今回のテーマは
「逆流性食道炎を悪くさせる生活習慣」について解説を行います。
逆流性食道炎
●逆流性食道炎とは
逆流性食道炎は、胃の中にある胃酸や食べ物、腸液(胆汁)などが食道に逆流して、食道に炎症を起こす病気です。 胸焼けや呑酸症状(酸っぱいものが上がってくる)、みぞおちの痛みなどの症状に加えて、内視鏡検査(胃カメラ)で食道粘膜を観察すると赤くただれたり、白く濁ったような色を呈していることで診断がつきます。
内視鏡的に粘膜に異常がなくても、胸やけや呑酸症状がでることはあり、非びらん性胃食道逆流症(NERD)と言われます。
通常、食道と胃は横隔膜という筋肉で締まっており、食べ物が食道から胃に流れるときに緩みます。食後胃のなかで胃酸で消化を行なっている間は、胃の内容物の逆流を防止する下部食道括約筋が境目を締めています。また食道に胃の内容物が逆流してきても、すぐに胃に戻すように食道は蠕動を起こします。
ただ 患者さんの中には食道と胃の境目に当たる横隔膜のスペース(食道裂孔)に胃の一部が食道側(胸部)飛びでていることがあります。この状態を食道裂孔ヘルニアと言います。そうなると食道と胃の境目が緩く締まりにくくなります。(括約筋の圧が減っている)
そのような状態で、胃に圧が加わると、胃内容物(食べ物や胃酸など)が逆流しやすくなるのです。
現、日本人の10~20%で、この胃食道逆流が認めているとされています。
●逆流性食道炎を悪くする生活習慣
逆流性食道炎を悪くさせる生活習慣は、ずばり胃やおなかに”圧”を加えるようなことをすることです。圧が加わると、胃から食道に逆流が起こりやすくなります。代表的なものに以下のようなことがあります。
①食べ過ぎる 早食い
②食べてすぐに横になる(寝る)
③前かがみの姿勢
④便秘
⑤肥満
⑥タバコ
では それぞれについて解説を行います。
①食べすぎ、早食い
食べすぎはもちろんいけません。胃の膨らみは個人差がありますが、いずれにしても限界があります。また消化が出来るまで(通常2~3時間)は胃の中に食べ物が残りますので、食べすぎると食道に逆流します。腹8分で納めておくことが大切です。
特に脂肪分は消化に時間がかかるため、注意が必要です。(一番消化しやすいのはたんぱく質です)
また早食いは、食べ物とともに空気を飲む混んでしまうことがあり、お腹の張りや逆流につながります。また満腹中枢が働く前に(通常、食事して20分ほどで満腹中枢が働くとされています)食べ過ぎてしまいます。
② 食べてすぐ横になる
食べ物は、口で咀嚼された後、速やかに胃内に流れます。そこで胃酸と混ぜ合わさって消化を行います。通常2~3時間かけて食べたものがある程度消化されると、十二指腸(小腸)に流れます。その2~3時間の間で横になると、胃にたまった未消化の食べ物が胃酸とともに食道に戻ることがあります。食後2~3時間は横にならないように、晩御飯は早めに済ませるようにしましょう。
例えば23時に寝る場合は、20時までに食事を済ませてしまうのが理想的です。また食材によっても消化のスピードは異なります。通常2~3時間で消化されると書きましたが、特に脂肪分は消化に時間がかかり、5~6時間かかるとされています。他にも注意することは「炭水化物は意外と消化に時間がかかる」ということです。よく胃もたれや消化不要だからと、おかゆはうどんを摂取される方がいますが、意外と消化に時間がかかります。(だからこそ「腹もちがいい」と言われるのですが)
消化しやすい順番にタンパク質>炭水化物>脂質となります。ちなみに胃酸は蛋白分解する消化酵素です。唾液には炭水化物を消化するアミラーゼを含んでおり、時間をかけて唾液を分泌させることが消化を助けることにつながります。
