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百日咳

百日咳が例年以上に流行しています。

百日咳はその名の通り、100日とは言わないまでも数週間から1.2か月に渡ってひどい咳が続く感染症です。

典型例では熱もなく鼻水もなく、ただただひたすら痰の絡まない乾いた咳こみが続き、ゲホゲホゲホゲホ、オエッとえづいて一段落するというサイクルを昼夜を問わず繰り返します(花粉症で鼻水があったり、前からの風邪で痰がからんだり、違う感染症がかぶって熱が出たり、例外はいくらでもありますが)。

0歳時、1歳時に受けた三種混合、四種混合または五種混合のワクチンでカバーされているため、4回接種が完了して間もない乳幼児の集団では比較的流行になりにくく、感染しても症状は比較的軽微です。

一方、接種して時間が経ってくると一部の児で免疫が薄まってくるために、小学校以上、特に10歳前後より年長の集団で小流行が断続的に発生しています。

現在、小学校高学年で二種混合のワクチンが公費で接種されていますが、これは百日咳をカバーしていません。

小学校低学年で百日咳ワクチンを公費で追加あるいは、この二種混合を三種混合に変更するなどの案が検討されていますが、まだ決定はしていません。

 

さて流行がある時期には、ひどい咳が長引いた際には検査が行われます。

様々な検査がありますが、最も一般的なのは血液検査で外の検査機関に提出する方法で、約5日~7日ほど結果判定までにかかります。

可能性がそれなりにある場合は、この検査を提出すると同時にクラリスというマクロライド系の抗生剤を開始します。

クラリスを始め、あらゆる薬は咳を抑えるのにはほとんど効果はありませんが、5日飲んだ時点で他者への感染力が大幅に下がり集団生活への復帰の条件となっています。

ある程度、咳が長引いた児で検査するため、百日咳が確定するのは多くの場合は咳のスタートから2週間から3週間くらいは経っていることが多いでしょう。

結果が出た時点で、クラリスが5日以上投与されているはずですので、百日咳が陽性だった場合も、診断とともに登園、登校許可証が発行される手筈となります(もちろん欠席は咳のひどさに応じてさらに延長も考慮されます)。

 

対策としては、

①病名に関わらず、咳が出たら可能な年齢、可能な範囲で早期からマスクを着用する。(マスクは自分のためではなく、人のためにする物です。咳はひどいが、マスクはしたくないというのはマナー違反です。)

②咳が7日~10日以上続く場合は、熱がなくても一度受診しましょう。百日咳の流行がある場合、特に小学生以上は意識をしましょう。

③受診の上、百日咳の可能性がどれくらい高いかによって、そのまま休園、休校を指示されるか、とりあえずマスクをしながらクラリス投与で登園、登校するかが判断されます。ただし、可能ならば検査結果判明まで休むことは周りの人にとってはありがたいことです。

 

実は百日咳は年長児にとっては、ひどい咳きこみは日常生活、社会生活にとっては厄介なものの、医学的には危険はほぼありません。いつかは収まります。

問題は、生後間もない赤ちゃんが感染した場合です。

ワクチンを未接種、あるいはまだ1回や2回しか受けていない状態で感染すると、咳きこみの連続で呼吸ができず、無呼吸発作から低酸素脳症を起こすことがあります。

令和7年の春にもすでに生後1か月半の児が百日咳で死亡したという悲しいニュースが入ってきました。

生後早期の赤ちゃんには、百日咳だけでなくできるだけ感染症を届けないようにしましょう。

ほとんどの厄介な感染症は高熱を伴うことが多いですが、例外的な感染症ですね。


コロナ院内説明用資料

新型コロナウイルスは2019年に出現し、今やありふれたかぜの原因の一つになったウイルスです。小児科では特別な治療薬は使用せず、他のかぜと同様に風邪薬や解熱剤で自然に治るのを待つのが一般的です。

今まで蓄積されたデータからは、健康な子ども達にとっては重症化率や入院率が比較的低い敵と言うことができます。ただし、先天性の染色体異常や、心奇形、重症喘息などの小児は特別な注意が必要です。

また、インフルエンザよりははるかに少ないですが、健康な子どもでもまれに肺炎に至り入院することもあります。呼吸が苦しそうな場合や、発熱が5日~6日続く場合は再診しましょう。感染後に味覚障害や倦怠感、息切れが続くこともしばしば報告されていますが、有効な治療はないのが現状です。

