カテゴリー別アーカイブ: 日記

鬼の舞

 

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お盆休み最終日の8月16日に九度山町の椎出(しいで)地区にある椎出厳嶋神社の「鬼の舞」という神事を見に行って来ました。毎年8月16日に行われ、コロナ禍のため今年は3年ぶりの開催だそうです。

最寄りの南海高野線高野下駅構内の案内板に書かれている内容を見ると、この神事は南北朝時代に後醍醐天皇の従者が住み着いて伝えたとされています。神事に参加する十人衆は半月前から水垢離(みずごり)をして備え、当日は紀ノ川で身を清め、それぞれが白い石を3個拾って神前に供えます。クライマックスでは棒を持った赤い髪の鬼が境内で悪疫払い、五穀豊穣、雨乞いを祈願するために踊ります。さらに見に来ている子供を怖がらせて泣かせます。よく泣いた子は元気に育つと言われています。

山里の小さな神事ですが、小太鼓の音が響き、何百年も綿々と続けられていることを思うと何とも神秘的な感じでした。鬼の踊りもちゃんと決まった振り付けがあるようで、見ごたえがありました。

 


最近は時々、和歌山の九度山町に撮影に訪れています。

この町の慈尊院というお寺に隣接して紀州髙野紙伝承体験資料館「紙遊苑」という施設があり、初めて紙漉きをしてみました。

弘法大師空海はがこの地に手漉き和紙の技術を伝えたそうですが、紀州高野紙(古沢紙)と呼ばれ、西洋紙が使われるようになるまで盛んに生産されたそうです。

西洋紙と違って木の繊維の絡みだけで維持されているため丈夫で長持ち(千年持つという説明でした!)するらしいです。

楮(こうぞ)という木の皮を剝いで線維成分を抽出し、トロミ成分を加えてドロドロにし、専用の木枠に入れて漉く、という作業ですが、全行程はすごく手間が掛かります。今回は体験コースだったので漉く工程だけで、全体の50分の1位ですよと担当の方に言われました。

出来上がったのを乾燥後、郵送してもらいました。なにしろ初めてなので紙というより画用紙のような厚みになっていましたが、さてここに何を書こうか思案中です。

楮の木です。

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線維がトロミ状になった状態。これを専用の木枠ですくい上げます。

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水を切る。

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板に貼って乾燥させます。

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届いた紙。

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画廊デビュー

 

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先日、銀座の柳画廊さんに伺いました。

そもそも「画廊」というところに足を踏み入れたのは恐らく人生で初めてだと思いますが、それも銀座で!

この画廊のオーナー野呂好彦さんとは20年以上前にある会合で一度だけお会いし、年賀状のやり取りだけをしていましたが、今回近くで医学関連のセミナーがあったため立ち寄らせて頂きました。

ちょうど岡野 博 さんという画家の展示会が開催されていて、ご本人も来られていたので一緒に撮ってもらったのか上の写真です。何をしゃべっていいのかわからずあまりお話しできませんでしたが、画集を買ったので家で時々眺めています。絵は一見するとファンタジーのような印象をうけましたが、どこかで味わったことのある感情を思い起こされるような深みがありました。

値段が値段だけに簡単に「あ、これ買います」という訳にはいきませんが、こういうところでじっくり絵を見るのも良いもんだなと思いました。


なっふるど?

5月19日に大阪府医師会 学術講演会「高齢者の非アルコール性脂肪性肝疾患診療を考える」(大阪医科薬科大学病院肝疾患センター長 福西新弥先生)をWebで聴講しました。

C型肝炎ウイルスが内服薬でかなり治せるようになりましたが、今度はアルコールが原因でない脂肪肝が問題になってきました。これは「非アルコール性脂肪性肝疾患」、英語の略でNAFLD(ナッフルドまたはナッフルディー)と呼ばれています。講演で参考になった事項は、

・NAFLDの診療ではとにかく肝臓の線維化の有無を見ることが大切。血小板数とFIB-4値(年齢、血小板数、肝機能検査から計算)に注目する。

・脳、心血管疾患になる人が多い。

・治療はまずカロリー制限。運動も有効。

・体重5%減少でQOLの改善、7%減少で脂肪化改善の報告がある。

・薬剤はSGLT-2阻害剤が注目されている。肝機能数値の低下、脂肪変性改善も報告されている。

・GLP-1受容体作動薬も効果がある。

・ペマフィブラート(高脂血症の薬)も有効である。 肝機能数値、FIB-4値改善効果もある。高齢者でも使える。

・高齢者の糖御尿病合併NAFLDではSGLT-2阻害剤、GLP-1受容体作動薬を考慮すべきである。


太るメカニズム

4月21日に耳原総合病院webメディカルカンファレンス 「太るメカニズムを知る~癌/循環器病/肥満 治療および予防のための臨床栄養学への招待~」(耳原総合病院 肝胆膵外科部長 吉川健治先生 )を聴講しました。

主旨は「太る原因は慢性的高インスリン血症である」ということでした。インスリンはもちろん、血糖を下げるホルモンですが、脂肪・タンパク合成作用もあり、多すぎれば肥満の原因になります。

インスリンを上げないようにするには食物繊維を多くとることが必要で、2017年のニュージーランドの研究では、カロリー制限をしなくても加工されていない植物性食品をとるよう指導することで体重減少し、リバウンドもしなかったという結果が紹介されました。

また食物繊維はがんの発症、再発を抑制効果も報告されており、大腸癌・乳がん・前立腺癌・卵巣がんの治療後に食物繊維を多く摂ると再発が2,3割低下した、というデータもあるそうです。

食物繊維恐るべし!