また夕食にビールなどの発砲する飲料を飲むと、胃が膨らむため逆流を起こしやすくなります。また飲酒後の嘔吐は、食道と胃の境目の圧を減らす要因になることも分かっています。
また寝る体勢ですが、逆流性食道炎の症状が強い時には枕を高くしたり、上半身を少し(10~15㎝程度)上げることで逆流を軽くすることができます。(ただし上げすぎると睡眠がしにくくなるので注意が必要です)
また右向きより左向きのほうがいいと言われています。左向きだと食道と胃の境目をしめて、右向きは境目を緩ませるからです。ただ、通常睡眠時は10回以上寝返りを打つため、あまり意識する必要はないと考えます。可能であれば左向きで休むようにしましょう。
③ 前かがみの姿勢
前かがみの姿勢は、腹部(胃や腸)を常に圧迫している状態になります。食べ物は下に流れにくくなります。長時間のデスクワークや、年を取って腰が曲がって前かがみになると逆流性食道炎をきたしやすくなります。30分ごとに休憩をして背伸びをすることや、出来るだけ背筋を伸ばし姿勢を正しくすることが重要です。
また前かがみの状態で重いものを持とうと腹圧をかけると、容易に胃酸が戻ることがありますので注意が必要です。
④便秘
便秘は大腸に便やガスが溜まったままの状態ですので、腹圧がかかっており食べ物は下に流れにくくなります。すると逆流性食道炎が起こりやすくなります。
便秘を避けるためには、食物繊維や発酵食品をしっかりとることが大切です。また食事をとると胃腸反射が働いて腸が動くようになるので便秘改善につながります。くれぐれも食事制限によるダイエットは避けておきましょう。
お腹のガス溜まりが目立つ人は、動物性タンパクや脂肪分を控える必要があります。また甘いもの(糖質)もガス発酵させるかもしれないという説もあり、摂りすぎには注意が必要です。(健康な人でも、1日1Lのガスが溜まるとされています。しかしお腹のガスについてはまだ不明点も多く、解明されていません)
食物繊維は、善玉菌のエサになると考えられており、また便を形作ります。便が出ると一緒にガスも出ますし、腸内の異常発酵を抑えることにつながります。
⑤肥満
肥満も常に腹圧をかけている状態となるので、逆流性食道炎を増悪させます。
肥満の方は食べすぎがほとんどの原因であり、全体の食事量を減らすことが重要です。 余分なカロリーは脂肪として貯蔵されるため、炭水化物を含めて全体の食事量は控えめにしましょう。 そして食物繊維を取ることが大事です。 食物繊維は便を形成し便秘の改善につながりますし、余分な糖質や脂質を出すとされています。
食事に加えて運動をすることも大事です。運動の注意点は激しいトレーニングは行わず、ジョギングなど軽めの運動から始めることです。実はランニングをすると胃酸が食道に戻ってくることが分かっています。いきなり激しい運動をするのではなく、1日15~30分程度の歩行から始めてみましょう。(ただし運動単独での減量効果はエビデンスがなく、あくまで食事療法をした上で運動することをお勧めします)
腹圧をかけるという意味では、帯やコルセットなどお腹を強く圧迫させる服装にも注意が必要です。常にお腹を押さえている状態となるため、逆流性食道炎には良くありません。
⑥ タバコ
タバコは食道と胃の境目の圧を減らすことが分かっています。
逆流性食道炎の症状があるときは控えておきましょう。タバコは逆流性食道炎だけでなく、肺がんや食道がんなど色々な病気の危険因子となります。できれば禁煙を行いましょう。
以上、逆流性食道炎を増悪させる因子でした。
皆さんには当てはまるものがなかったでしょうか?様々な原因で逆流性食道炎は悪くなりますので、思い当たるものがあれば1つずつ解消していきましょう。
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