川崎病その2 発症のメカニズム

まず体を守る免疫の話を思い出しましょう。

ここでは免疫を体(地球)を守るウルトラマンに例えてみましょう。

ウルトラマン(免疫)は、ひとたび地球(体)にバルタン星人(かぜのウイルスや細菌)が侵入すると、すぐにシュワッチと駆けつけてやっつけてくれる有難い存在です。

この際、バルタン星人だけをピンポイントにやっつけることができればベストですが、映画などでもよくみると戦いの割をくらって結構周りの建物や公園も炎に包まれ被害を受けててしまっています。

この炎は地球を守るという大義のためには仕方のない犠牲で、免疫と外敵との戦いでは「炎症」という名で呼ばれます。

喉にかぜのウイルスが侵入して戦いが起こると、戦いの副産物として「炎症」が起こり、結果として喉が腫れて痛くなるという訳です。

かぜで熱が出たり、喉が腫れたりするのは、戦いの炎である「炎症」が原因なのです(かぜで熱が出ているのは戦っているサインという表現はよく聞きますね)。

さて、一般的な感染症ではこのように免疫と外敵との戦いが繰り広げられる訳ですが、川崎病ではどうでしょうか。

熱が出たり、目や唇が赤くなったり、首のリンパ節が腫れたり、まるで感染症のように体の中で強い炎症が起こる川崎病ですが、実はほとんどの場合対象となる外敵が存在していません。

簡単に言えば、バルタン星人はいないのに、ウルトラマンが興奮して街を壊して回っているのが川崎病のイメージです。

この場合ウルトラマンが特にターゲットにするのが、全身の細い血管であるため、炎症を起こした毛細血管は拡張して、走行が見えやすい眼球結膜、唇、皮膚、指先などに発赤が出現するのです。

数ある細い血管の中で、一番重要なのは心臓を取り巻く「冠動脈」という血管で、病気が長引いてここまで炎症が及ぶと一大事で、後遺症を残す可能性が高くなります。

 

注)川崎病の発症のメカニズムは未だに多くの謎に包まれており、上記は仮説の一つを分かりやすく例えたものです。






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