月別アーカイブ: 2019年7月

職場のメンタルヘルス(その6)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の6回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎職場のメンタルヘルスに対する行政の動き(Ⅱ)
安全衛生法とメンタルヘルス
2.労働安全衛生法の改正とメンタルヘルス指針
⇒労働者の仕事に関するストレスの増大や、メンタルヘルスに対する社会の関心の高まりを背景として、2000(平成12)年に「事業場における労働者の心の健康づくり(事業場における労働者のメンタルヘルスづくり)のための指針」(以下、旧メンタルヘルス指針)が公表されました。職場におけるメンタルヘルス対策あるべき全体像を示す旧メンタルヘルス指針は、メンタルヘルス対策の進め方の原則を包括的に述べた点で、画期的なものと言えました。
2006(平成18)年には旧メンタルヘルス指針が増補改訂され、名称も「労働者の心の健康(労働者のメンタルヘルス)の保持増進のための指針」(以下、メンタルヘルス指針)と改められました。THPと同様に、メンタルヘルス指針に沿った形メンタルヘルス対策を行うことが事業者の努力義務となり、旧メンタルヘルス指針よりも重みを増しました。職場のメンタルヘルス対策が対象とすべきメンタルヘルス問題として、メンタルヘルス不調という用語が定義されたのはメンタルヘルス指針によってです。
また、同年の安衛法の改正により、衛生委員会のメンタルヘルス調査審議事項に、「長時間にわたる労働による労働者のメンタルヘルス障害の防止を図るためのメンタルヘルス対策の樹立に関すること」と「労働者のメンタルヘルスの保持増進を図るためのメンタルヘルス対策の樹立に関すること」が追加されました。メンタルヘルス対策が事業場全体で推進されなければならないと明示されたのです。
この安衛法改正では、長時間労働者に対するメンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)によるメンタルヘルス指導も義務付けられました。いわゆる過重労働によるメンタルヘルス障害の防止を図るメンタルヘルス対策への取り組みです。1980年代以降、過重労働が特に脳・心臓疾患の発症メンタルヘルス障害に影響を及ぼすことが、「過労死」という表現と共に社会の関心を集めるようになっていました。1990年代に入ると、「過労自殺」という語も生まれ、社会に定着していきました。このメンタルヘルス指導は、脳・心臓疾患のリスクに加えて、メンタルヘルス面に関する評価も含んでおり、そのメンタルヘルス指導結果によっては、メンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)の受診勧奨や就業上の配慮が行われなければならないです。過重労働に対しては、2002(平成14)年に「過重労働によるメンタルヘルス障害防止のための総合メンタルヘルス対策」が公表されていたが、これも2006(平成18)年の安衛法改正に合わせて改正されました。
3.ストレスチェック制度
⇒2015(平成27)年12月には、「労働者の心理的ストレスの程度を把握するためのメンタルヘルス検査(ストレスチェック)の制度が施行となりました。ストレスチェック制度の第一義的な目的は、メンタルヘルス不調の一次予防(「セルフメンタルヘルスケア」や「ラインによるメンタルヘルスケア」)であり、ストレスチェックによって高ストレスと判定され、希望したメンタルヘルス不調者に対するメンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)によるメンタルヘルス指導が事業者に義務化されるとともに、ストレスチェックの結果を集団分析し、ストレスチェック結果を基に職場環境の改善を図る職場のメンタルヘルス対策への取り組みも努力義務となりました。ストレスチェック制度が意義のあるものになるためには、メンタルヘルス対策全体の中でストレスチェック制度をどのように位置付け、他のメンタルヘルス活動とどのように関連させていくかを十分に検討することが必要でしょう。
THP指針から現在までの職場のメンタルヘルスに対する行政の動向を、メンタルヘルス不調の予防レベルメンタルヘルス指針での対象別に図1に整理しました。
◇図1 職場のメンタルヘルスに関する行政の主な動向
『■職場のメンタルヘルス対策(一次予防)メンタルヘルス疾患の発症を予防するためのメンタルヘルス対策
ーー快適職場指針、職場でのストレスチェック制度、THP指針
職場のメンタルヘルス対策(二次予防)メンタルヘルス疾患の早期発見からメンタルヘルス疾患への早期介入へ
ーー長時間労働に対するメンタルヘルス指導措置
職場のメンタルヘルス対策(三次予防)メンタルヘルス疾患の再発予防
ーー復職支援手引きリワーク手引き)=「心の健康問題により休業(メンタルヘルス不調により休業)した労働者の職場復帰支援の手引きリワーク支援の手引き)」「復職支援ガイドラインリワークガイドライン)」』
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。 


