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新型コロナワクチン

6月10日(木)の診療後に、私とスタッフの大半が2回目のコロナワクチンを接種してきました。

コロナワクチンについての現時点における正確な情報をお伝えしたいと思います。

まず初めに、このブログはワクチン接種を強要したり、接種をしないという選択をした方を非難する意思は全くないことを明記しておきます。

 

まず、6月4日時点のデータで世界全体で20億回、6月9日時点のデータで日本で2000万回の接種が終了しています(開始は遅いが、一旦始まると驚異的スピードというのは日本の政治のいつものパターン)。

かつてこれほど開発から早い段階でこのようなとんでもない人数に接種されたワクチンはありません。

今分かっているデータ(ここでは今のところ日本で唯一接種可能なファイザー社のワクチンについて述べます)を参考にすれば、感染予防率90%以上と驚異的な効果を示し、さらに「短期的な」安全性は相当高いと言えます。

短期的には安全?しかしワクチン接種後に急死した方のニュースを聞いた記憶がある方は多いのではないでしょうか?

まず、そもそもワクチンと関係なく日本では1年間の間にどれくらいの方が亡くなっているのでしょうか。

2020年に厚生労働省が発表した速報によれば、年間死亡者数は138万4544人です。

つまり、1か月に11万ちょっとの方がお亡くなりになられているということです。

ある日、水を飲んだ日本人の中で1か月以内に亡くなる方が11万人いるということです。

ということは今日、日本人全員にもしコロナワクチンを一斉に接種することができたとすると、ワクチンのせいではなく1か月以内に11万人が自然に亡くなるはずです(もちろん高齢者中心に)。

また、コロナ前でも若い方ですら突然死というのはちょこちょこ起こっていて、現代の医学をもってしても原因を解明できないケースも多々あります。

本当にワクチンの副作用なのかどうかを調べるために、コロナワクチンを接種する以前と、接種した後で様々疾患になる率や死亡者数に変化があるのかを各国で慎重に検討しながら接種が進められていますが、現在のところ特に増加は認めません(アストラゼネカのワクチンで若年者において血栓症がやや増えるかもという報告があり、一旦若年者は保留になった件はさらにデータを解析中です。★最初モデルナと誤記載しておりました。訂正致します。)。

ワクチン接種後数日や数週間で亡くなられた方に関して、マスコミが大々的に報道しています。だいぶ前のブログで、マスコミによる前後関係と因果関係の意図的な取り違えの話をしましたが、最近のニュースでもそれを強く感じます。

ということで、短期的な副作用は、接種部位の腫れや発熱がメインになります。実際、うちのクリニックのスタッフでも38度ほどの発熱をきたした者もありますが、1日で仕事復帰できそうな程度にとどまっています。

それと忘れてはいけないのがアナフィラキシーで、これは中々予見が難しいです。世界全体では数万人に一人くらいですが、日本では軽いものも律儀に報告しているせいか1万人に一人くらい発生しています。

どんな高級な化粧品でも合わない人がいるように、これはどんな薬でも食品でも一定の割合で発生する避けられない反応です。

接種会場には我々医師、看護師が必要な薬剤や器具を事前に準備し待ち構えていますから、実際にアナフィラキシーを起こした方の全てが適切に良好に対応されています。

 

さて、効果が高いことは接種率が上がった複数の国で劇的に感染者数が減少したことから明らかであり、短期的にはどうも相当安全であるということは分かりました。

では、「長期的な」副作用はどうでしょうか。これに関しては理論上は重い副作用はないはずですが、ヒブや肺炎球菌、四種混合、BCG、B型肝炎、MR、水痘、おたふく、インフルエンザ、ロタワクチンのように何十年もの間積み重ねられてきた莫大な安全性のデータは存在していません。

しかし、少なくとも完全に間違っているのは、mRNAワクチンであるコロナワクチンを接種することで人体にワクチンの遺伝子が組み込まれるなどという意味不明な説です。

コロナウイルスの持つ遺伝情報の一部を持つワクチンを体に入れるのでこのような医学的には荒唐無稽な想像が出るのでしょうが、それはまるでカナダにちょっと留学して帰ってきたら遺伝学的にカナダ人になって帰ってきたというくらいありえません。

そもそもコロナを含め、風邪のウイルスに感染した場合、ワクチンのように一部どころか全遺伝情報がそのまま体に入るわけです。

そうするとウイルスの遺伝情報が体に刻み込まれ、子孫に遺伝することになるのでしょうか?

これですら、カナダに移住したら何十年かの後に、肉体がカナダ人に変貌を遂げるというくらい突拍子もない話ですから。

このようなあり得ない話はさておき、ワクチン接種後の長い時間の後に未知の副作用がある可能性は低いけれどもあるかどうか誰も知らないということです。

接種する場合にはそのような不確定要素も受け入れた上で決断して頂く必要があります。

一方で、全くと言っていいほど重症化がない小児がワクチンを接種する医学的メリットは個人単位ではほとんどないのかもしれません。接種しなくてもコロナが怖くないからです。

ただ、留学する場合などで参加資格として求められる可能性はあります。今後、海外でのデータがまた蓄積されていくことでしょう。

 

情報を正しく判断することは大事ですが、肝心の情報伝達を担うマスコミが正しい情報を伝えることを主目的にしていないようで、一般の方には何とも難しい時代です。