「先生、昨日ね、火曜サスペンス劇場やったんですよ。」
まだ小児科医になって間もない頃、あるお母さんからこんな話がありました。
「え、昨日は水曜日やったんとちゃいましたか?」と返すと、
「ちゃいます、ちゃいます。この子よく鼻血出すんですけど、また夜寝ているうちに出てて。朝起きたらふとんが血まみれの殺人現場みたいでね。だから火曜サスペンス劇場。」
元気なおチビはよく鼻血を出します。
頻繁に鼻血が出る、というのは小さい子によくあり、15分くらいまでに止まる場合は全然心配はありません(いわゆる血液の病気では頻繁に出るということより、「ひたすら止まらない」が特徴で、1時間圧迫しても止まらず耳鼻科で処置してもらっても苦戦するというイメージです)。
特に風邪を引いている時は鼻の粘膜も炎症を起こしているためよく鼻血が出ます。
一旦鼻血が止まってもかさぶたになっているだけなので、1回鼻血が出るとしばらくは毎日のようによく出る期間が続くものです。
またアレルギー性鼻炎があると慢性的な粘膜のむくみから鼻血の常連になるため、抗アレルギー薬が有効なことがあります。
うちの長男も優雅に鼻をほじるようになってからというもの、よく夜に鼻血を出します。
暗闇の中で、「鼻水出た。」というのでこちらも半分寝ぼけながらティッシュを渡して、また眠りの世界へ。
朝起きると、チャチャチャチャ、チャチャチャチャ、チャーチャー♪♪
はい、火曜サスペンス劇場の出来上がりです。
鼻水ちゃうやん・・・。まぁ暗闇やと自分でもわからんよなぁ。
注:火曜サスペンス劇場とは2000年代まで誰もが知るテレビドラマで、そのテーマソングも有名でしたが、終了して久しいですから若い親御さんは何のこっちゃ分からないかもしれません。ばあばやじいじに聞いてみましょう。