火・木曜日担当医の葛原です。

最近、ステンレスボトルを愛用しています。軽くて、パカっと蓋が開いて、コップなしで飲めるので、とても便利です。まめに水分補給して、脱水症に注意して下さい。
ようやく梅雨が明けて連日暑い日が続いてますが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか?ただし、相変わらず職場での人間関係に馴染めず、精神的ストレスにより、夜眠れなく中途覚醒早朝覚醒したり、朝がきても熟眠障害疲れがとれなくて起床できず、日内変動など朝のメンタルヘルス不調は続いてませんか?不眠症による生活リズムの乱れ昼夜逆転し、毎朝会社へ出勤するのが億劫で、最近遅刻や欠勤・早退など勤怠の乱れが増えてませんか?何とか会社へ出勤できても、朝のメンタルヘルス不調により、気分の憂うつ落ち込み・集中力の低下で、仕事がはかどらずにミスをくり返すなど、仕事のパフォーマンスや業務遂行能力の低下は認められませんか?また、梅雨明けの急激な気温上昇や天候不良の影響で、頭痛めまい動悸倦怠感など自律神経失調症食欲不振による体調不良はないですか?夕方以降も漠然とした不安や焦り・イライラなどメンタルヘルス症状が続いてませんか?休日、ストレス発散や気分転換したり、セルフメンタルヘルスケアしてもメンタルヘルス状態が回復せず、更なるメンタルヘルス不調の悪化が続く場合、うつ病などメンタルヘルス疾患の可能性もあるため、注意が必要です。メンタルヘルス疾患の早期発見・早期治療や、メンタルヘルス不調で会社を休業・休職する前に、メンタルヘルス全般についてご相談のある方は、是非一度、豊中市 千里中央心療内科メンタルヘルス科)「杉浦こころのクリニック」へ早期の受診をお勧めいたします。