熱が出た日を0日目として、5日間経過し、かつ咳などの症状がましになってから24時間経ったら登園、登校が可能とされています。最短で、6日目に外に出られることになります。熱が下がっていても咳がひどい場合はさらに長く休む必要があります。「自分の子どもが元気な時に、横にいる友達がしていても許せる程度の咳」を基準にしましょう。

また、他の感染症同様、登園や登校ができる日でもまだまだ感染力は残り、実際には10日程度は注意が必要とされています。高齢者にとってはインフルエンザ同様、命に関わることも多く、コロナ感染後におじいちゃんやおばあちゃんと会うのは大げさに日数を空けるのがよいでしょう。

なお、許可証は発行していません。どうしても必要な方は診断書(自費2200円)を発行いたします。


熱性痙攣その2

熱性痙攣が収まった後に、ダイアップ座薬という痙攣を予防する薬を挿肛することがあります。これは一旦収まった後、また2回目の痙攣が起こる確率を下げる目的で行われる予防薬です。

ただ、最新のガイドライン上では必ず必要ではないとされています。

痙攣を抑える薬=脳の活動を抑える薬であるので、副作用としてうとうとしたり、ふらつくことをよく経験します。

そもそも同日に2回目の痙攣をするこは実は結構レアであること、ダイアップ座薬により逆に意識回復の判断が難しくなることがあることが理由として挙げられています。

以前はほぼ全ての例で痙攣後のダイアップを使用していたので、現在はちょうど過渡期と言えます。

当院を始め、まだ多くの医療機関では、痙攣が止まった後に意識がしっかり回復するのを確認してからダイアップ座薬を入れて帰宅させています。

この痙攣直後のダイアップ座薬と区別して考えるものとして、発熱した際に痙攣する前に使用するダイアップ座薬があります。

その1でお話したように、大部分の熱性痙攣は人生で1回目で終了すること、ダイアップに副作用があることから、こちらも以前のようにみんなに念のため入れるということは推奨されていません。

これも施設により少し適応の幅がありますが、①痙攣重積を起こした児、②5分以内ではあるが3回以上起こした児などを中心に熱のたびに予防投与を行うことが多いでしょう。

熱性痙攣は熱の出始め、上がり始めに集中して発生するので、予防投与の適応になったら、37.5度以上になったらとりあえずすぐ1回目の投与を行い、8時間後に2回目の投与を行います。

2回で1セットであり、その後に高熱が続いても3回目は投与しません。

特に1回目の投与はためらわず、元気でも熱が出てきたらすぐに投与しましょう。

ただし、2回目は熱がその後上がらなかった場合には投与せずに経過をみて、再度上昇することがあればその時だけ投与するのがよいでしょう。

ちなみに短い痙攣は何回繰り返しても、てんかんを始め脳に長期的な後遺症は残さないことが様々な研究ではっきりしており、これもダイアップ座薬の使用を減らす方向にシフトしていっている要因となります。

 

さて、熱性痙攣は熱の原因の病気の重症度とは無関係に起こるので、熱性痙攣の際は、熱と痙攣を分けて考えることが重要です。

痙攣自体が数分で自然に収まり、意識が速やかに回復した場合は、痙攣自体の医学的心配はほぼ不要です。

それと別に熱自体が重症かは、痙攣前の元気さや、必要に応じて他の検査で判断します。

熱性痙攣の時に絶対に見逃したくない細菌性髄膜炎は、ヒブと肺炎球菌ワクチンの公費化で激減しましたが、接種していない児では考慮に入れる必要があります。

発熱開始後24時間が経つと、とりあえず痙攣の心配は相当減りますので、熱自体の方に意識を向けて様子を見ていくのがよいでしょう。

 


熱性痙攣その1

子ども達は免疫の修行中、ごく日常的に高熱を出しますが、その際に痙攣を伴うことがあります。

目は上や横をにらみつけるように偏位し、四肢を硬直させ、びくんびくんと釣り上げた魚のように震わせます。

完全にホラー映画のような光景で、初めて我が子の痙攣を見た御両親は、「あ、うちの子このまま死ぬかも」と感じ、どんな肝っ玉母さんも必ず大パニックになります(昨夜ブルブルしていたけど、病院には行かず様子を見ましたという話をクリニックで聞いた場合、痙攣ではなかっただろうなと思うほどに熱性痙攣は異常な光景です)。

