月別アーカイブ: 2015年1月

「閉鎖病棟」  帚木蓬生 著

IMG_20150110_213702

大先輩のドクターからいただいた本を読み終えました。20年前の小説ですがとても感銘を受けました。

「閉鎖病棟」 帚木蓬生 著

作者は精神科医で、精神科病院に長期入院中の患者さん達の姿を描いた物語です。

病気のために重い過去を背負っていたり、あるいは家族から疎まれ長期入院を余儀なくされている患者さん達の、病棟での生活が淡々と、しかしとても丁寧に描かれています。淡々とした文章の中に患者さんへの温かく優しい眼差しがあふれています。帚木先生は何かを声高に訴えるわけではありませんが、患者さんの描写を通して精神科医としての姿勢が静かに伝わってきます。

僕も以前、精神科病院で働いていましたが、そこにも多くの長期入院の方がいました。何十年も入院している方もいましたが純朴な人が多く、その姿に僕自身が癒されることもありました。この小説を読んで、「長期入院中の患者さんが退院して何とか地域社会で生活できないものか」と色々思い悩んでいた頃を懐かしく思い出しました。今でも「精神病の患者さんの社会復帰」は関心のあるテーマです。患者さんへの社会の理解と支援が少しでも広がるよう診療に取り組んでいきたいと思います。

 


謹賀新年

明けましておめでとうございます。

今年も無事に新年を迎えることができたことをうれしく思います。

昨年は、様々な方のメンタルヘルスに関わらせていただきました。多くの方が様々な悩み事を抱えてられます。「精神医療が果たす役割の大きさ」を改めて感じた一年でもありました。

この一年も変わらず治療にあたっていくと同時に、患者さんへの理解と支援が広く社会から得られるよう診療に取組んでいきたいと存じます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。