便秘のお話 その3お薬や浣腸はくせになるか

便とはごみですので、あらゆる手段を使って定期的に、かつ快適に出すことが大事です。

将来的に便秘は大腸がんのリスクファクターにもなります。

さて、お薬や浣腸で便を出すことを続けているとくせになって自分では出しにくくなるという噂を聞いたことがありませんか?

これは小児科の世界の根強い誤解の一つで、完全に間違った情報です(腸管刺激性の薬剤はだんだん耐性ができるものもありますが、相当重症でしか出番はありません)。

まず、排便のコントロールを行っているのは腸ではなく脳であるというお話をしましょう。

何日に1回、肛門をどんな感じで便が通っていくかという情報を脳が受信して、それに基づいて習慣が固定されたり、加速されたりしていきます。

お薬を使ったかどうか、肛門への刺激や浣腸があったかどうかを脳は感知していません。

どう出て行ったかという情報だけです。

実際にはくせになるのは便秘の習慣の方で、歯車が回り始めるとそれが加速し、固定されていきます。

ですから野菜を取ったり、お薬や、肛門刺激や浣腸などあらゆる手段を使って、快適に定期的に便を外に出すことが不可欠であるのです。

調子がよくなってお薬がなくなってから、真っ赤な顔できばりながら何とか自力で便が出たことを嬉しそうに報告してくれるお母さんがいらっしゃいますが、「がんばって出す」というのは脳に取っては大きなマイナスの経験となりますので、しっかりお薬を続けて「快適に出す」習慣を続けましょう。

お薬や浣腸はずっと続けても特に目立った副作用がありませんので、しっかり使用させてください。

排せつ欲という言葉がありますが、食欲や性欲とともに大げさに言えば排便は気持ちよくて楽しみな作業であるべきなのです。

がんばってするものではありません。

これらの知識を元に、赤ちゃんも子どもも大人も、快適なうんちライフを目指しましょう!






DDまっぷ ドクターブログ 一覧