月別アーカイブ: 2015年3月

リワークプログラム(その1)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回から「リワークプログラム」というタイトルで、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
職場復帰支援プログラム (リワークプログラム)とは何か
リワークプログラム(復職支援プログラム)復職準備性リワーク準備性
近年、ストレス関連疾患によって休職に至った患者様を対象とした職場復帰支援プログラムの取り組みが盛んになっています。このプログラムは“リワークプログラム”と称されます。
リワーク」の初の試みは、1997年にNTT東日本関東病院が医療機関において作業療法の枠組みで始めた職場復帰支援プログラム(RAP)に遡ります。当時のRAP(復職支援プログラム)の取り組みは、現在と比較すると盛んではなく、限られた施設や機関でのものでした。しかし、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、従来のうつ病とは異なる非定型のうつ病が報告されるようになり、しだいに職場復帰支援プログラムの必要性リワークプログラムの必要性)が高まりました。
うつ病患者様の入院治療では、症状が落ち着くとすぐに退院や復職(リワーク)をし、その後、短時間で再休職したり再入院に至るケースが認められます。ストレス関連疾患に罹患し、その後に症状が改善したからといって、復職直後リワーク直後)から仕事ができるようになるということはないです。良好な復職を果たすリワークを果たす)ためには、復職のための準備期間リワークのための準備期間)が重要であることが明らかになったのです。リワークプログラムは復職するリワークプログラムはリワークする)ための準備をすることであり、近年では非常に重要な役割を担っています。
リワークプログラムの目的職場復帰支援プログラムの目的)を「復職準備性の確認リワーク準備性の確認)」としているが、復職準備性とはリワーク準備性とは)、“仕事ができるレベルの病状の回復度”です。
◇《リワークプログラムの目的職場復帰支援プログラムの目的)》
1.復職準備性の改善リワーク準備性の改善
2.「患者」という立場と「社員」という立場の自己コントロールを支援
3.復職の判断リワークの判断)が適切に行われるように情報提供
4.早まった復職早まったリワーク)と復職後リワーク後)の再発予防
5.患者の改善の過程に応じた適切なアドバイスや援助
6.治療機関と会社における援助が円滑に進行するための情報提供
7.参加メンバーの支え合いを支援
8.自己認識への促しによって自己コントロールができるように援助
9.状況改善と周囲との関係を良好なものへと促す
10.患者を取り巻く人々のスティグマ(ネガティブな偏見)を改善
リワークプログラムでは職場復帰支援プログラムでは)、復職に伴ってリワークに伴って)発生するストレスに耐えうる体調と、復職に必要なリワークに必要な)作業能力全体の改善を促すことが最も重要な目的とされています。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その4)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク (復職)支援」の4回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】実施する機関や施設によって内容は異なりますが、オフィスワークに類する作業(パソコンでの入力や文書などの作成など)や認知行動療法、自己主張訓練、参加者同士のミーティング、体操・スポーツ、社会技能訓練、過去の振り返りなどを午前と午後に分けて設けているところが多く、参加者は週何日か施設に通い、こうしたリワークプログラム職場復帰支援プログラム)に集団で取り組みます。とはいえ、長期休職中のメンタルヘルス不調者にとっては「決められた時間に決められた場所に通う」こと自体が最初の、そして最大の難関。健康な人でも休暇の後などは、朝、出勤するのがつらいものですが、特にうつ病などメンタルヘルス不調の人の朝の苦しさは想像を絶するといいます。まずはそこをクリアして、生活のリズムを立て直すところから始めなければなりません。
今後、メンタルヘルス不調社員の職場復帰支援リワーク支援)体制を充実させるために各種機関と連携してリワークプログラムの活用職場復帰支援プログラムの活用)を図る企業が増えていくと思われますが、本人も会社側も復職は長期戦リワークは長期戦)と肝に銘じ、くれぐれも効果を焦らないよう留意する必要があります。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その3)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク (復職)支援」の3回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】毎日の生活リズムを整えられるか、通勤ラッシュに耐えられるか、集団に慣れて集団の中で協働できるか、人間関係にうまく対処できるか、友人や仲間を作れるか、適切なコミュニケーションがとれるか、業務の遂行に伴うさまざまな課題に対応できるか--リワークプログラム職場復帰支援プログラム)では、こうした”負荷”にこころと体を少しずつ慣らしていくことによって、社会生活や就労へのスムーズな適応を促します。
現在「リワーク」には、公的サービスとして実施されているものと、民間の医療機関やNPO法人などが行っているものがあります。前者は、厚生労働省所轄の独立行政法人、高齢・障害者雇用支援機構に属する各都道府県の障がい者職業センターが提供しており、メンタルヘルス不調者本人とそのメンタルヘルス不調社員の復職メンタルヘルス不調社員のリワーク)を考えている事業主に対して、主治医などと連携しながらリワーク支援職場復帰支援)にあたっています。個々のリワークプログラム個々の職場復帰支援プログラム)は、本人・事業主・医師の三者の同意に基づいて開始するのが基本です。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その2)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク (復職)支援」の2回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】うつ病などのメンタルヘルス不調によって、長期休業を余儀なくされた人の場合、症状がある程度落ち着いても、勤務への根強い不安から、本格的な職場復帰までにリワークまでに)かなりの時間を要することがあります。近年は、大企業を中心に職場復帰支援リワーク支援)体制の整備が進み、例えば「ならし勤務」など正式な職場復帰の前リワークの前)にワンクッションを置く制度の導入も広がりつつありますが、それでも復職へのハードルリワークへのハードル)は周囲が考える以上に、あるいは本人が自覚する以上に高いというのが実情です。復職を焦るリワークを焦る)と急激な環境変化から、病気を再発させてしまうケースも少なくありません。自宅での療養からいきなり会社に戻ると、通勤や業務によって大きなストレスが一気にかかり、せっかく戻りつつあったメンタルヘルスを崩しやすいのです。
そこで注目されているのが「リワーク」メンタルヘルス不調者が、休職と復職休職とリワーク)の間のつまずきやすい”段差”を無理なく、着実に昇り切れるよう一種のリハビリテーション(リワークプログラム)を行うわけです。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


