貧血

若い女性に見られる貧血の多くは鉄欠乏性貧血で、過多月経などが主な原因ですが、中高年者で貧血を認めた場合には注意が必要です。
なぜなら中高年者での鉄欠乏性貧血は、重大な原因疾患が潜んでいることが少なくないからです。
胃がん、大腸がんなどの消化器がんでは慢性的な出血による鉄欠乏性貧血を伴うことは珍しくなく、実際に血液検査から貧血を指摘され精査して大腸がんが見つかることもしばしば経験します。
また最近では骨髄異型性症候群と言って、骨髄機能の異常から貧血に加えて白血球減少や血小板減少を来す血液疾患も増加していて、高齢者のみならず若年者でも見られ注意が必要です。
いずれにせよ貧血が見られた場合、安易な造血剤の投与は禁物で、原因疾患の精査を速やかに行い、適切な原因療法の選択がなされるべきであることは言うまでもありません。