職場のメンタルヘルス(その5)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の5回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎職場のメンタルヘルスに対する行政の動き(Ⅰ)
安全衛生法とメンタルヘルス
1.THPと快適職場づくり
労働者のメンタルヘルス管理に関して事業者が行わなければならない取り組みは、主として労働安全衛生法(以下、安衛法)によって規定されています。安衛法に初めてメンタルヘルスに関する事項が明確に記されたのは、1988(昭和63)年でした。労働者のメンタルヘルスの保持増進対策が事業者の努力義務と位置付けられ、労働者のメンタルヘルス保持増進対策の具体的な内容について「事業場における労働者のメンタルヘルス保持増進のための指針」が示されました。トータル・ヘルスプロモーション・プラン(THP)と呼称の付けられた、労働者のメンタルヘルス保持増進への取り組みは、メンタルヘルス測定に続いて、保健指導、運動指導、栄養指導、メンタルヘルスケアなどを行うものです。
メンタルヘルスケアの内容は、主として個別のメンタルヘルス相談であり、疾病性の認められない労働者に対し、ストレスへの気付きとストレス対処メンタルヘルス支援などを行うことを狙いとしました。産業医などのメンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)はメンタルヘルス測定を担当し、メンタルヘルス相談は、心理職や保健師などで所定のメンタルヘルス専門研修を修了したメンタルヘルス専門スタッフによって行われます。メンタルヘルス相談の結果(要点)は産業医などメンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)に報告され、職場のメンタルヘルス状況によって産業医などメンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)が職場(上司、人事労務担当者など)と連携することで、職場のメンタルヘルス問題の解決を図ることとされました。THP指針は1997(平成9)年および2007(平成19)年に改正され、事業場のメンタルヘルス状況に応じて、4種のメンタルヘルス指導の一部を実施することも可能とされています。
1992(平成4)年には、「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(快適職場指針)が公表されました。労働災害メンタルヘルス障害をもたらさないだけではなく、労働者が快適に仕事をできるメンタルヘルス水準の職場環境の実現を事業者に求めた内容です。主として物理化学的因子が取り上げられたが、メンタルヘルスに関連が強い事項としては、労働者の疲労ストレスを軽減するための休憩室、メンタルヘルス相談に応じることのできるメンタルヘルス相談室等の確保が盛り込まれました。
以上2つは、労働者のメンタルヘルス不調の一次予防(「セルフメンタルヘルスケア」や「ラインによるメンタルヘルスケア」)を狙いとするものであり、1990(平成2)年前後に労働者のメンタルヘルス障害の未然防止が、メンタルヘルス不調者など労働者個人への働き掛けと職場環境への働き掛けの両輪の形で示されたことになります。
その後、バブル崩壊により景気は長期にわたり低迷しました。多くの企業で組織の再編や事業の見直しといった大きな変革がなされました。上述した労働者のメンタルヘルスの保持増進に向けた施策は安定した企業活動を基盤としたものであったため、労働者のメンタルヘルス保持増進に向けた取り組みを縮小したり中断したりする事業場が数を増しました。行政もメンタルヘルスに関して大きな動きを見せなかったです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


臨床心理士の吉田です。

梅雨明けとともに、蒸し暑さがやってきました。この暑さに慣れるにはあと1週間ほどかかりそうです。
先週末、テレビでディズニ-のライオンキングが放送されていました。大人になってから久しぶりに観ましたが、改めて感動しました。名作はいつまで経っても心に響くものです。
4月より、カウンセリングおよび検査の受付が月曜日から土曜日(水曜・土曜は午前のみ)に拡大しました。
千里中央杉浦こころのクリニックでは、カウンセリング・心理検査でお話をお聴きすることができます。お気軽にご相談ください。


