、安全性のデータとか、
知りたいので紹介してくれませんか?」

治験とは、新薬が発売される前に患者さんの同意のもとに
有効性や副作用の有無を調べることで、保険薬では必ず行われています。

テレビ局の返事
「ウチでは本の紹介をしただけなので、知りたいのなら本を買ってください。」

??営業トーク??

本、いらないんですけど。

クリームを通販しているサイトを見てみると、
著者の先生、大学には問い合わせしないでください
との文言が。

調べようがないやんか、と思っていると。。。

販売名:オールインワンモイストセラムZ
<ジェル状美容液 50g>
使用上の注意
傷やはれもの、湿疹等、異常のある部位には使用しないでください。

と、販売元のホームページに明記してありました。

湿疹にぬったらいけないのかぁ。
売ってるところが言ってるのだから
間違いないですね。

結論
ダチョウ抗体ジェルは、美容液です。
アトピーの湿疹につけてはいけません。