 


タンパク質欲求

 

220331本「食欲」

「どんな食事が最も健康に良いのか?」は常に気になっているテーマです。

書店で偶然手にしたこの本「科学者たちが語る食欲」はシドニー大学の栄養学者と昆虫生物学者の著書の日本語版で、とても読みごたえがありました。

序章で南アフリカに住む一頭のヒヒの食事を30日間記録した研究の話が出てきます。

このヒヒはその間90種類の食物を食べましたが、驚くべきことに、食事中のタンパク質/脂肪・炭水化物比は常に1:5に保たれていました。

野生の生物は手に入るものを適当に食べているように見えて、実はタンパク摂取比率が一定に保たれるように自然に食べているというのです。著者らはこの現象を粘菌、昆虫、ラット、サルで確認しています。

「あらゆる生物はタンパク質必要量を摂取するまで食べる」、「タンパク質欲が他の栄養素の過剰/過少摂取を規定する」ということで、ヒトの場合はタンパク質の適正量は総カロリーの約15%らしいです。

そのため現代の高糖質・高脂肪・低タンパクの超加工食品の多い食事だとタンパク質欲求を満たすため食べ過ぎて全体のカロリーが増えて肥満になり、逆に高タンパク食で体重が減るのはただ総摂取カロリーが減るからだけだ、というのか著者の考えです。

またタンパク質の摂りすぎの害もあり、マウスの実験では低タンパク/高炭水化物で長寿に、逆に比較的高タンパク/低炭水化物で繁殖が良くなることが書かれています。

確かに我々の普段の食事でも肉か魚がないと何となく食べた気になりません。この「タンパク質欲求」という視点で食事を考えてみたいと思います。

この本の原題は「Eat Like The Animals (動物のように食べろ)」でした。


臨床栄養研究会

2月19日に第30回南大阪臨床栄養研究会(製薬メーカー共催)という講演会を聴講してきました。

久々にWebでなくリアルの講演会で何だか新鮮な気分でした。

演題は「糖尿病治療の進歩とGLP-1受容体作動薬」、演者は順天堂大学代謝内分泌内科学教授の綿田裕孝先生でした。

特に印象に残ったお話しは、

・糖尿病食品交換表の総エネルギー摂取量の設定は標準体重xエネルギー係数。標準体重はBMI22を基準としているが、これは過去の健診データが基礎になっている。ただし年齢は30~50歳が対象で、あくまで健診データの異常の有無を見ており、予後ではない。

・通常のデスクワークの人でも2500キロカロリーとっている。

・例えば身長160㎝の人で「軽労作」ならばエネルギー係数を30としても1.6x1.6x22x30≒1700キロカロリーとなり、少なすぎる。厳しすぎてドロップアウトする人が多かった。

・目標体重は65歳以上なら身長(m)x身長(m)x22~25でよい。エネルギー係数は普通の労作(座位中心だが通勤・家事・軽い運動を含む)なら30~35で。

・食事制限は個々の患者さんで自由度が大きい方が良く、療養を継続できることの方が重要と考える。


糖尿病の講演

大阪府保険医協会主催の糖尿病についてのWeb講演会を聴講しました。

「心血管腎合併・高度肥満合併など難治性の糖尿病への取組み ー最新の糖尿病治療薬の進歩を含めてー」 国立循環器病センター 糖尿病・脂質代謝内科部長 細田公則先生

・持続血糖モニタリングを行えば、HbA1cに替わる指標として以下が国際的に目標とされている。

①正常血糖時間帯割合(血糖値70-180㎎/dL)が70%以上

②高血糖時間帯割合(血糖値180㎎/dL 以上)が25%以下

③低血糖時間帯割合(血糖値70㎎/dL 以下)が4%以下

高齢者はそれぞれ、50%以上、50%以下、1%以下となっています。

つまり、血糖値はできるだけ70~180㎎/dL の間に保つべきで、高齢者の患者さんの場合はもう少し緩くても良いが、低血糖は極力起こさないようにすべき、ということです。

・最近使われ始めたGLP-1 受容体作動薬は血糖の高い時にインスリン分泌を促すので低血糖になりにくい。HbA1cは1~2%、体重も減る。心血管死、脳卒中も減らすデータがある。

・SGLT-2阻害薬は脳卒中を減らす効果は認められていないが、当初心配されたような脳卒中を増やすことはない。心筋梗塞の再発予防効果はありそう。

・どんどん新しい薬が開発されてきています。私はあまり新薬には飛びつかない方ですが、安全性をみて診療に取り入れていきたいと思います。


自治会で講演しました

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昨日地域自治会で健康講座の講演を行いました。

毎年ご依頼頂いて行っていますが、今年は「高齢者と血管」というお題目で話しました。

感染対策のため2部制で、一回が約30分の講演でした。

「高齢者と血管」ということになると、つまるところ脳卒中、心筋梗塞、足の閉塞性動脈硬化症を予防するため高血圧、糖尿病、高脂血症にならないように、またなっても進行させないように、ということに尽きるわけですが、できるだけ絵を使ってわかりやすく説明したつもりです。

資料もお配りしたので何か一つでも心に留めて頂けたらと思います。


桂離宮

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半年前から予約していたバスツアーで桂離宮に行ってきました。

宮内庁の管理下で見学でなく、参観となっています。

参観は宮内庁職員の方のガイドで一時間でしたがすばらしい庭園を堪能しました。

遠近法を用いた見せ方など随所に工夫がうかがえました。

以前から行きたかったので念願が果たせましたがあっという間の一時間でした。一日でも見ていたいぐらいです。

「庭を愛でる」とはこういうことなんでしょう。

書院が修理中だったのが残念でしたがまた機会があれば行きたいと思います。