森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック 医師の藤田です。
今回のテーマは「胃ポリープ」
よく外来で「胃のポリープを取ってほしいんですけど」と聞かれます。
が! クリニックで「胃のポリープをとることはありません」
では その理由について解説をします。
【胃ポリープとは】
胃ポリープとは、胃の粘膜表面がいぼのように盛り上がるものです。盛り上がっている、という形態のことなので、良性のものも悪性(つまりガン)も全て含まれます。
胃のポリープはそれだけでは症状がなく、バリウム検査や胃カメラ検査でしばしば指摘されます。
胃のポリープには 良性のポリープと 悪性のポリープ(いわゆる癌)があります。
また良性のポリープには①胃底腺ポリープ ②過形成ポリープがあります。
他にもいろいろな種類があり、組織をつまんで調べる(「生検」)ことで診断がつきます。
①胃底腺ポリープ
最もよく見かけるポリープで、ピロリ菌のいない綺麗な胃で発生します。ポリープの色も周囲の胃粘膜と同じピンク色をしています。ほとんどがん化することがないため、個数が多かったり、大きさが大きくても、切除する必要もなく、経過観察となります。
ちなみに胃底腺ポリープは多発する傾向にあります。(上の写真が胃底腺ポリープ)
よく「胃カメラでポリープありますが、問題ないので観察しただけです」というのは、このポリープのことを意味します。
ごくまれに胃底腺ポリープから癌化することがあり論文で発表されていますが、ごくまれでありあまり心配することはありません。(私自身の経験でも、これまで1例だけ癌化を認めた症例があります)
このポリープは「取って下さい」と言われても 医者は「取りません」と答えます。
というのも、ポリープ切除手術(組織検査で一部をつまむのではなく、ポリープを根こそぎ切り取る事)をすると、胃の粘膜を大きく傷つけることになり、出血や穿孔のリスクがあります。放置していい病気をわざわざ治療して害を及ぼすことは、医の倫理として許されないからです。
②過形成ポリープ
過形成ポリープは、ピロリ菌のいる荒れた胃によく発生します。色は赤みがかっている事が多く、また表面もややごつごつしています。過形成ポリープは出血したり、がん化のリスクもあるため、注意が必要です。
ただし、過形成ポリープもいきなり切除手術することはほとんどありません。というのも、ピロリ菌を除菌することで7割は小さくなったり消えるからです。従って、まずは除菌治療が優先されます。除菌治療後も小さくならなかった場合や、出血やがん化すれば、内視鏡的に切除が必要になる事があります。
切除手術は内視鏡(胃カメラ)を使って行われます。内視鏡に特殊な器具を用いて、ポリープごと胃の粘膜を削り取ります。そのため大きな胃潰瘍が出来ます。治療後数日は絶食点滴治療がひつとなり、通常7~10日の入院が必要になります。
治療は内視鏡を使って行われ、開腹手術などの外科的な手術ではありません。
したがって過形成ポリープを治療するとしても「入院設備のないクリニック」では切除することがないのです。
③胃がん
胃がんの隆起が小さい場合は、ポリープのように見えることがあります。治療はがんの広がりによって決まります。
ポリープの表面にがん細胞があるだけなら、上記の過形成ポリープと同じように内視鏡で切除します。一方、がん細胞が粘膜の下の方に浸潤、広がっていると判断された場合は内視鏡手術ではなく外科的手術(多くが腹腔鏡手術)が必要になります。
以上がクリニックで 胃ポリープを切除しない理由です。
●胃底腺ポリープなら放置しておく
●過形成ポリープであれば、入院設備のある病院で治療してもらう
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《分院》大阪本町胃腸内視鏡クリニック
2022年10月3日開院
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