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コロナ院内説明用資料

新型コロナウイルスは2019年に出現し、今やありふれたかぜの原因の一つになったウイルスです。小児科では特別な治療薬は使用せず、他のかぜと同様に風邪薬や解熱剤で自然に治るのを待つのが一般的です。

今まで蓄積されたデータからは、健康な子ども達にとっては重症化率や入院率が比較的低い敵と言うことができます。ただし、先天性の染色体異常や、心奇形、重症喘息などの小児は特別な注意が必要です。

また、インフルエンザよりははるかに少ないですが、健康な子どもでもまれに肺炎に至り入院することもあります。呼吸が苦しそうな場合や、発熱が5日~6日続く場合は再診しましょう。感染後に味覚障害や倦怠感、息切れが続くこともしばしば報告されていますが、有効な治療はないのが現状です。

熱が出た日を0日目として、5日間経過し、かつ咳などの症状がましになってから24時間経ったら登園、登校が可能とされています。最短で、6日目に外に出られることになります。熱が下がっていても咳がひどい場合はさらに長く休む必要があります。「自分の子どもが元気な時に、横にいる友達がしていても許せる程度の咳」を基準にしましょう。

また、他の感染症同様、登園や登校ができる日でもまだまだ感染力は残り、実際には10日程度は注意が必要とされています。高齢者にとってはインフルエンザ同様、命に関わることも多く、コロナ感染後におじいちゃんやおばあちゃんと会うのは大げさに日数を空けるのがよいでしょう。

なお、許可証は発行していません。どうしても必要な方は診断書(自費2200円)を発行いたします。


熱性痙攣その2

熱性痙攣が収まった後に、ダイアップ座薬という痙攣を予防する薬を挿肛することがあります。これは一旦収まった後、また2回目の痙攣が起こる確率を下げる目的で行われる予防薬です。

ただ、最新のガイドライン上では必ず必要ではないとされています。

痙攣を抑える薬=脳の活動を抑える薬であるので、副作用としてうとうとしたり、ふらつくことをよく経験します。

そもそも同日に2回目の痙攣をするこは実は結構レアであること、ダイアップ座薬により逆に意識回復の判断が難しくなることがあることが理由として挙げられています。

以前はほぼ全ての例で痙攣後のダイアップを使用していたので、現在はちょうど過渡期と言えます。

当院を始め、まだ多くの医療機関では、痙攣が止まった後に意識がしっかり回復するのを確認してからダイアップ座薬を入れて帰宅させています。

この痙攣直後のダイアップ座薬と区別して考えるものとして、発熱した際に痙攣する前に使用するダイアップ座薬があります。

その1でお話したように、大部分の熱性痙攣は人生で1回目で終了すること、ダイアップに副作用があることから、こちらも以前のようにみんなに念のため入れるということは推奨されていません。

これも施設により少し適応の幅がありますが、①痙攣重積を起こした児、②5分以内ではあるが3回以上起こした児などを中心に熱のたびに予防投与を行うことが多いでしょう。

熱性痙攣は熱の出始め、上がり始めに集中して発生するので、予防投与の適応になったら、37.5度以上になったらとりあえずすぐ1回目の投与を行い、8時間後に2回目の投与を行います。

2回で1セットであり、その後に高熱が続いても3回目は投与しません。

特に1回目の投与はためらわず、元気でも熱が出てきたらすぐに投与しましょう。

ただし、2回目は熱がその後上がらなかった場合には投与せずに経過をみて、再度上昇することがあればその時だけ投与するのがよいでしょう。

ちなみに短い痙攣は何回繰り返しても、てんかんを始め脳に長期的な後遺症は残さないことが様々な研究ではっきりしており、これもダイアップ座薬の使用を減らす方向にシフトしていっている要因となります。

 