リワーク(復職)支援(その1)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回から「リワーク (復職)支援」というタイトルで、リワークについて詳しく触れたいと思います。
人間関係のストレス過重労働による過労などが原因でうつ病になり、休職する人が増えています。症状が落ち着くと仕事の再開を試みるものの、再び悪化して再休職になるケースも少なくないと言います。そこで、うつ病職場復帰支援リワーク支援)が注目を集めています。
「リワーク」(Re-Work)とは、ある程度まで回復した休職中のメンタルヘルス不調者を対象に、復職に向けたリワークに向けた)ウォーミングアップを行うことをいいます。ただ休養したり、いきなり職場へ戻って働きはじめるのではなく、専門の公的機関や医療機関などに通い、オフィスに似た環境で実施されるさまざまな復職支援プログラムリワークプログラム)を通じ、職場復帰に向けたリハビリリワークに向けたリハビリ)をすることで、復職後リワーク後)の再発、再休職リスクを軽減し予防するのが大きな目的です。療養生活から本格的な職場復帰本格的なリワーク)へ、無理なくスムーズに移行させるのがねらいです。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


心療内科と精神疾患(その3)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科と精神疾患」の3回目です。引き続き、心療内科について詳しく触れたいと思います。
【続き→】次に心療内科で診る主な精神疾患を御紹介します。
うつ病は、気持ちがひどく落ち込んでゆううつ何も楽しくないやる気が出ないというこころの病気です。10人に1人は一生のうちに最低1回はかかると言われる、非常に患者数の多い病気です。うつ病の診断基準には食欲が低下したり、全身がだるくなったりといった体の症状も含まれています。さらに、頭痛、腹痛などの痛みを訴えたりします。抗うつ薬での治療に加えて頭痛や腹痛に対する内科的な薬を併用すれば、より早く患者様の苦痛を軽減できます。ただし、重症のうつ病では妄想が出現したり、死にたい気持ちを抑えられず自殺を望んだりする場合があります。このような場合は精神科での治療をお願いします。
摂食障害は若い女性に多く、やせたい気持ちの異常な高まりから極端な食事制限や過剰な運動を行ない、体重を減らそうとする病気です。ひたすら食べずに我慢できる人ばかりではなくて、反動から過食に走って、後から吐き出したり下剤などの薬で排出したりすることもあります。結果として非常にやせてしまった場合を神経性食思不振症、体重は正常の場合を神経性大食症と呼んでいます。やせてしまうと命の危険もあるため、点滴や栄養剤などを用いた内科的な治療を行なって体重を回復させる必要があります。しかしやせたい気持ちは非常に強いので、体重の増える治療はとても嫌がります。そこでこころに配慮した治療が必要になってくるため、心身両面を診る心療内科の出番になります。
他にもパニック障害身体表現性障害などの体に症状の出る精神疾患を、心療内科では治療しています。
内科的な治療手段と精神に対する治療手段を組み合わせることで初めて実現できる有効な治療を行なう、それが心療内科の治療なのです。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