職場のメンタルヘルス(その4)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の4回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎職場のメンタルヘルスをめぐる最近の動向(Ⅳ)
●職業性ストレスうつ病などメンタルヘルス疾患の関連
職場のメンタルヘルスにおいては、職業性ストレスとの関係がクローズアップされることが多いです。現在、職業性ストレスのモデルとして、仕事の要求度(仕事の量的負荷やノルマ、役割ストレスなど)とコントロール(仕事を進めていくうえでの決定権や裁量の余地、仕事上の技能の水準など)の2軸で説明しようとする「仕事要求度-コントロールモデル(job demands-control model)」と、これに社会的支援(上司や同僚からの支援)を加えた「要求度-コントロール-社会的支援モデル(demand-control-support model)」が多く用いられています。仕事の要求度については抑うつ状態などメンタルヘルス不調との間に有意な関連があるとする報告が数多くあり、大うつ病などメンタルヘルス疾患についてもいくつかの横断的研究で仕事上のストレスとの有意な関連性が示されています。しかしながら、さまざまな交絡要因を調整したより詳細なデザインに基づく縦断研究では、労働でのストレス新たな大うつ病などメンタルヘルス疾患の発症との因果関係について否定的な結果も報告されています。仕事のコントロールの低さが抑うつ症状と関連することは数多く報告されているが、これも大うつ病などメンタルヘルス疾患発症との関連については否定的な結果のみ報告されています。一般的に、仕事の要求度が高くコントロールが低いことと抑うつ状態などメンタルヘルス不調とは有意に関連するといわれているが、これらの要因と大うつ病などメンタルヘルス疾患との関係性についてははっきりとした結論が出されているわけではないです。職場における社会的支援についても、抑うつ状態などメンタルヘルス不調との有意な関連については多く示されているが、大うつ病などメンタルヘルス疾患発症との関連を調べた先行研究はないです。
その他、自身の努力感と報酬(経済的、心理的報酬など)との不均衡に焦点を当てたモデルや、人間関係や職場不適応感に焦点を当てて抑うつとの関係を論じた研究報告もあるが、その多くは自記式質問票を用いた横断研究であり、直接大うつ病などメンタルヘルス疾患との関係をみた研究ではないことに注意しなければならないです。
そもそもうつ病などメンタルヘルス疾患の原因は、いまだ完全に解明されているわけではなく、職業性ストレスについても、それが職場うつ病などメンタルヘルス疾患の発症に影響を与える過程については今後より多くの研究結果を待たなければならない状況にあります。したがって、職場うつ病などメンタルヘルス疾患の予防においても、ストレス対策過重労働対策による「セルフメンタルヘルスケア」や「ラインによるメンタルヘルスケア」などを中心とした一次予防だけでなく、「事業場内産業保健スタッフ等によるメンタルヘルスケア」など二次予防、「事業場外資源によるメンタルヘルスケア」など三次予防についても積極的なメンタルヘルスケア対策を立てていくことが重要です。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その3)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の3回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎職場のメンタルヘルスをめぐる最近の動向(Ⅲ)
メンタルヘルスに関する行政の動向
⇒職場で産業保健活動を行う根拠として労働安全衛生法があります。1988(昭和63)年の改正では、「事業者は労働者に対するメンタルヘルス教育およびメンタルヘルス相談その他労働者のメンタルヘルス保持増進をはかるために必要な措置を講ずる努力義務がある」とされ、身体疾患だけでなく、メンタルヘルス活動も含めた心身両面でのメンタルヘルス予防活動を行うことが明示されました。また、同年には「事業所における労働者のメンタルヘルス保持増進のための指針」の公示、および、“心と体の健康づくり運動”をスローガンとしたTHP(Total Health Promotion Plan)の推進が示されました。さらに、1996(平成8)年の労働安全衛生法の改正では、労働の態様の変化に伴う労働者のストレスの増加および過労死の社会問題化に対応するため、産業医の勧告、メンタルヘルス診断後の措置保健指導などメンタルヘルス活動にも深く関連するメンタルヘルス施策についてよりメンタルヘルスの充実を図ることが求められました。2000(平成12)年8月には、労働省(現厚生労働省)から、「事業場における労働者の心の健康(事業場における労働者のメンタルヘルス)づくりのための指針」が公表されたが、その後もメンタルヘルス障害等に係る労災補償の請求件数、認定件数の増加に歯止めがきかないことから2006(平成18)年3月に上記指針の見直しが行われ、新たに「労働者の心の健康の保持増進(労働者のメンタルヘルスの保持増進)のための指針」が策定されました。
新しい指針では、事業者は事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進するため、「心の健康づくり計画(メンタルヘルスづくり計画)」を策定するとともに、職場のメンタルヘルス関係者に対するメンタルヘルスケア教育研修・職場のメンタルヘルスケア情報提供を行い、「セルフメンタルヘルスケア」「ラインによるメンタルヘルスケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるメンタルヘルスケア」「事業場外資源によるメンタルヘルスケア」の4つのメンタルヘルスケアを効果的に推進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰支援が円滑に行われるリワーク支援が円滑に行われる)よう求めています。また、メンタルヘルスケアの推進にあたっては、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に即したメンタルヘルスケアへの取り組みを行うことが必要であり、「心の健康づくり計画」の策定(「メンタルヘルスづくり計画」の策定)のほか、メンタルヘルスケア実施体制の整備や個人情報の保護に関する規程等の策定にあたっては、衛生委員会等において十分調査審議を行うことが必要とされています。その他、職場でのメンタルヘルスケアにおいては、心の健康問題の特性(メンタルヘルス不調の特性)、個人のメンタルヘルス情報の保護への配慮、人事労務管理との関係、家庭生活等の職場以外のメンタルヘルス問題等との関係に留意する必要があることも強調されています。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