さて、熱性痙攣は熱の原因の病気の重症度とは無関係に起こるので、熱性痙攣の際は、熱と痙攣を分けて考えることが重要です。

痙攣自体が数分で自然に収まり、意識が速やかに回復した場合は、痙攣自体の医学的心配はほぼ不要です。

それと別に熱自体が重症かは、痙攣前の元気さや、必要に応じて他の検査で判断します。

熱性痙攣の時に絶対に見逃したくない細菌性髄膜炎は、ヒブと肺炎球菌ワクチンの公費化で激減しましたが、接種していない児では考慮に入れる必要があります。

発熱開始後24時間が経つと、とりあえず痙攣の心配は相当減りますので、熱自体の方に意識を向けて様子を見ていくのがよいでしょう。

 


熱性痙攣その1

子ども達は免疫の修行中、ごく日常的に高熱を出しますが、その際に痙攣を伴うことがあります。

目は上や横をにらみつけるように偏位し、四肢を硬直させ、びくんびくんと釣り上げた魚のように震わせます。

完全にホラー映画のような光景で、初めて我が子の痙攣を見た御両親は、「あ、うちの子このまま死ぬかも」と感じ、どんな肝っ玉母さんも必ず大パニックになります(昨夜ブルブルしていたけど、病院には行かず様子を見ましたという話をクリニックで聞いた場合、痙攣ではなかっただろうなと思うほどに熱性痙攣は異常な光景です)。

熱性痙攣では必ず意識が飛びますので、目が合う、話はできる、啼泣している、の一つでもあれば違うと断定できます。

また、熱が上昇していく際にガタガタやブルブルと表現されるような体の動きがよく見られますが、熱性痙攣はそのような小さな動きとは全く別物の、びくんびくんという、周りから抑えても動きを抑制できないような大きな律動運動となります。

ネットで動画を一度見ておくとよいかもしれません。

ほとんどの痙攣は数分で自然に収まり、しばらくぼーとした状態になりますが、10分~20分ほどで意識がしっかりしていくでしょう。

では、この熱精痙攣の数字のデータを見てみましょう。

①特に急に体温が上がるような病気の最初の数時間~半日に多く、発熱後24時間を超えると高熱が続いていてもほとんど起こりません。痙攣した後に、熱があることに気づく場合もしばしばあります。

②小児の世界では非常にありふれたもので、7人に1人、約15%の児が経験します。小学校のクラスでアンケートを取れば1,2人はいる計算になります。

③多くの例で、5分以内に痙攣が収まり、30分以内に意識がはっきりした状態に戻ります。このような場合には後遺症を残すことはほぼ皆無です。

④約2/3の熱性けいれんは、初回の痙攣が人生最後の痙攣となります。

⑤理論上どのような熱でも起こりえますが、インフルエンザと突発性発疹が圧倒的2強で、例えば予防接種での熱ではほとんど起こりません。

⑥解熱剤を使用した群と、全く使用しなかった群で熱性痙攣の発生率に全く差が出ないことが複数の大規模な研究で示されています。「熱性痙攣が起こるのが心配なので、熱が出たら解熱剤をできるだけ使う」というのも、「解熱剤の効果が切れて、熱が再上昇する時に痙攣が起こるから、解熱剤はできるだけ使わない」の両方ともが間違っています。解熱剤は痙攣とは無関係ですので、しんどいかとうか、時間を稼ぐ必要があるかどうかだけで使用を検討して下さい。

 

熱性痙攣は脳の緊急事態であり、基本的には救急車の適応となります。2,3分で収まる場合には自家用車で医療機関に向かって大丈夫です。熱性痙攣を複数回経験し、よほど親御さんが慣れている場合以外には収まっていても受診することをお勧めします。

病院に着いた時点でもまだ痙攣が続いている状態を痙攣重積と呼び、非常に緊急性が高く、院内の動ける小児科医が全員集合して治療に当たることになります。

このように、15分~20分以上続く痙攣は後遺症を残す可能性が大幅に高くなるため、痙攣に関しては複数の医師がいる大きい病院に行くことが極めて重要です(止まって、意識が回復している場合はクリニックでよいでしょう)。