心療内科と精神疾患(その2)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科と精神疾患」の2回目です。引き続き、心療内科について詳しく触れたいと思います。
【続き→】心身症の定義では「精神疾患の身体症状」は除外していました。しかし世の中の多くの方は、心療内科がこころの病気を診てくれる科だというイメージをお持ちのようです。確かに心療内科でも様々な精神疾患を治療するのですが、精神科と全く同じ病気を同じように診るわけではありません。
精神疾患も種類によっては体の症状を伴うことがあり、しばしば患者様は体の症状を心配して、精神科ではなく内科の診察を受けます。例えば頭痛を訴えてやってきた患者様に頭痛薬を処方したがなかなか良くならない、よく話を聞いたら実はうつ病とわかったりします。このように心療内科では体の症状を伴う精神疾患のいくつかを、治療するのです。
しかしあくまでも精神科とは違うので、ここまでは心療内科が診る、ここから先は精神科にお願いするという境界線は引いています。その最も大きなものが
●妄想、幻覚
●自傷、他害(自分や誰かを傷つけたり命の危険にさらしたりするような行為)
の2つです。これらの症状があると行動のコントロールが難しく、時には患者様の意思に反してでも入院させる必要が生じます。そのような措置を講じることができるのは、精神保健指定医という資格を持った精神科医だけです。そこが心療内科と精神科の大きな分かれ目なのです。心療内科での入院治療はあくまでも御本人の同意を得た上で行っています(精神科も同意の上での入院が基本で、御本人の意思に反しての入院には厳しい基準があります)。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


心療内科と精神疾患(その1)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回から「心療内科と精神疾患」というタイトルで、心療内科について詳しく触れたいと思います。
心療内科について
心療内科は誤解されています
心療内科と精神科の区別がつかない方がほとんどです。全国のクリニックや病院で心療内科を標榜されている多くの先生は精神科を専門とされていることもあり、ドクターさえ区別がつきにくいので、なおさら患者様は区別しにくいと思われます。
■本来の心療内科とは
本来の心療内科では、身体疾患の中で心身症と定義される病態に対し、身体とこころを分けずに(心身一如、心身相関)診断や治療である心身医学を実践します。生活習慣病やストレス関連疾患が益々増えるなか、従来の身体の「疾患」のみを対象とした治療から「病気をもち悩み苦しむ患者様」として身体・こころ・社会・自然が密接に関与している全体的存在として扱う全人的医療を行っています。
心身症とは
心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症うつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」と定義されています。器質的とは、がんや潰瘍、炎症など現在の医学的検査で異常が認められる病気です。また、機能的というのは、過敏性腸症候群、びまん性食道けいれん、片頭痛など、器質的検査では異常を認めませんが、器官の働き(機能的)の乱れによって起こる病気のことを言います。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


メンタルヘルス対策(その21)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「メンタルヘルス対策」の21回目です。引き続き、メンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】以上、ここで指摘したのは攻めのメンタルヘルスのごく一部分であるが、社員が十分に納得できる形で人事施策の充実と浸透を図っていくことが、働く人たちに対するコンセンサス作りに大きく貢献していきます。それが、今日的なストレスメンタルヘルス不調の緩和につながり、何より、組織の活力につながっていくことでしょう。メンタルヘルス対策を考える際に、今一度、人事システムやメンタルヘルスマネジメントについての認識を、新たにしてほしいと思っています。
そこで結論。前段で示したメンタルヘルス対策が「必要条件」だとしたら、ここで示した人事制度とリンクした対応は、「十分条件」としてのメンタルヘルス対策と位置付けることができると思います。守りのメンタルヘルス対策攻めのメンタルヘルス対策という、両面のメンタルヘルス対策の充実が人事にとっては欠かせないです。最近では、「安心」と「挑戦」と表現する企業も出てきました。それは、メンタルヘルス対策だけに限らない、「人」を扱う人事としての鉄則ではないでしょうか。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


メンタルヘルス対策(その20)

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「メンタルヘルス対策」の20回目です。引き続き、メンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】だからこそ今、企業が打ち出すべきメンタルヘルス対策は、中長期的な人材育成計画(キャリア・ディベロップメント・プログラム)の確立です。それは、社員に対して未来を語れる組織であることを大いに謳うということ。現実的に、もはや全員が管理職となれる時代ではなく、5年後、10年後の自分がどのようなコースを歩み、どのような場所にいるのかについて、不安メンタルヘルス不調を感じる人が急増しています。特に、保守化傾向を見せる若手社員にメンタルヘルス不調の傾向が強いです。そういう現実があるからこそ、若いうちからそれぞれの適性、希望などに応じて将来設計を立てることができる多様なコースを用意し、自分自身で選択できるような人材計画を提示する必要があります。
さらに、人事考課の基準や内容をオープンにすることも重要です。評価結果をより明確にし、不公平のない評価を行い、それに基づいて各種の処遇を行うことも同時に必要です。昇進のポストは減少し、昇給、賞与の原資は限られている時代だけに、ストレスを過剰なものにせずメンタルヘルス不調者を出さないためには、このような対応がとても重要になってきます。
以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。