月別アーカイブ: 2018年6月

睡眠覚醒リズム

最低気温が25℃を超えると、「熱帯夜」になるのだそうです。睡眠環境をコントロールしないと十分な睡眠が取れないかもしれません。今回のブログは睡眠覚醒リズムと病気の関係について書いてみたいと思います。

英国のグラスゴー大学から興味深い発表がなされました。英国人9万人超を対象とした横断研究で、睡眠覚醒リズム(「概日リズム」:がいじつリズム サーカディアンリズム)の乱れが、メンタルヘルスの悪化・充足感の低下・認知機能の低下につながっているというのです。

睡眠覚醒リズムの乱れは、大うつ病や双極性障害などの気分障害の主な症状の一つとして知られています。さらに、かかるリズムの乱れはメンタルヘルスに悪影響を及ぼすと考えられています。

そこで、手首装着型の加速度計を用いて1日の活動性の変化と、気分障害、幸福感・健康充足感、認知機能(反応時間)などとの関連を調べたとのことです。

最終的に9万1105人のデータを解析したところ、活動生の低下と上記のメンタルヘルス指標の悪化に関連が認められたとのことです。

本研究は「横断研究」ですので、活動生の変化が原因か結果かは明らかではありませんが、ある種の睡眠薬の服薬と認知症発症の関連については複数の報告がありますので、睡眠覚醒リズムの変調が精神機能に影響を与えているのでは無いかと考えられるのです。

本当に睡眠は大切ですね。

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トゥーランドット

今日の大阪は真夏日の予想です。梅雨の間に夏の予行演習といったところでしょうか?

さて昨日は久しぶりに往診後、時間があったのでプッチーニのオペラ「トゥーランドット」を観ました。フィギュアスケートなどの音楽でよく使われる「誰も眠ってはならない」などの楽曲有名なのですが、プッチーニ最後のオペラであることは知りませんでした。

オペラの中で一番驚いたのは、登場人物の名前でした。大臣の名前が・・・・・ 「Ping, Pong, Pang」なのです。

どこか耳馴染みのある語感だと思ったらなんと「ピンポンパン」ではありませんか!

我々の世代には懐かしい「ママとあそぼう!ピンポンパン」(のちに「みんなであそぼう!ピンポンパン」)というテレビ番組を思い出しました。(NHKの「おかあさんといっしょ」の向こうを張っていたフジテレビ系の番組です。ご存知ですか?)

早速ググってみると、ウィキペディアに

『番組名の由来はプッチーニ作曲のオペラ「トゥーランドット」の登場人物で狂言回し役の3人の大臣ピン・ポン・パンPing, Pong, Pangから。』

と明示されておりました。

かかる番組から生まれた「ピンポンパン体操」は爆発的に流行しましたので、ご存知の方も多いかと思います。(ご存知無い方も YouTubeに上がっているのでよければご覧ください。昭和感たっぷりといった感じです。)

子供の頃の刷込みとはすごいものです。半世紀近く前から知らぬ間にオペラが身近に入り込んでいたと思ったら、ある歌が浮かんできました。♪たったの3分親子丼・・・・・・♪ 「ビゼーよ、お前もか!!」

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匂いと睡眠と認知症

大阪は、梅雨らしく雨がしとしとと降っています。気温が高くないので、あまり蒸し蒸しはしていないのが救いですね。風邪や胃腸炎が流行っていますので、体調管理にご留意くださいね。

さて、今回は認知症の話です。認知症の初期症状といえば「物忘れ」といわれていますが、高齢になれば大なり小なり記憶力の低下があるのが普通なので早期診断の基準として使いづらいのが現状です。

どの程度の「物忘れ」から病気と判断するのかは難しい問題で、効率的な基準が無いのが現状です。(個人的には、今の基準では診断が遅くなりがちだと思います。)

そこで今注目されているのが、嗅覚(匂い)と睡眠です。

嗅覚の障害は認知症の記憶障害に先立って起こるといわれています。睡眠も日常の睡眠覚醒リズムの乱れが初期の認知症からあるといわれ、75歳以上で夜更かしをする人は認知症になる確率が、夜更かしをしない人の2倍に達するとの報告もあります。

認知症の早期診断には「記憶力・判断力」だけでなく、総合的な判断基準が必要なのでしょうね。

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心臓再生

梅雨に入ってジメジメと蒸し暑くなってきましたね。当医院でも除湿機が働き者の音を奏でていて、夕方にはタンクが一杯になってしまうこともあります。

さて、今回のテーマは「心臓再生」なのですがもちろん人間の話ではありません。実は、日本に生息するアカハライモリの話で、尾や目、心臓の一部を切り取られても再生するという他の生物にはない特徴を持っているのだそうです。

このほど筑波大学の千葉教授は、アカハライモリの驚異の再生能力を説明する発見をしたとのことです。

(引用開始)
切断された脚の組織に含まれる未成熟な赤血球で、これまで知られていなかったイモリなどに特有の遺伝子「Newtic1」が働いていることを突き止めた。この未成熟な赤血球は、脚の傷口に無数に集まって集合体をつくり、組織の再生に必要な酵素や、筋肉などに分化した細胞を未分化の状態に戻す作用に関わる物質を分泌していることがわかったという。
(引用終了)

つまり、赤血球が傷口に集まり細胞を「脱分化」により増殖させ、臓器の再生を促しているということが分かったのです。

もしこのイモリの再生能力を人間に応用できれば、医療が根本的に変わってしまう可能性がありますね。(再生能力の副作用としてお腹が赤くなるかもしれませんね。)

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イヤフォン難聴

梅雨入り目前というのに、朝晩は気持ち悪いぐらい寒いですね。なんとなく怠く、疲れやすく感じている方が増えています。十分な睡眠をとるように心がけてくださいね。

さて、ここ数年健診で軽度の難聴傾向が認められる若い人が増えています。最初は職場環境の影響が出ているのかと思っていたのですが、最近行った保育園職員の健診でも若い人に軽度の聴力異常があったのです。

いくら子供の泣き声が大きいからといって、軽度難聴になる程頻繁に泣いているわけではないので何故だろうかと考えた時、はたと思いつきました。

「イヤフォン(ヘッドフォン)難聴」だ!

話しかけられても気づかないぐらい大きな音量や、毎日1時間以上連続してイヤフォンを使っていたりすると、ヘッドフォン難聴の危険性があります。

普通に会話をしている時に、何度も聞き返したり、耳が詰まった感じがする、左右で聞こえ方が違う、耳鳴りが頻繁にある等の症状があれば要注意です。

重症化すると回復しない可能性もあり、心当たりのある人は耳鼻科を受診されることをお勧めします。

公共交通機関での音漏れ「シャカシャカ」音。周囲にも迷惑ですが、本人にも良いものではなかったのですね。

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