ほとんどの痙攣が自然に止まるため、重積を経験していない未熟な救急隊員の中には、救急車到着時に痙攣が止まっているのを見て、「熱性痙攣で救急車を呼ぶ必要はない」というニュアンスの発言をすることがたまにあるようですが、医学的には大間違いです。

痙攣で救急車を呼んで、到着した時に止まっていたら、結果オーライ良かったねというだけで、まれではあるけれども重積に至るかもしれないその一人のです。ために救急車は今日も出動するのです。


当院で可能な検査・対応できる疾患

高校卒業まで受診できます。お子さんだけでの来院はできません。必ず保護者の方が同伴して下さい。

〇当院で可能な検査

「インフルエンザ」、「コロナ」・・・流行時で発熱12時間経過以降してから行います。早い場合には極端に感度が落ちるため熱性痙攣があった場合などを除き、原則検査しません。

「溶連菌」・・・発熱、咽頭痛、特徴的な咽頭所見や発疹などがある時に行います。

「アデノ」・・・発熱4,5日以上、あるいは結膜炎症状が強くて疑わしい時のみ行います。

「マイコプラズマ血液検査」・・・疑わしい例で発熱が1週間以上続いた時のみ行います。外注ですので結果には数日から1週間を要します。

「簡易採血(WBC、CRP)」・・・発熱が長引いている時、重症感のある時に行います。

「簡易尿検査」・・・院内で一般項目が確認可能です。必要に応じて外注検査で詳細項目を追加します。

「食物アレルギー抗原血液検査」・・・アトピー性皮膚炎のある乳児か、疑わしい症状がある時に卵、小麦、乳、大豆の項目を検査します。あくまで補助的な役割の検査であり、診断は実際に症状が誘発されるエピソードを元に判断します。その他の項目は原則施行しません。症状はないが、離乳食前に念のため検査なども意義が低いため検査は行いません(正確性が低い検査のため)。

「吸入アレルギー抗原血液検査」・・・6歳以上でアレルギー性鼻炎に対する減感作療法を行う時の事前検査としてのみ施行します。この検査も確定診断には用いず、診断自体は症状が出る時期や環境、および抗アレルギー薬への反応性から判断します。

「血液型検査」・・・自費で1500円です。医学的意義はないので、原則子ども自らが検査を希望した時だけ行っています。

「診断書作成」・・・自費で2200円です。数日から1週間お時間がかかります。

★全ての検査は必要性やタイミングを考慮して、行うかどうか判断します。希望があっても検査をしないこともあります。

 

〇当院で対応できる疾患

・発熱や呼吸器症状、消化器症状など一般的な体調不良症状。

・気管支喘息、アレルギー性鼻炎(6歳以上の減感作療法含む)、食物アレルギー、乳幼児(5歳未満)のアトピー性皮膚炎

・手足口病、水痘の疑い、とびひ、蕁麻疹、湿疹などの皮膚疾患。

・意識障害や激しい嘔吐、骨折を疑う所見のない軽症の打撲、けが。

・便秘、血便

・園や学校の健診で指摘された尿検査の異常や、頻尿、排尿時痛などの尿の症状。

・皮膚の症状、眼の症状、耳の症状でどの病院にかかったらいいのか分からない時にも、診察の上で必要であれば行くべき科の推奨や、紹介を行います。

・学校健診で不整脈や心雑音を指摘された場合には、検査は当院ではできませんが受診すると貝塚市民病院の小児循環器専門医に紹介の段取りをすることができます。

・低身長・肥満の相談や検査は当院では行っていませんが、必要な児は母子総合医療センターへの紹介を行います。貝塚市の川崎こどもクリニックの川崎先生が内分泌の専門家ですのでそちらの受診もよいかと思います。

✕当院では行っていない検査

「RS」、「ヒトメタニューモ」、「ノロ」、「ロタ」、「マイコプラズマ迅速検査」、「レントゲン」、「超音波検査」、「心電図検査」、「視力検査」、「斜視検査」、「聴力検査」

