宿命

森田内科・胃腸内科のミッション
地域医療に貢献して、人を幸せにする。)
人:患者さん、チームの仲間、大切な家族と自分自身

高槻市城南町にある、胃カメラ・大腸カメラから一般内科まで幅広い診療を行うクリニック、森田内科・胃腸内科のブログです。
このブログでは当院に関心あるすべての方に、当院とここで働くスタッフの“今”を知って頂くために、日々思うことを医療にこだわらず“そこはかとなく”綴ったものです。

→:宿命!?
森田内科は開院から9年が経ち、12月1日から開院10年目に入りました。成長期から成熟期に移行しつつあるこのクリニックの未来に希望を抱きつつ、日々の診療を大切にし、患者さん一人一人に“一期一会”の気持ちで接していきたいと思っています
ところで唐突ですが、あなたは“宿命”を信じますか? 辞典によると、「宿命とは生まれる前の世から定まっている人間の運命。」のことだそうです。例えば、私達の設計図である“遺伝子”、私達は両親からその半分ずつを譲り受けています。そして、両親が優秀であれば、その良い遺伝子を受け継いだ子供も優秀になる。以前はそういう考えもありました。ところが、遺伝子の研究が進み、遺伝子にはスイッチがあり、それをいろいろな方法でオンにしたり、オフにしたりすることができることが分かってきました。同じ環境で育った一卵性双生児が異なる性質を持ち、異なる病気に罹患し、異なる人生を歩むことはよく知られています。一卵性双生児のように100%同じ遺伝子をもっていても、まったく異なる性質の人間になるのは、特定の遺伝子の発現が異なるためだと考えられています。
もう一つ面白い実験があります。最近、“腸内細菌”や“便移植”が注目されているのはご存知ですか?私達の体には600~1000兆個、約1.5㎏の腸内細菌が住み、ある種の細菌が増えることが、肥満、うつ病、認知症、アルツハイマー病などの原因になることが明らかになってきました。その実験の内容とは、異なる環境で育った、一方は“肥満”、もう一方は“痩せ”の一卵性双生児の便を、それぞれ無菌マウスに便移植したらどうなるかというものです。結果は驚くべきもので、100%同じ遺伝子を持つ人間の便を移植されたにもかかわらず、“肥満”の便を移植されたマウスは“肥満”、“痩せ”の便を移植されたマウスは“痩せ”となります。つまり、全く同じ遺伝子を持つ二人の人間の腸内細菌が、環境要因により変化することで、その体形や罹患する疾病までもが変化することが分かったのです。
遺伝子研究の第一人者村上氏によると、「すべての人間の遺伝子は99.5%が同じ」で、「人間に能力の差があるとすれば、遺伝子を働かせているか、眠らせているかの違い」だそうです。では、遺伝子のスイッチを「オン」にするにはどうしたら良いのでしょうか?村上氏は、良い遺伝子を目覚めさせる方法として①明るく前向きに考える、②環境を変える、③出会いを大切にする、④感動する、⑤感謝する、⑥世のため人のために生きる、6つの行動を挙げています。さらに、「高い志を持つこと、喜びを多くの人と共有すること、自分たちの仕事が世の中のためになるという熱い思いや意識を持つこと」、「自分のどこかには何か大きな可能性があるに違いないと自分を信じること」が遺伝子を「オン」にするための心構えだとしています。つまり、“宿命”などは無く、“今の自分の姿”は今までの“生き方”にあるのです。
間もなく2020年、来年は開院10周年を祝う記念すべき年になります。新しい年にチーム全員、良い遺伝子のスイッチがオンになることを祈っています。

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