「かぜ」を知ろうその3

かぜは自分の力で治るものとは言いながら、大量にウイルスを含んだ鼻水に徐々に押されていき、いよいよ奥へと侵入を許してしまう場合もあります。

喉の奥へ侵入を許せば気管支炎や肺炎へ、鼻の奥に侵入すれば副鼻腔炎(蓄膿)へ、耳の奥に侵入すれば中耳炎へ。

こうなると、一呼吸おいて細菌が騒ぎ始めます。

ん?突然細菌の話が出てきましたが、こやつら一体どこから来たのでしょう?

実はこの細菌、普段からずっとわれわれの体の中、鼻や喉で大人しく住んでいるのです。

いつもの場所にいるうちは無害なのですが、ウイルスが突破口を開くと便乗して違う場所に侵入し、ゆっくりと悪さを始めます。

細菌性肺炎や細菌性中耳炎の原因が、実は普段自分の中に飼っている細菌たちだと聞くと驚かれるでしょうか?

ほとんどのかぜは長引いてもかぜのまま治っていきますが、約5~10%はこのように途中から細菌が加勢していくパターンとなります。

細菌はウイルスと違い、適正な抗生剤で数を減らすことができます。

抗生剤の使用で病気を乗り越えた後、細菌はまた元の場所にだけいる状態へと戻り、その際必ず少しだけ耐性化(抗生剤に抵抗力を持つ)が進みますが、背に腹は代えられません。

抗生剤を乱用することは将来悪さをするかもしれない自分の中の細菌をどんどん鍛えてあげる作業ともいえます。

われわれ小児科医にとって、抗生剤の適正使用はこどもたちの未来を守るための急務です。

その4へ続く

 

 

 

 

 






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