これらの検査がご希望の方は他院を受診してください。

✕当院では対応できない疾患

・意識障害や激しい嘔吐などを伴う外傷 ⇒脳のダメージが疑われますので救急車の適応です。

・強い腫れ、痛みを伴う外傷、縫う必要がありそうな外傷、および交通事故による外傷 ⇒骨折の可能性、および縫合が必要な可能性、特別な診断書が必要な可能性があります。外科系の病院を受診しましょう。

・目の部分の外傷 ⇒眼科を受診しましょう。

・斜視かもしれない ⇒眼科を受診しましょう。

・5歳以上のアトピー性皮膚炎 ⇒当院では乳幼児の治療を行っています。大きい子は皮膚科や他院小児科を受診して下さい。

・耳垂れがある時 ⇒程度の強い中耳炎が疑われます。洗浄処置が必要なことが多いので耳鼻科を受診しましょう。週末や休みの時はとりあえず小児科に受診でもよいでしょう。

・耳が聞こえにくい ⇒耳鼻科を受診しましょう。


コロナ ここまでの振り返り

コロナ禍が始まりを告げて、もうすぐ2年半になります。

例のごとく、あえて細かい数字は抜きにしてここまでを大まかに振り返ってみたいと思います。

まず、コロナウイルスは主要な株だけをみてもアルファ、デルタ、オミクロンとそれぞれ相当に性質が違い、また同じ株でも感染した人の年齢や持病でも相当に結末が違う敵ですので、一言で総括することは困難です。

「コロナは~である」という短絡的な決めつけの論調の意見は全てコロナのごく一部の側面をみているに過ぎないと言えます。

特に近場に若い健康な人しかいない場合には感染しても重症者を見聞きすることがないため、その狭い見識を元にコロナは大したことない、対策やワクチンは全く不要だという極端な断定的思考に陥るようです。

医学は過去の多数のデータをみて話をする学問ですので、「私は2年前から~だと思っていて、ほらその通りになったでしょ。」という無責任な意見には基本的に耳を貸しません。

 

日本で大きく流行した株の中で一番破壊力が強かったのは去年の秋ごろに流行したデルタ株でしょう。

高齢者はもちろんのこと、30代や40代の健康な働き盛りの方でも時に激烈な経過をたどり、ワクチン接種の有無で若い人でも経過に比較的差が出た株です(その時期、私も10代以上の方にワクチン接種を推奨しました)。

あのままデルタ株が居座っていれば、社会が日常を目指すというのはなかなか難しかったかもしれません。

しかし、結果的には年末の少し前には相当に収束傾向となりしばし平和な時間が訪れました。

その後、年明けからオミクロンが主流となり一気に小児の世界にまで感染が広がりました。

オミクロンは感染力がずば抜けた株で、マスクやソーシャルディスタンスを心がけてインフルエンザがほとんど流行できないレベルの感染対策をした冬の日本社会でもあれほど大流行を起こしました(ゼロコロナを目指していた国でも方向転換を余儀なくされました)。

一方で破壊力はデルタよりだいぶん下がり、重症者の発生率は減少しました(ただ感染者数が今までの中で抜群に多かったので、結局死亡者数はオミクロンによるものが最多)。

小児の世界でも制御不能な感染拡大になりましたが、特に小児科世代で深刻な基礎疾患のない児では重症者はおろか、医学的に入院が必要な例も極めて少数に留まりました(入院の大部分は、症状の強い親御さんの付き添い入院)。

この半年で日本での小児のデータも相当蓄積されましたが、そこから言えることは「重篤な基礎疾患のない日本人の小児にとって、コロナのオミクロン株は人生を揺るがすウイルスではない」ということです。

これらのデータを元にすると、夏場の小児にとってコロナのオミクロン株より熱中症の方がよっぽど危険であることが分かり、屋外ではマスクをしなくていいではなく、屋外ではマスクを外すようにという推奨が出されるに至るわけです。

