カテゴリー別アーカイブ: 遺伝子

睡眠の話題

暑くなったり寒かったり、気温の乱高下が続いていますね。寝る前はタオルケット1枚だったのに、朝起きてみるといつの間にか毛布に包まっていたり・・・・・・お気をつけください。

さて、睡眠に関する話題が立て続けにネットを賑わせていたので、今回は2つの睡眠に関する話題を紹介します。

最初は「照明やテレビをつけて寝る女性は太りやすい」という話題です。

米国立環境衛生科学研究所(NIEHS)の発表なのですが、米国人女性約4万4千人を5年間追跡した結果だそうです。論文で太る原因については明確にされていませんが、光刺激によりメラトニンの生成が抑えられることが関係しているかもしれないとのことでした。

次は「体内時計を刻むスイッチであるDNA配列発見」という話題です。

京大のグループによる発表ですが、体内時計に応じて増減するタンパク質を作る遺伝子の一部を改変したところ、そのタンパク質の増減が見られなったとのことです。改変されたマウスは体内時計が乱れ、行動が不規則になったそうです。

DNA配列が生体の行動をコントロールするスイッチになっていることがわかったと結論付けています。

改変により遺伝子環境が変わって、タンパク質の発現パターンが変わっただけでは?と疑問が湧いてきます。(以前のブログ:エピジェネティックス参照

このブログを書いている時に衝撃的な記事が掲載されていました。なんと「加齢で減る酵素注射→若返り マウス成功、ヒトにも期待」というのです。

睡眠の話題だったのに、眠気も吹っ飛んで行ってしまいました。

.


ゲノム編集

11月も今日で終わりですね。明日からは「師走」ですが、来週は最高気温20℃の予報です。なんだか季節感が出ませんね。(そろそろクリスマスツリーを出さなければ・・・・・)

さて、ここのところニュースで騒がれている中国の「ゲノム編集受精卵による出産」ですが、ご存知でしょうか?

発表した研究者によると、遺伝情報を書き換えた(ゲノム編集した)受精卵から双子の新生児が誕生したとのことです。

ゲノム編集自体は研究室レベルで簡単にできるものですが、人間に応用することの倫理的な問題が取り沙汰されています。「倫理的な問題」と聞くと概念的なイメージだと思われがちですが、それだけではないのです。

もちろん、「ゲノム編集」の影響が予測できないため、新生児の将来に対して無責任であるという人道的な面が大きいのですが、今回の「倫理的な問題」には人類という集団で考えた場合にも大きな危険をはらんでいるのです。

「ゲノム編集」の影響で遺伝子そのものだけでなく、遺伝子環境(エピジェネティックス)が変化して思わぬ影響を与える可能性が指摘されています。

例えば「ゲノム編集」を受けた人がウィルスに感染した場合、ウィルスの凶悪化を引き起こしてしまうかもしれません。(インフルエンザウィルスの変異は人と豚と鳥が一緒にいることで促進されることが知られています。)

最近の研究では、遺伝子情報だけでなく遺伝子環境も遺伝するとの報告もあり、何世代も後になって影響が出てくる可能性があるのです。

人類の存亡に関わる取り返しのつかない状況を招き得る技術なので研究室外での応用は、慎重の上にも慎重に行わなければならないものなのです。

今後に注視していきたいと思います。

.


「知能遺伝子」

暑くなったり寒くなったりなんだか落ち着かない気候で、風邪で受診される方が増えています。

さてオランダ・神経ゲノミクス認知研究センター(Center for Neurogenomics and Cognitive Research)の研究者、ダニエル・ポスツマ(Danielle Posthuma)氏によると、欧州の7万8千人の遺伝子データと知能指数テストの結果から、人間の知能に関係する52個の遺伝子を特定したとのことです。

今回のIQ上昇に関連する遺伝子の多くは、神経細胞の発生や「シナプス」と呼ばれる神経情報の伝達経路の形成など、脳内における細胞発生の制御に関与するものだったそうです。

昔からよく言われる「あの子は頭の出来が違うから・・・」という言葉を裏付けるような今回の結果ですが、「遺伝子による頭の出来」がIQ上昇に及ぼす影響はたった20%程度と見積もられるそうです。

やはり「能力 = 才能 × 努力」とはよく言ったものですね。(才能(遺伝子)だけではダメなのです)

「いいもの持っているのに・・・」と残念に思われないようにしたいものですね。

.


難病遺伝子

昨日の大阪は今年初の「夏日」で、汗ばむような気候でしたね。春の陽気が夏と冬の狭間で、翻弄されているのでしょうか?

先日医学の常識を覆すようなニュースが報道されました。ご存じでしょうか?教科書に書かれていることに矛盾する事実なのです!!

これまで、難病遺伝子を持っていると100%発症すると遺伝子疾患では考えられていたのですが、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学は、60万人の全遺伝子情報を解析して、その中の13人が難病遺伝子を持ちながら全く発症していない事を確かめたと報告しました。

この驚愕の事実を遺伝子の専門家は、「これらの数少ない人々には、通常なら発症するはずの深刻な疾患を防御する遺伝要因や環境要因の何らかの組み合わせがあるに違いない」とコメントしているようです。

遺伝の法則を発見したメンデルさんもビックリの新事実。今後の展開に注目ですね。

.