熱性痙攣では必ず意識が飛びますので、目が合う、話はできる、啼泣している、の一つでもあれば違うと断定できます。

また、熱が上昇していく際にガタガタやブルブルと表現されるような体の動きがよく見られますが、熱性痙攣はそのような小さな動きとは全く別物の、びくんびくんという、周りから抑えても動きを抑制できないような大きな律動運動となります。

ネットで動画を一度見ておくとよいかもしれません。

ほとんどの痙攣は数分で自然に収まり、しばらくぼーとした状態になりますが、10分~20分ほどで意識がしっかりしていくでしょう。

では、この熱精痙攣の数字のデータを見てみましょう。

①特に急に体温が上がるような病気の最初の数時間~半日に多く、発熱後24時間を超えると高熱が続いていてもほとんど起こりません。痙攣した後に、熱があることに気づく場合もしばしばあります。

②小児の世界では非常にありふれたもので、7人に1人、約15%の児が経験します。小学校のクラスでアンケートを取れば1,2人はいる計算になります。

③多くの例で、5分以内に痙攣が収まり、30分以内に意識がはっきりした状態に戻ります。このような場合には後遺症を残すことはほぼ皆無です。

④約2/3の熱性けいれんは、初回の痙攣が人生最後の痙攣となります。

⑤理論上どのような熱でも起こりえますが、インフルエンザと突発性発疹が圧倒的2強で、例えば予防接種での熱ではほとんど起こりません。

⑥解熱剤を使用した群と、全く使用しなかった群で熱性痙攣の発生率に全く差が出ないことが複数の大規模な研究で示されています。「熱性痙攣が起こるのが心配なので、熱が出たら解熱剤をできるだけ使う」というのも、「解熱剤の効果が切れて、熱が再上昇する時に痙攣が起こるから、解熱剤はできるだけ使わない」の両方ともが間違っています。解熱剤は痙攣とは無関係ですので、しんどいかとうか、時間を稼ぐ必要があるかどうかだけで使用を検討して下さい。

 

熱性痙攣は脳の緊急事態であり、基本的には救急車の適応となります。2,3分で収まる場合には自家用車で医療機関に向かって大丈夫です。熱性痙攣を複数回経験し、よほど親御さんが慣れている場合以外には収まっていても受診することをお勧めします。

病院に着いた時点でもまだ痙攣が続いている状態を痙攣重積と呼び、非常に緊急性が高く、院内の動ける小児科医が全員集合して治療に当たることになります。

このように、15分~20分以上続く痙攣は後遺症を残す可能性が大幅に高くなるため、痙攣に関しては複数の医師がいる大きい病院に行くことが極めて重要です(止まって、意識が回復している場合はクリニックでよいでしょう)。

ほとんどの痙攣が自然に止まるため、重積を経験していない未熟な救急隊員の中には、救急車到着時に痙攣が止まっているのを見て、「熱性痙攣で救急車を呼ぶ必要はない」というニュアンスの発言をすることがたまにあるようですが、医学的には大間違いです。

痙攣で救急車を呼んで、到着した時に止まっていたら、結果オーライ良かったねというだけで、まれではあるけれども重積に至るかもしれないその一人のです。ために救急車は今日も出動するのです。


当院で可能な検査・対応できる疾患

高校卒業まで受診できます。お子さんだけでの来院はできません。必ず保護者の方が同伴して下さい。

〇当院で可能な検査

「インフルエンザ」、「コロナ」・・・流行時で発熱12時間経過以降してから行います。早い場合には極端に感度が落ちるため熱性痙攣があった場合などを除き、原則検査しません。

「溶連菌」・・・発熱、咽頭痛、特徴的な咽頭所見や発疹などがある時に行います。

「アデノ」・・・発熱4,5日以上、あるいは結膜炎症状が強くて疑わしい時のみ行います。

「マイコプラズマ血液検査」・・・疑わしい例で発熱が1週間以上続いた時のみ行います。外注ですので結果には数日から1週間を要します。

「簡易採血(WBC、CRP)」・・・発熱が長引いている時、重症感のある時に行います。

「簡易尿検査」・・・院内で一般項目が確認可能です。必要に応じて外注検査で詳細項目を追加します。

「食物アレルギー抗原血液検査」・・・アトピー性皮膚炎のある乳児か、疑わしい症状がある時に卵、小麦、乳、大豆の項目を検査します。あくまで補助的な役割の検査であり、診断は実際に症状が誘発されるエピソードを元に判断します。その他の項目は原則施行しません。症状はないが、離乳食前に念のため検査なども意義が低いため検査は行いません(正確性が低い検査のため)。