一番流行したオミクロン株が普段健康な日本人小児にとって大事にならなかったのは、ただのありがたい結果論であって「コロナなんてただのかぜなんだから、私は最初からマスクはいらないと言っていた。」という風に無責任に語ることを医学はしません。

実際、コロナウイルス全体を通して日本でも高齢の方を中心にたくさんの犠牲者が出ましたし、若い世代でも後遺症に悩まされている方もいます。また他国ではたくさんの小児も亡くなっています。

国や世代、株によるこれらの差を最初から断定することは不可能でしたので、特に日本はかなり慎重な路線を選択しましたが世界の中では今のところトータルで最も被害が少ない国の一つに数えられます。

今後の課題は、いかに締めるところは引き続き締め、緩めるところは緩めるかというところです。

小児や若者の教育や学び、恋愛の機会を取り戻すことも大事ですし、一方で高齢者など感染させてはいけない集団にコロナを届けないという努力ももちろん大事です。

小児に関しては感染を恐れ過ぎずに、夏場特にクーラーのないところや屋外ではマスクを外し様々な活動を再開していくこと、密になる室内では引き続きマスクなど感染対策をすることがおおむねの方針となるでしょう。

コロナワクチンに関しては、アルファ、デルタに対するよりも効果が落ちることも判明しており、小児に関しては今は接種を急ぐ必要はないかもしれません(重篤な基礎疾患のある児や、高齢者と同居している児などは主治医と相談の上、接種することは悪い選択肢ではありません)。

今後もコロナ事情は変化し続けますが、2022年6月28日時点の私の考えを示しました。


日本脳炎ワクチン

まだまだ供給は戻っていませんが、今回少しまとまった数の入荷があり、土曜日に新たに枠を空けています。なお、今まで土曜日は院長の先輩である野村先生という女医の先生に手伝って頂いておりましたが、先生が6月から大阪市阿倍野区で開業されることになり、今後当分土曜日のワクチンも全て院長が行います。ワクチン時に診察、処方希望の方はWeb問診にその旨を記載して下さい。紹介がいるなど、時間のかかる診察は困難なため、後日改めて受診して下さい。


コロナ禍2年

オミクロン株が完全にデルタを駆逐し、世界中を一色に染めています。

感染症の世界では、重症化させるウイルスが覇権を握るわけではなく、感染力が強いウイルスが幅を利かせます。

デルタの時ですら日本の小児の重症例は皆無に近かったですが、デルタで厄介だったのは30代、40代の元気な人達が急に悪化する事例が相次いだことです。

軽症で自宅待機していた基礎疾患のない働き盛りの患者さんが突然重篤になり、数は多くはないですが死亡例も発生しました。

オミクロンに関しては感染力にパラメーターを集中させたような株で、先に大流行した他国のデータや、一気に蓄積した日本国内の情報を基にすれば小児や若年層、基礎疾患や肥満のない働き盛り層で医学的に入院が必要な例は相当少ないと言えます(ただし医学的な扱いは軽症とは言っても高熱が数日、ひどい頭痛や咳など他のかぜより相当しんどいという認識の方は多いので注意)。

ただ、そのような自分自身は大ごとにならないだろうという人の周りには自分の祖父母、場合によってはひいおじいちゃん、ひいおばあちゃん、また医療や介護で高齢の方に日常的に接する人が社会には大量にいて、つまり「うつしてはいけない人」がすぐそこにたくさんいるということは肝に銘じておかなくてはなりません。

 

日本のような先進国は、「命は何よりも尊い」という、正しいのだけれど他の議論を一切封じるような理想論がはびこっていて、トータルとしてどっちの選択肢の方が被害が少ないかという検討を非常にしにくい風潮があります。(いわゆるコスパの議論も非常にしにくい)

コロナを高齢の方や、基礎疾患のある方にうつさないように皆で全力を尽くすということはとてもとても大事で疑問の余地はありませんが、実際にそのような方をサポートする実働部隊は若い世代なのです。

