急変”前”徴候

210508

5月1日、「21世紀適々斎塾」という開業医の先生方が主宰する医師・医学生向けセミナ―をオンラインで受けました。

今回は特別セミナーで札幌医大総合診療学講座の佐藤健太先生の「慢性臓器障害の診かた、考え方」でした。

慢性臓器障害とは日本のCommon disease(ありふれた病気)で主要な6大臓器障害の総称」で、心臓・肺・肝臓・腎臓に年齢の影響が大きい脳と運動器障害を加えた6つを含みます。従来の臓器別の縦割りでなく、6つの臓器障害を横並びで見るという新しい視点を主張されました。

もちろんこのセミナーの主旨に共感するところは大きかったのですが、あえて今回の学びは「急変前徴候」とします。

心筋梗塞など突然起こる心血管系の病気や、肺炎などの感染症の症状や所見が完成する前に漠然とした体調変化が起こるということです。

私の経験でも、患者さんの状態が急に悪くなる前にむしろ元気が出てきたように見えたり、病気としては説明のつかない症状が現れることがありました。

多くは後から振り返って「あれは前兆だったのか?」と思うのですが、可能ならばその前兆の時に悪化しないように対処したい。

急変前徴候は以下の3つです。

①     痛みから起こる自律神経症状:吐き気、腹部違和感、便秘、軟便、脂汗、手足の冷感など

②     冬眠様行動:感染症の前に、体の活動が低下して寝たきりがちになる、デイサービス・食事拒否など

③     せん妄:わけのわからないことを言う。高活動型(興奮・妄想・徘徊など)と低活動型(眠りがち、反応が乏しくなる)がある。

これらが重い病気が起こる数時間から数日前にみられるということです。

こういった徴候があったら必ず重大な急変が起こるという訳ではないのが難しいところですが、「今までになかった変な症状」が出てきたら要注意です。






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