森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック 院長の藤田です。
今回のテーマは「大腸憩室」
実は私自身も 上行結腸に大腸憩室を持っています。
憩室は、大腸カメラやCT検査で時々指摘されることがあります。
そこで、よくある大腸憩室について、詳しく解説していきます。
【大腸憩室とは】
大腸の腸管内圧が何らかの原因で高くなり、粘膜の一部が凹んだ(外に飛び出した)状態のことです。大腸の壁は筋肉で覆われていますが、その筋肉の境目の緩いところから飛び出すことがあります。
その憩室に便がたまり細菌感染を起こすと「憩室炎」 憩室の奥から出血すると「憩室出血」と言われます。
加齢に伴い便秘にもなりやすく、大腸憩室になる患者は増えます。若い人には上行結腸が多く、高齢者にはS状結腸にできやすい。またS状結腸にできた憩室は、炎症を起こしやすく重篤化しやすいので注意が必要です。
【大腸憩室の原因】
憩室の原因は「腸管内圧の上昇」です。それには先天的なものと 後天的なものがあるが、後天的な要因が大きいとされています。
後天的な要因としては、便やガスが溜まっていることがあります。欧米型の食生活により食物繊維摂取が不足し便秘をきたすことや、動物性たんぱくや脂肪の摂りすぎによるガスの増加と考えられています。
また大腸の蠕動運動をつかさどる筋肉は、全身の筋肉と同様に加齢とともに落ちていきます。つまり便秘になりやすく、憩室もできやすくなります。
他には肥満も挙げられます。肥満、つまり脂肪が腸管を圧迫するため腸管の圧力が高くなります。
【大腸憩室の症状】
大腸憩室があっても、多くは無症状で経過します。たまたま検査してみて発見されることがほとんどです。
ただ憩室炎になると、腹痛(持続性)や発熱といった症状が出てます。下痢や、嘔吐を伴うことがあります。
また大腸憩室出血では、痛みを伴わず、突然大量の下血(動脈性出血)と認める事があります。下血のほかに、貧血症状(立ち眩みや目の前が白くなる、動悸など)が出ることがあります。
【診断】
大腸憩室があるかどうかは、大腸内視鏡検査や注腸造影検査で診断がつきます。
憩室炎を疑う場合は、血液検査(白血球やCRPなどの炎症を表す数値が高値かどうか)や 腹部エコーやCT検査で炎症の有無、部位、膿瘍や穿孔を伴うかを診断します。
※憩室炎がある場合(活動期)は、検査自体で腸管圧を上げるため憩室炎が増悪するリスクがあるため、通常大腸カメラは行いません。憩室炎の治療後に、診断目的で大腸検査を行うことがあります。
大腸憩室出血の診断には、大腸内視鏡検査を行います。ただし、多くの場合下血を主訴に緊急で検査をするため、通常の大腸カメラの時のように下剤を飲んで便を全部出して…とするわけではなく、大腸の中が便まみれ、血まみれではっきりわからないことがよくあります。また憩室は多発する傾向にあるため、どの憩室から出血していたか不明なことがあります。
大腸カメラで出血点が不明である場合は、造影CT検査で診断がつくことがあります。
【治療】
大腸憩室だけであれば 経過観察で特に治療はありません。 (私も特に治療はしていません。)
憩室炎があった場合、炎症が軽ければ抗生剤の内服や食事制限、炎症が強ければ入院して絶食点滴とし、抗生剤の点滴を行います。強い炎症を繰り返したり、腸穿孔(穴があく)があれば外科手術が必要となる事があります。
憩室出血があった場合、自然止血することもありますが、出血量が多い場合は緊急で大腸内視鏡検査を行い止血術を行ったり、カテーテル治療や外科的治療が必要となる事があります。
【予防】
残念ながら、憩室炎や憩室出血を予防できる方法はありません。
また一度できてしまった憩室は、元に戻ることはありません。
少しでも、再発を予防するためには普段から便秘やおなかの張りには注意する必要があります。食事は食物繊維や発酵食品(善玉菌)を積極的に摂り、動物性たんぱくや脂肪を控えることが大切です。
また症状が出たときには、早めにお医者さんにかかり、早期治療を行うことも忘れないようにしましょう。
鎮静剤を使った楽な胃カメラ、鎮痛剤を使った痛くない大腸カメラをしている内視鏡専門クリニックです。2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
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《分院》大阪本町胃腸内視鏡クリニック
2022年10月3日開院
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