世の中に長生きをしたくないという人は少ないと思いますが、では長生きをするために何か努力をしている人はと言えば、これもまたあまり多くないのではと思われます。
医師という立場で長生きするための方法があるかと聞かれれば、あるとすれば死ぬ原因となるような病気に罹らないこととは言えます。
それでは死ぬ病気に罹らない方法があるかというと、実際にはありません。
それは我が国の死因のトップを占めるがんの多くは原因が分かっておらず、がんにならないための方法といったものがないことからも理解できるでしょう。
ただ、仮にがんに罹っても早期に発見できれば治療(例えば手術)によって治る率も高くなるので、がん年齢と言われる50歳以上ではたとえ症状がなくても年に1回程度検診を受けることは意味があることと考えます。
また脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化が原因となることの多い病気では、基礎疾患として高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病がある場合が多く、生活習慣の改善や適切な治療によってそれらをうまくコントロールできれば致死的な合併症を避けることも不可能ではありません。
そして最も注意が必要なのは、自分は健康だと信じて全く健康診断を受けないことで、体調が良くても深刻な病気が潜んでいる場合もあるので、定期的な健診を受けることがそれこそ長生きのこつかも知れません。