今、大量の元気な働き世代の人が、「濃厚接触者」というレッテルのため長期間元気に自宅待機を余儀なくされています。

その反動として今目の当たりにしているように、社会が機能停止寸前に追い込まれ、再び教育がその歩みを止めています。

 

コロナが最初流行し始めた時から我々日本人は崇高な意識から、早い収束のため多大な我慢と努力の元、今この瞬間も世界で最も死者の少ない国の一つであり続けています。それは近い将来、コロナが終わる日が来ると信じていたからです。

ところが皆さんがとうに気づいている通り、コロナは完全な終息というのはありえない感染症です。

withコロナの社会を本格的に考える時期に差し掛かっているように思われます。

私は医師として、そしてクリニックのスタッフは医療従事者として、ありがたいことに2年間日常生活で公然と差別を受けるようなことはありませんでした。

むしろ、たくさんの気遣い、励ましのお言葉を頂き、そのたびに勇気を奮い立たせて頑張ってきました。

しかし、スタッフにも私の家族にも皆さん同様、2年間本当にたくさんの制限、我慢を強いてきました。

医者の妻だから、息子だから、医療者の家族だから、「今はガマン」。

「お友達の家に遊びに行ってもいい?」という息子からの質問に、「もう少ししたらね。あと少しだけ。」そう言って忍耐を求め続けた2年間。

いつしか私が困ることを理解した息子たちはそうしたお願いも言わなくなりました。

このコロナ禍の間、「命は何よりも尊い」ことを知り尽くしている医療者であるからこその苦悩と、ずっと格闘してきました。

これからもこの状況が続くなら、2度と帰ってこない息子達の貴重な時間や失われ続ける経験はどうなるのか。

医者として父として、夫として何が正解なのか。

そんな葛藤と戦いながら、またテントでの1週間が始まります。


Web問診稼働

令和3年10月6日(水)よりWeb問診が稼働します。

来院されてから、エントランスで行っていた問診を、家でスマホで済ませることができるようになります。

一般診察、ワクチンのみ、健診のみのいずれの場合でも、来院する前に必ずWeb問診を済ませて頂くことになります。

入力なしで来院された場合は、到着後車内や院内で入力して頂くことができますが、待ち時間が長くなる可能性がありますのでご了承ください。


新型コロナ検査について

冬に向かって新型コロナ患者数は増えていく公算が高そうです。当院では新型コロナの検査はできませんので、「濃厚接触者」や「強い疑いのある児」は発熱相談窓口に電話の上、指示を受けて頂くようお願い致します。また「発熱のある大人の方」も診察は行っておりません。内科で相談、受診をして下さい。

新型コロナ受診相談センター
06-7166-9911(終日対応)

また大阪府では新型コロナにまつわる心の不安を聞いてくれる窓口が置かれています。誰かに聞いてもらうだけで少し楽になることもあるかもしれませんので、つらい時は電話をしてみましょう。

《相談電話番号》    0120-017-556 (フリーダイヤル  まるいな  こころ)
《開設期間》    令和2年10月1日~令和3年3月31日 (毎日 午前9時30分~午後5時  土日・祝日・年末年始も無休で実施)


どうでもいいことその23 耳を疑ったことpart9

今回は学術的な耳を疑ったことをお届けします。

長男(小学校4年生)からの理科の質問。

「パパ、人間の手って魚の何から進化したものなん?」

「そやなー、魚にパンチされるん想像してみ。胸ビレで殴ってきそうやろ?」

「確かに!」解答で確認、これは正解。

「ってことは、足は?」

「そら尾ビレでキックしてくるやろ。人魚姫を考えたら分かりやすいで。」

「確かに!確かに!」

って親子で強い一体感を感じながら答え確認したら、「人間の足は腹ビレが進化したものです。尾びれはシッポです。」と。

「うああああ!!!。」

言われてみれば確かにいぃぃぃ!

人魚姫の尾びれは突き出したおしりであったという、ちょっと夢を失う現実でしたとさ。