「吸入アレルギー抗原血液検査」・・・6歳以上でアレルギー性鼻炎に対する減感作療法を行う時の事前検査としてのみ施行します。この検査も確定診断には用いず、診断自体は症状が出る時期や環境、および抗アレルギー薬への反応性から判断します。

「血液型検査」・・・自費で1500円です。医学的意義はないので、原則子ども自らが検査を希望した時だけ行っています。

「診断書作成」・・・自費で2200円です。数日から1週間お時間がかかります。

★全ての検査は必要性やタイミングを考慮して、行うかどうか判断します。希望があっても検査をしないこともあります。

 

〇当院で対応できる疾患

・発熱や呼吸器症状、消化器症状など一般的な体調不良症状。

・気管支喘息、アレルギー性鼻炎(6歳以上の減感作療法含む)、食物アレルギー、乳幼児(5歳未満)のアトピー性皮膚炎

・手足口病、水痘の疑い、とびひ、蕁麻疹、湿疹などの皮膚疾患。

・意識障害や激しい嘔吐、骨折を疑う所見のない軽症の打撲、けが。

・便秘、血便

・園や学校の健診で指摘された尿検査の異常や、頻尿、排尿時痛などの尿の症状。

・皮膚の症状、眼の症状、耳の症状でどの病院にかかったらいいのか分からない時にも、診察の上で必要であれば行くべき科の推奨や、紹介を行います。

・学校健診で不整脈や心雑音を指摘された場合には、検査は当院ではできませんが受診すると貝塚市民病院の小児循環器専門医に紹介の段取りをすることができます。

・低身長・肥満の相談や検査は当院では行っていませんが、必要な児は母子総合医療センターへの紹介を行います。貝塚市の川崎こどもクリニックの川崎先生が内分泌の専門家ですのでそちらの受診もよいかと思います。

✕当院では行っていない検査

「RS」、「ヒトメタニューモ」、「ノロ」、「ロタ」、「マイコプラズマ迅速検査」、「レントゲン」、「超音波検査」、「心電図検査」、「視力検査」、「斜視検査」、「聴力検査」

これらの検査がご希望の方は他院を受診してください。

✕当院では対応できない疾患

・意識障害や激しい嘔吐などを伴う外傷 ⇒脳のダメージが疑われますので救急車の適応です。

・強い腫れ、痛みを伴う外傷、縫う必要がありそうな外傷、および交通事故による外傷 ⇒骨折の可能性、および縫合が必要な可能性、特別な診断書が必要な可能性があります。外科系の病院を受診しましょう。

・目の部分の外傷 ⇒眼科を受診しましょう。

・斜視かもしれない ⇒眼科を受診しましょう。

・5歳以上のアトピー性皮膚炎 ⇒当院では乳幼児の治療を行っています。大きい子は皮膚科や他院小児科を受診して下さい。

・耳垂れがある時 ⇒程度の強い中耳炎が疑われます。洗浄処置が必要なことが多いので耳鼻科を受診しましょう。週末や休みの時はとりあえず小児科に受診でもよいでしょう。

・耳が聞こえにくい ⇒耳鼻科を受診しましょう。


得する受診のタイミング

まず、⑴呼吸がおかしい時(胸がぺこぺこしている、横になれないくらい息苦しいなど)、⑵意識がおかしい時(痙攣した、呼びかけへ反応がないなど)は夜間であろうとお正月であろうと医療機関に受診しましょう。場合によっては救急車の適応です。

①熱について

今まで見たことがないくらいぐったりしている時、あるいは生後3か月未満の児で38度以上の発熱が2~3時間続く場合は早目に受診を考えましょう。解熱剤で様子を見れそうな時は熱という単独の理由で病院にすぐ行くと検査もできないため損をすることが多いです。保育園で熱が出て呼び出しを受けてお迎えに行った帰りに病院に行くのは避けた方がよいでしょう。インフルエンザやコロナが流行している時期には12時間~24時間経ったら受診を考慮しましょう。解熱剤はしんどい時はあらゆる病気で使って大丈夫です。診察直前に使用しても検査には全く影響はありません。また、どの病気でも高い熱が夜間にあって朝には一旦平熱になることはよく経験しますので、朝そのまま登園や登校をしないようにしましょう。「感染症以外の熱」は極めてまれで川崎病を始めとした深刻な病気以外にはほぼありませんから、お子さんが熱を出した場合、本人の心配とともに周囲の御家族はうつらない努力を同時に始めましょう。特に高齢の方が近づかないように注意しましょう。さほど周囲で有名どころの流行がない場合でも、38度以上の熱が3日目になったら一度受診を考えましょう。

