新型コロナが到来してからも、広い駐車場や複数の隔離室を生かして、発熱、呼吸器症状、胃腸炎症状の児をたくさん診察してきました。
従来株では小児のコロナ陽性例はかなり少数であり、検査ありきの生活を前提にすると膨大な数の無駄な検査と偽陽性が発生することから、当院をはじめ多くの小児科ではあえて検査をしない、あるいはむやみに検査を乱発しないという方向でやってきました(入院時や成人のコロナ患者の濃厚接触者を除く)。
ところがここに来てデルタ株が主流となり、重症化のほとんど全ては大人であるということは変わらないものの、小児の世界にも新型コロナが入り込んで来ています。
いよいよ小児科の領域でもある程度の検査数が必要となりつつあります。
8月30日より当院でも検査は可能になる段取りを整えています。
検査自体の感度は最大でも80%前後で、そもそも全ての患者さんをコロナかそうでないかを振り分けることは不可能という前提で戦略を組まなくてはいけません。
容易に想像できるのは、「コロナでないという証明のために検査を希望」という方が大挙して来院されること、および「検査ができるか?」という電話がひっきりなしに鳴り響くことです。
当院に関しては「意識がおかしい」、「呼吸が苦しそう」など医学的な緊急事態の場合を除き原則受診前の電話は不要、というよりとにかくお控え下さい(他のクリニックでは感染症症状がある場合には事前に連絡を必要とするところは多いのでそれぞれのHPなど確認してください)。
駐車場やテント、隔離室の整備があるので、当院の中で他の方の咳や飛沫を浴びたり浴びせたりする心配はほぼありませんので、来院してから色々段取りする形で十分に対応できます。
とにかく電話相談に対応している余裕は本当にありません。
そして検査対象は、私の判断に任せてもらうよりありません。
年長児は比較的熱などの症状がある児が多いという報告がありますので、小学生以上の発熱は基本的に抗原検査をする予定です(車かテントで)。
園児は基本的に症状からはコロナかどうかを図ることは困難で、極端に言えば症状が強い子ほどコロナの可能性が下がるくらいの何とも掴みづらい世代ですから、検査するかどうかは本人の症状を元にではなく周囲にコロナの人がいてある一定以上の可能性があるかを判断して、ということになります。
また、大人の方単独の体調不良や検査も引き続きお断りします。内科を受診してくださいね。
可能性が低い児に大量に検査をすると、すぐに局所的な医療崩壊や医療資源の浪費になりますので対象を見極める必要があります。
コロナ診療そのものに関してはこれまでは内科の先生方が最前線に立って奮闘し続けて下さっていますが、この夏からは一般小児科医もいよいよ本格的に参戦ということで、本当の総力戦に突入します。
そして、感染症患者さんを診ない科の先生方もそれぞれのやれる責務を全力で果たしてくださっています。
地域のみなさんのお力を借りながら、引き続き地域を守る小さな助けになることができればと思います。