前回、Veiw39の項目にある「オボムコイド」という聞き慣れない検査について説明しました。
食物アレルギー検査の中には、カタカナ、英語表記の、見ただけでは食材が連想できないものがいくつかありますので、数回に分けて解説していきます。
まずは、小麦です。
小麦アレルギー、グルテン、ω5-グリアジン
小麦アレルギーは、卵、牛乳に次いで3番目に多い食物アレルギーで、特に運動誘発アナフィラキシーの原因になるので要注意です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)
特定の食べ物を食べた後2~3時間以内に運動すると、じんましんや呼吸困難、血圧低下などの急性アレルギー症状を起こすことがあり、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)と呼ばれています。
小麦は原因食物の第一位です。
グルテン
グルテンフリーという言葉を耳にしたことはありますか?
「グルテン」は小麦タンパクの一種で、さらに「グリアジン」(粘性)と「グルテニン」(弾性)に分けられます。
小麦によるFDEIAでは、「ω(オメガ)5-グリアジン」が関与していると考えられ、検査でも高値になります。
また、石けん、ボディソープ、シャンプーの中には、泡立ちを良くしたり、保湿目的で「加水分解小麦」を配合しているものがあります。長時間使用することで、皮膚から小麦加水分解物が吸収され、小麦アレルギーを発症する人が多発し、社会問題になりました。(茶のしずく石けん事件、2004~2010)
皮膚から吸収した成分でアレルギーを発症することを「経皮感作(けいひかんさ)」と言います。加水分解小麦だけでなく、果物、植物、ナッツなどのエキス、オイルが原因になりえるので、石けん、ボディソープ、シャンプー、化粧品を選ぶときには、意識して加水分解小麦、果物、植物、ナッツなどのエキス、オイルが入っていないものを選ぶようにしましょう。
経皮感作による小麦依存性運動誘発アナフィラキシーでは、「ω5-グリアジン」は低値もしくは陰性となるため「グルテン」や「小麦」を検査します。
「グルテン」「ω5-グリアジン」はView39の項目には含まれないので、特異的IgE CAP シングルアレルゲンで検査します。