②嘔吐について

嘔吐が何回かあっても、人間はそんなにすぐに脱水にはなりません。吐き気止めも大した効果はありません。最も多い原因はウイルス性胃腸炎であり、最初の数時間は嘔吐をさせてあげてまずは胃の中をがんばって空っぽにしましょう。その後、一口飲んで5分開けてのペースで徐々に水分を摂取するとほとんどの嘔吐は収まります。吐き切って、少量ずつの水分摂取を始めて6時間経ってもまだ嘔気、嘔吐が続く場合は点滴が必要な可能性が高く受診を考慮しましょう。その際は胃腸炎以外の疾患も考える必要があります。周期性嘔吐症、ケトン性低血糖症の診断を受けている児は、嘔吐は自然には収まらずに点滴が必要なことが多いので受診しましょう。

③下痢について

下痢単独で受診を急ぐ必要はないですが、血便がある場合、強い腹痛がある場合は必ず受診をしましょう。

④発疹について

皮膚症状がある病気には水痘やとびひなど特別な対応や登園基準があるものが含まれています。実際の症状を診ないと何とも言えませんので原則受診を考慮しましょう。


予約システムが変わります!

現在のシマフクロウ→botlogyになり、予約の全てがLINEで完結します。

★一般診察は11月1日~
10月31日まではシマフクロウをご利用下さい。11月1日診察からbotlogyでの予約になります。現在の順番予約から、時間帯予約に変更となります。当日0時から予約ができます。
★後期健診・ワクチン予約は12月1日接種分~
11月30日施行分までは現在のシマフクロウをご利用下さい。12月1日施行分以降はbotlogyからご予約下さい。

下記のURLにアクセスし、LINEからお友達登録をお願いします。またお友達に拡散をお願いします。

https://r.botlogy.com/direct/Khws5mzHE6wvhDTjLots?nest_cid=cm0yxpp930000s6012i60qunr&nest_medium=HP


家族・実家のことその20 うちの奥さんpart3

入院中の親戚のお見舞いでとある病院を妻と訪れました。

その方自体は結構お元気でほっとしつつ、しばらくお話してから病院を出ました。

建物を出てから妻が言うには、「それはさておき、隣のベッドのおじいちゃん、だいぶしんどいんかして目開けたままピクリとも動いてなかったわ。物置みたいやった。」

「へえ、それは気づかんかったわ」と返事しつつ、んー?物置みたいに動かへん?確かに物置は動かんけど、なんか変やなぁとしばらく思いを巡らして数秒、、、

「ゆりちゃん、それ言うなら置物ちゃうん?物置やったら100人乗っても大丈夫やから入院いらんやろ。」

ということがあったある夏の日。


みなし陽性の適応②

2023年5月からはコロナへの対策を少しずつ緩めながら、生活や教育を取り戻していく方向に舵が切られ、マスクを外す機会やたくさんの人数で集まるイベントも増えました。

ずっとあのような抑圧された生活を人間は続けることはできませんから、どの国も遅かれ早かれ制限を緩める方向に進んだわけで、これは自然な流れでした。

ただ結果として、その後から老若男女を問わず発熱など感染症症状を訴える患者さんが激増しました。

これは数年間感染対策を厳しくしたために、子ども達が小さいうちにかからなければいけないウイルス感染の経験をしておらず、また大きい子や大人も免疫が下がってしまったためと考えられます。

そのため、バラエティー豊かな病原ウイルスが同時多発的に流行するという状況が続いています。

お兄ちゃんがインフルエンザA型で、2日後に熱が続発した妹がコロナであったり、同時に熱の出た親子がインフルエンザB型と溶連菌というそれぞれ別の感染症であるという、以前はレアだった現象が頻発しています。

このような感染症の種類が多い中でみなし陽性をたくさん採用した場合、誤診が非常に多くなるリスクがあります。

当分の間、当院では家族内続発と思われるエピソードでも原則みなし陽性はせずに、検査をして診断をしています。

ただ家からほぼ出ていない専業主婦のお母さんや未就園児が、非常に怪しいタイミングで高熱が出たような時は引き続き検査をせずに診断をすることもあります。

さて、コロナからの数年間で分かったことは、麻疹のように圧倒的に効果のあるワクチンが開発されている感染症以外のいわゆる日常的に出会うかぜのウイルス達には、結局継続的にかかって免疫の修行をしていくしかないという切ない現実でした。

では日常生活を大きく阻害されずに感染症にかかっていくというのは具体的にはどのようなことを意識するのがよいでしょうか?