職場のメンタルヘルス(その2)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の2回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎職場のメンタルヘルスをめぐる最近の動向(Ⅱ)
●労働者の自殺の増加
⇒わが国では、1998(平成10)年以降、年間の自殺者が3万人を超える状況が続いていたが、企業においても中高年を中心とした労働者の自殺の増加が大きな問題となっています。これに伴い最近では「過労自殺」など従業員の自殺やメンタルヘルス障害の発生労働災害として認定されるケースも急増しています。メンタルヘルス障害等の労災補償状況の推移をみると1983(昭和58)年から1997(平成9)年度までの15年間でわずか11件だった労災認定件数がここ数年間で急速に増加している様子がわかります。労災認定されたケースの半数以上は、うつ病などメンタルヘルス疾患が占めています。1999(平成11)年に自殺も労災の対象とするとした新しい労災認定指針が示されて以降、自殺が労災と認定されるケースも増加しています。
これまで自殺については、故意に基づくものであり業務上の災害とはみなされない傾向が続いていたが、新しい労災認定指針においては「難治性うつ病重度ストレス反応等のメンタルヘルス障害では、病態として自殺念慮が出現する蓋然性が高いとされていることから、業務による心理的ストレスによって難治性うつ病などメンタルヘルス障害が発病したと認められるメンタルヘルス不調者が自殺を図った場合には、メンタルヘルス障害によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺を思いとどまるメンタルヘルス的な抑制力が著しく阻害されているメンタルヘルス状態で自殺したものと推定し、業務起因性を認めることとする」としています。
さらに最近は、労災だけでなく企業の安全(健康)配慮義務違反を問う民事訴訟の数も急増しています。これについては2000(平成12)年3月の最高裁判決(電通事件)が企業に与えた影響が大きいです。この裁判は、長時間の残業等によってうつ病などメンタルヘルス疾患に罹患し自殺に至ったと考えられるケースにおける会社責任について判断を示したものです。判決では、企業は業務に伴う疲労心理的ストレスによって労働者のメンタルヘルスが損なわれないよう注意する義務(=安全(健康)配慮義務)を負っているが、業務による疲労が誘因となって職場うつ病などメンタルヘルス疾患に罹患し自殺するに至った本事例において、企業は何ら具体的な注意や措置を講じなかったとして企業側の全面的な過失を認めています。またメンタルヘルス不調者本人の生真面目な性格や業務以外のストレスなどメンタルヘルス不調者側の要因メンタルヘルス不調者自身によるメンタルヘルス管理の責任(=自己保健義務)による過失相殺は一切認めることはできないとの判断を示しました。
こういった動きを受け、企業においては、自殺の大きな原因となる職場うつ病などメンタルヘルス疾患への対策が急務の課題として取り上げられるようになっています。最近の研究では、うつ病およびうつ状態などメンタルヘルス不調労働者のメンタルヘルス疾患の47.2%を占め、長期休業者の約7割(70.8%)がうつと診断されたメンタルヘルス不調者であることが示されており、企業におけるメンタルヘルス活動は、労働者のためのメンタルヘルス管理に加えて、企業のリスクマネジメントも含めたメンタルヘルス活動へとメンタルヘルス活動の目的も広がりつつあります。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


臨床心理士の吉田です。

ニュースによると、来週には梅雨が明ける見込みだそうです。お祭りや花火大会のシーズンに入りますね。昨年、仕事終わりに歩いていると、淀川花火大会の花火がビルの間からたまたま見え、得をした気分になりました。ちょっとしたことでも楽しみながら、夏を乗り越えたいと思います。
4月より、カウンセリングおよび検査の受付が月曜日から土曜日(水曜・土曜は午前のみ)に拡大しました。
千里中央杉浦こころのクリニックでは、カウンセリング・心理検査でお話をお聴きすることができます。お気軽にご相談ください。


職場のメンタルヘルス(その1)