それは「かかってもしょうがないかという時期」と、「今は絶対かかりたくないという時期」を明確に分けて動くことです。

来週海外旅行に行く、もうすぐお姉ちゃんが高校受験だ、末期がんのおじいちゃんが家にいる、などの時は、家族全員で全力で対策をするべきです。

一方で、修学旅行中とか、大学生が夏休みにミスチルのコンサートに行く、などの場合は最悪その後寝込んでもいいかと思って楽しめばいいのではないかと個人的には考えます。

ですので「闇雲にずっと厳格な感染対策をする」というのも、「もう一切対策はしない」というのもどちらも極端すぎて損をするように思えます。

ただし、このやらなくてはいけない免疫の修行の中での例外はノロ胃腸炎とインフルエンザです。

この2つは何回かかっても、大人になってからかかっても、毎回めっちゃしんどい!ので、ある意味「かかり損」のウイルスと言えます。

感染対策を緩める時代になったとは言え、この2つが流行している時期(一般的には冬)は手洗いを増やしたり、マスクをすることを検討することはとても理にかなった作戦ですね。


みなし陽性の適応①

現在の熱の原因のトップはインフルエンザB型で、2番手がコロナとなっており、インフルエンザA型は出ているもののだいぶ減ってきました。

ずいぶん前にインフルエンザについてのブログで、検査をせずに陽性と診断するいわゆる「みなし陽性」が、なまじ検査をするより正確度が高いことがあるという話をしました。

またコロナの初期の頃にも、検査をせずにコロナと診断を下された方もたくさんいたと思います。

感染症の世界も刻一刻と状況が変わるため、このみなし陽性の考え方についても流動的に適応する必要があります。

まず、どんな時にみなし陽性は正確度が高くなるかについて見てみましょう。

いつも口を酸っぱくしてお話するように、検査は発熱の開始から早いほどに大幅に感度が下がり、検査の意義が低くなります。

日本の医療では(2024年1月時点)、インフルエンザやコロナ検査は全ての年代でやればやるほど売り上げが上がるので、少なくとも開業医の先生に今は検査しない方がいいよと言われた場合、患者さんのためを思って言ってくれていると考えて間違いありません。

早すぎる検査はお金がかかるだけでなく、痛みも1回分余計に増える可能性が高く、また本当はインフルエンザなのに陰性が出てしまうと「よかった」などと誤った印象を持ってしまい感染をより広げる結果となります(もちろん重症の例などウイルス量が非常に多そうな時は早い段階で検査をすることもありますが)。

またインフルエンザの薬というのはそれほど劇的な効果はありませんし、小さい子は苦すぎて飲めないこともとても多いこと、また薬を希望するにしても発熱から48時間以内は適応となりますから、「できるだけ早く検査をして、薬をもらう」ことを目指すと損をする可能性が高くなります(意識がおかしい時、呼吸がおかしい時は例外ですぐに病院へ!)。

確かにインフルエンザは手ごわい感染症で入院がいるほど症状がひどくなることも稀ではありませんから熱が長引いた時などは注意が必要ですが、薬を早く投与するかで元々健康な小児の入院率が劇的に下がるような効果はありません。

さて発熱12時間以上のいいタイミングで検査をした場合、検査キットはその実力を十分に発揮し、90%ちょっとのインフルエンザやコロナの患者さんを拾い上げることができます。

逆に言うと数%は発熱から十分な時間が経ってからも検査で「陰性」と出てしまうとういことです。

このため、インフルエンザやコロナの可能性がほぼ100%である時には検査をしない方が正確に診断を下せることになります。

これが「みなし陽性」と言われるものです。

以前は小学校高学年や中学校以上の子どもは、小さいうちにたくさんその他の高熱のウイルスの経験を積んでおり、他の家族がインフルエンザを発症した直後に熱を出した場合、それ以外の原因の可能性が極めて低かったため、そのような状況でかつ高熱の場合には検査を意図的にしないことでより正確な診断をすることがありました。

またコロナ初期の頃はもっと分かりやすく、家族の誰かがコロナに感染した時にはその他の家族はまるで犯罪者のように家に10日間軟禁されるというルールがありました。

さらにそもそも他の熱の原因が相当減っていたこと、および検査キットが不足していたことから、可能性が十分に高い患者さんをみなし陽性で診断することが多くありました。