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回から「職場のメンタルヘルス」というタイトルで、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
職場のメンタルヘルスをめぐる最近の動向(Ⅰ)
●労働環境の変化と増加する労働者のストレス
⇒経済のグローバリゼーションが進展するなか、企業は競争力強化のために幾度ものリストラクチャリングを繰り返し、生産やサービスの効率化を図ってきました。その結果、労働の集約化と高密度化が進展し、職場におけるゆとりの部分はどんどん削られ、過重労働の問題も深刻化しています。また終身雇用制度の終焉と成果主義の導入により、安定的な経済的報酬だけでなく、これまで日本人労働者のワークモチベーションを根底で支えてきたキャリア的報酬や心理的報酬も得にくい状況になり、組織と労働者の関係および職場の人間関係において、さまざまな葛藤が生じやすい状況となっています。
こういった労働環境をめぐる急激な変化に伴い、労働者が感じるストレス疲労も増加しています。厚生労働省が5年ごとに行っている労働者健康状況調査によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は約62%(男性63.8%、女性57.7%)に達しています。不安や悩みストレスの内容としては、職場の人間関係(35.1%)、仕事の量の問題(32.3%)、仕事の質の問題(30.4%)、会社の将来性(29.1%)の順となっています。男女別にみると、職場の人間関係の問題は男性(30.0%)より女性(44.4%)が高く、会社の将来性の問題は男性(34.2%)が女性(19.9%)より高くなっています。
普段の仕事による心身の疲労についても、「とても疲れる」とする労働者の割合は14.1%、「やや疲れる」58.2%であり、これらをあわせると労働者の72.3%が普段の仕事において疲れを感じていると答えています。男女別の割合をみると、男性(70.1%)より女性(75.7%)のほうがやや高くなっています。また、年齢階級別にみると、男性では40~49歳(77.1%)で、女性では30~39歳(78.0%)で、それぞれ最も高くなっています。
仕事のなかでストレス疲労を感じるのはある面仕方がないことではあるが、これらの調査結果は、現在の労働環境は健全なレベルをやや逸脱した状況であることを示しているのかもしれないです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。


火・木曜日担当医の葛原です。

全米バスケットリーグのNBAにドラフト指名された八村塁の活躍が楽しみ。1位指名された、ザイオン ウィリアムソンのビデオを見たけど、129kgの体重で120cm近くのジャンプ力は桁外れ!今まで、マイケル ジョーダンぐらいしか知らなかったが、NBAの開幕が待ち遠しいです。
今年の夏は例年に比べて涼しいですが、皆様には特にお変わりないでしょうか?相変わらず職場での人間関係に馴染めず、精神的ストレスにより、夜眠れず中途覚醒早朝覚醒したり、朝がきても熟眠障害疲れがとれなくて起床できず、日内変動など朝のメンタルヘルス不調は続いてませんか?不眠症による生活リズムの乱れ昼夜逆転し、会社へ出勤するのが億劫で、最近遅刻や欠勤・早退など勤怠の乱れが増えてませんか?何とか会社へ出勤できても、朝のメンタルヘルス不調により、気分の憂うつ落ち込み・集中力の低下で、仕事がはかどらずにミスをくり返すなど、仕事のパフォーマンスや業務遂行能力の低下は認められませんか?また、日中の急激な気温上昇や梅雨時の天候不良で、頭痛めまい動悸倦怠感など自律神経失調症食欲不振による体調不良はないですか?夕方以降も漠然とした不安や焦り・イライラなどメンタルヘルス症状が続いてませんか?休日、TVで全米バスケットリーグNBAの試合観戦や気分転換したり、ストレス発散セルフメンタルヘルスケアしてもメンタルヘルス状態が回復せず、更にメンタルヘルス不調の悪化が続く場合、うつ病などメンタルヘルス疾患の可能性もあるため、注意が必要です。メンタルヘルス疾患の早期発見・早期治療や、メンタルヘルス不調で会社を休業・休職する前に、メンタルヘルス全般についてご相談のある方は、是非一度、豊中市 千里中央心療内科メンタルヘルス科)「杉浦こころのクリニック」へ早めにお問い合わせ下さい。